目次文献略語

民事執行法概説

不動産の強制競売 4/4


関西大学法学部教授
栗田 隆

8 執行競合・配当要求


8.1 総 説

参加
不動産は重要な財産であり、換価に時間がかかるため、ある債権者の申立てに基づいて開始された競売手続に他の債権者が参加する道が比較的広く開かれている。参加の形態は、次の2つに分かれる。
公法上の債権(租税債権等)を有する者については、配当要求に相当する交付要求の制度が国税徴収法82条・22条5項により設けられている。また、民事執行と滞納処分が競合した場合について、滞調法による調整がある。

同時申立て
同一不動産について複数の債権者が同時に競売申立てをすることもある。この場合には、各債権者ごとに競売開始決定をすることもできるが、手続の単純化のために一つの競売開始決定をもって手続を進めてもよい。後者の場合に、一部の債権者について申立ての取下げ、手続の停止・取消事由があっても、他の債権者の申立てに基づき競売手続は続行される。

8.2 二重開始決定(47条

意 義
競売開始決定のあった不動産について、買受人の代金納付前に、同一人を執行債務者として競売申立てが更になされた場合、執行裁判所は二重に競売開始決定をする(47条1項)。この開始決定を(狭義の)二重開始決定と呼ぶ。これに基づき、差押えの登記も新たになされる。後発の競売申立債権者は、その申立て後に配当要求の終期が到来する場合には、当該競売手続において配当に与ることができる(87条1項1号)。この場合に二重に開始決定をするのは、先行の開始決定がなんらかの事由により失効した場合でも、差押えの効力の発生時期を要素とする諸問題(競売不動産上の用益権の処遇等)に明解な解決を与えつつ、従前の手続を生かして手続を続行することを可能にするためである。

要 件
後発の競売申立ては、先行の申立人とは異なる者によりなされるのが通常であるが、別の債務名義[15]・担保権に基づいて同一人からなされることもある。しかし、執行債務者は同一でなければならない。例えば、(α)先行開始決定の差押えの効力の発生後に目的不動産が第三者に移転し、所有権移転登記がなされた場合には、新所有者の債権者から競売申立てがあれば重ねて開始決定がなされるが、二重開始決定とは呼ばない。譲渡が先行差押えの処分禁止効に触れるので、先行事件で買受人が代金を納付すれば、先行差押えの登記に後れる所有権移転登記は抹消され、後発の競売手続は取り消され、譲受人の債権者は配当を受けることができないからである。この場合には、後発の競売開始決定については、その送達および差押登記までをなし、その後の手続は停止しておく。先行の開始決定が失効した場合に、後行の開始決定に基づき手続が進められる。(β)先行差押え後に不動産が譲渡され、その後に先順位抵当権に基づく競売申立てによる開始決定がなされた場合も、同様に二重開始決定ではない。ただし、先順位抵当権者は、先行差押えに基づく手続において、抵当権者として満足を受けることができる。

後発の開始決定の性質
後発の開始決定も一般の開始決定と同性質のものであり、形式・手続・不服申立て等について同じ規律に服し、執行債務者に送達される。後発の差押債権者は配当に加えられ、先行する差押債権者の利益に影響を及ぼすので、配当要求と同様に、この者に通知される(規25条)。その後は、先発の競売開始決定に基づき競売手続が順調に進行する限り、後発の競売申立ては特に意味を有さず、競売申立てが配当要求の終期までになされた場合に、その範囲で配当を受けうるにとどまる(後発の債権者が担保権者である場合に、担保権者として満足を得ることは妨げられない)。

先行差押えに基づく手続の消滅の場合(47条2項・3項)
先発の競売申立ての取下げ・競売手続の取消しがあったときは、後発の競売開始決定に基づき当然に競売手続が続行される(47条2項)。この場合には、手続経済のために、従前の手続結果(現況調査、評価、物件明細書)が可能な限り流用される。もちろん、先発の競売申立てと後発の競売申立てとの間に相当の期間があり、再度現況調査を行うことが必要な場合もありうる。他方、競売不動産上の担保権・用益権の取扱いは、続行手続の基礎となる後発の差押えを基準にして判断される。その結果、評価・物件明細書の作成・売却基準価額の決定のやり直しが必要となる場合もある。配当要求の終期は、後発の競売申立てが先発の競売申立てに基づく終期までになされていれば、従前の終期をそのまま利用する(52条により更新された終期までに申し立てられた場合を含む)。他方、後発の競売申立てが終期後の場合には、従前の終期を流用することは87条1項1号との整合性を欠くことになるので、改めて終期を定める(47条3項)。

