民事訴訟法講義
証 拠 1関西大学法学部教授
栗田 隆 |
主要事実 | 間接事実 | 補助事実 | |
証明不要効 |
◎
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◎
|
◎
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審判排除効 (裁判所に対する拘束力) |
◎
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△
|
△
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撤回禁止効 (当事者に対する拘束力) |
◎
|
△
|
△
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(a)その他の事実 | (b)主要事実 | |
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弁論での主張なし | 弁論での主張あり | |
証拠調べから明らかになった事実 | (a1)証拠調べに関与することにより認識の機会がある。 | 弁論に関与することにより認識可能。
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顕著な事実 | (a2)認識していることが期待されるが、認識しているとは限らない。認識していない可能性のある顕著な事実は、裁判所が弁論で指摘しておくことが望ましい。 |
間接事実───経験則───>主要事実 ↑ ↑ 間接証拠 直接証拠 ↑ ↑ 補助事実 補助事実 ↑ ↑ 間接証拠 間接証拠 |
「証明」や「疎明」の語は、具体的な事実について用いるのが原則である。「過失について証明があった」といった用例に見られる「要件要素の証明」は、「要件要素に該当すると評価される具体的な事実について証明があった」との省略表現である。そこでは、具体的に事実の評価と認識がひとまとめにされている(混在している)ことに注意する必要がある。 証明された事実が要件要素に該当するか否かの判断は、裁判所が職権が行うべきことである。その評価がなされないことにより当事者に生ずる不利益を表現する言葉は、一般的に決まっているわけではないが、「評価付け責任」と言ってよいであろう。アメリカ法の用語を転用するならば、(主観的責任のニュアンスが強く出る点で問題があるが)「説得責任」も悪くはない。 |