民事訴訟法講義
争点整理手続関西大学法学部教授
栗田 隆 |
裁判所が実施する場合にできる訴訟行為(170条) | 受命裁判官が実施する場合にできる訴訟行為(171条) |
---|---|
口頭弁論の期日外においてすることができる裁判(証拠の申出に関する裁判、訴え変更許否の裁判、補助参加の許否の裁判など)(2項)。 文書・準文書の証拠調べ |
170条2項に掲げる裁判は不可(2項カッコ書き)。 但し次の事項についての裁判はすることはできる(3項)
文書・準文書の証拠調べ[3][9] |
5項掲記の各種の処分・裁判(釈明処分など多数) | 次の裁判は受訴裁判所がするが、その他は受命裁判官がする(2項ただし書き)。 |
当事者の訴訟を終了させる行為(訴えの取下げ、和解、請求の放棄・認諾)。 | 同左(2項) |
準備的口頭弁論 | 弁論準備手続 | 書面による準備手続 | |
---|---|---|---|
手続の実施が予想される事例 | 社会に与える影響の大きい事件など、公開の必要性の高い事件 | 当事者の双方または一方が裁判所から離れた地に住んでいる場合など | |
整理の場・方法 | 口頭弁論(公開法廷) | 弁論準備手続(法廷のほか、裁判官室・和解室等でもできる) | 準備書面の交換 |
整理手続開始についての当事者の意見聴取 | 必要(168条) | 必要(175条) | |
手続主催者 | 裁判所(165条) | 裁判所(170条)または受命裁判官(171条) | 裁判長。高等裁判所においては、受命裁判官も可能(176条)。 |
公開 | 一般公開 | 限定公開(169条) | |
出頭 | 現実出頭(通信出頭は不可) | 当事者の一方が現実出頭の場合に、他方の通信出頭の余地あり(170条3項) | 現実出頭はない。通信による協議(176条) |
訴えの取下げ、請求の認諾・放棄、和解 | できる | できる。 | |
当事者の手続懈怠 | 終了原因となる(166条) | 同左(170条5項) | |
要約書面の提出 | 手続終了時に提出(165条2項) | 同左(170条5項) | 同左(176条4項) |
要証事実の確認 | 準備的口頭弁論終了時に確認(165条1項) | 同左−弁論準備手続終結時に確認(170条5項) | 口頭弁論の期日に確認(177条) |
口頭弁論期日における結果陳述 | 必要なし | 必要(173条) | 弁論を新しく始める |
整理後の攻撃防御方法の提出に対する制裁 | 説明義務(167条) | 同左(174条) | 説明義務(178条) |
弁論準備手続における通信出頭(170条3項−4項、規則88条2項・3項) | 進行協議期日における通信出頭(規則96条) | 書面による準備手続における通信協議(176条3項、規則91条) | 通信尋問(204条、規則123条) | |
当事者等の所在 | 当事者の一方は受訴裁判所、他方は裁判所外の場所 | 同左 | 当事者双方とも裁判所外の場所 | 当事者は受訴裁判所、証人は通信設備のある他の裁判所(規123条1項) |
通信方法 | 音声 | 同左 | 同左 | 音声と映像(テレビ通話)。補充的通信方法として、ファクシミリ(規123条2項) |
確認 | 通話者および通話先の場所の確認(規88条2項) | 同左(96条4項) | 同左(91条4項) | |
記録 | 調書に通話先の電話番号の記載は必要、通話先の場所は任意(規88条3項) | 書記官に記録を作成させるときに、通話先の電話番号の記載は必要、通話先の場所は任意(規91条3項) | 証人が出頭した裁判所を調書に記載する | |
訴えの取下げ | 平成15年改正により可(261条3項) | 95条2項の例外として、不可(規96条3項) | 期日ではない。 | |
請求の放棄・認諾 | 平成15年改正により可(266条1項) | 95条2項の例外として、不可(規96条3項) | 期日ではない。 |