以下は、同法第1編(総則)第10部(証拠)第1章(総則)の諸規定である。
150条(証明対象) 1 証明の対象は、法的に重要な争いのある事実である。
2 慣行、地域の慣習及び財産上の紛争にあっては外国の法も証明対象となりうる。
151条(知られた事実) 公知の事実及び裁判所に顕著な事実並びに一般に認められた経験則は、証明を必要としない。
152条(証拠の権利(Recht auf Beweis)) 1 各当事者は、方式と期間を遵守して申し出られた適切な証拠方法を裁判所が取り調べることを求める権利を有する。
2 違法に収集された証拠方法は、真実発見の利益が優越する場合にのみ顧慮される。
153条(職権による証拠調べ(Beweiserhebung)) 1 裁判所は、事実関係が職権で確定されるべき場合にのみ、職権で証拠を調べることができる。
2 裁判所は、争いのない事実の正当性について著しい疑問がある場合には、職権で証拠を取り上げることができる。
154条(証拠決定(Beweisverfuegung)) 必要な証拠決定が証拠調べの前になされる。証拠決定の中では、特に、許された証拠方法が記載され、どの当事者が本証又は反証の義務を負うかが定められる。証拠決定はいつでも変更又は補充することができる。
155条(証拠の取調べ(Beweisabnahme)) 1 証拠の取調べは、一人又は複数の裁判所構成員に委任することができる。
2 重要な理由に基づき、当事者は、受訴裁判所(das urteilende Gericht)による証拠の取調べを求めることができる。 [注:意訳になるが「受訴裁判所」と訳してみたが、原語どおりに「判決裁判所」と訳すべきか迷う]
3 当事者は、証拠の取調べに関与する権利を有する。
156条(保護に値する利益の擁護) 証拠調べが当事者又は第三者の保護に値する利益、特にその業務の秘密等を危険にするときには、裁判所は、必要な措置をとらなければならない。
157条(自由な証拠評価) 裁判所は、証拠の自由な評価に従いその心証を形成する。
158条(保全的証拠調べ(Versorgliche Beweisfuehrung)) 1 裁判所は、次のときには、いつでも証拠を取り調べることができる。
2 保全処分に関する規定が適用されるものとする。 [注:保全処分は、261条以下に規定されている]
159条(法人の機関) 法人が当事者である場合には、その機関は、証拠手続においては、当事者と同様に扱われる。
スイス民事訴訟法予備草案(2003年) 153条(保護措置)「証拠調べが当事者又は第三者の保護に値する利益、特にその業務の秘密を危険にするときには、裁判所は、適切かつ必要な措置をとらなければならない。」