先行差押えに基づく手続の停止の場合(47条4項・5項)
先行差押えに基づく手続が一時的に停止されるにすぎない場合には、後発差押債権者の申立てに基づき手続を続行することが次の要件の下で認められている。
  1. 先行差押えを基準とする売却条件と後発差押えを基準とする売却条件とが同じであること(47条4項ただし書)  両者が異なるのであれば、先行差押えが取り消されるか否かが明確になるまで待つ必要がある。しかし、売却条件が同じであれば、後発手続により不動産を売却しても支障はない[12]。
  2. 後発の差押債権者が先発の配当要求の終期までになされたこと(47条4項本文かっこ書)  配当要求の終期の制度による差押債権者の利益の保護の要請は、手続が停止された場合にも存続し、配当要求の終期後の差押債権者は売却代金から満足を得ることができないとの原則(87条1項1号ただし書)を維持するためである[10]。もっとも、手続停止中も52条により配当要求の終期が更新されるので、最大3カ月待てば、この要件は充足される。

以上の要件の下で、後発債権者は、先行差押えに基づく手続の再開を待つか後発手続により売却するかを選択することができる(47条4項)。そのために、先行差押えに基づく手続が停止された場合には、後発の差押債権者に通知がなされる(規25条2項)。手続続行の申立てを却下する裁判は、申立人たる後発債権者の権利の実現を一時的にせよ拒絶する裁判であるので、これに対しては執行抗告することができる(47条5項)。
なお、続行決定に基づき手続が続行された場合の配当については、87条3項に特則がある。

8.3 配当要求

意 義
差押債権者以外の債権者も、一定の要件の下で、売却代金から平等な満足を要求することができる。この要求を配当要求という。それは、執行機関に向けられた一種の申立てであり、民法旧147条2号の差押えに準ずるものとして、時効中断の効力を有する(最高裁判所平成11年4月27日第3小法廷判決(平成9年(オ)第2037号))[4]。平成29年民法改正後においては、その配当要求が債務名義に基づくものであるときは新148条1項1号の強制執行として(又はこれに準じて)時効完成猶予効を有する。配当要求が先取特権に基づくときは、新148条1項2号の担保権の実行として(又はこれに準じて)時効完成猶予効を有する;配当要求がなされた競売手続が取下げにより終了した場合には、時効完成猶予効が認められるためには、配当要求に際して提出される181条1項各号所定の文書(法定文書)により先取特権が証明されたと執行裁判所により認められることが必要であり、かつそれで足りる(最高裁判所 令和2年9月18日 第2小法廷 判決)。執行裁判所がその証明があったか否かの認定をする前に競売申立てが取り下げられた場合には、先取特権の証明があったと認められるべきことで足りるとすべきである。

資 格
虚偽債権者による配当要求を完全に排除することはできないが、それをすこしでも減少させるために、配当要求をなしうる者は、次の者に限定されている(51条1項)。
上記に該当しなくても配当要求資格が肯定される者もある。 配当要求は、弁済請求と同じ権利行使の性質を有するので、停止条件付債権や期限付債権については、配当要求の終期までに条件が成就しまたは期限が到来していることが必要である([注解*1986b]422頁)。もっとも、仮差押命令は、被保全債権が条件付・期限付であっても保全の必要があると判断すれば発令されるので(民保20条2項)、その仮差押債権者からの配当要求は認めるべきであろう[13]。ただし、配当金は、91条1項2号により留保され、その留保事由がやんでも、不確定期限付債権、停止条件付債権の配当の実施は期限の到来または条件成就まで留保される(91条1項1号)。

留置権の被担保債権の配当要求
留置権者がその被担保債権について配当要求をなしうる場合に、配当要求と留置権の主張とを両立させてよいかは、理論的におもしろい問題である。

)留置権の被担保債権に一般の先取特権が成立し、その順位が当該競売手続において最先順位である場合には、その留置権は買受人に引き受けられないものとして売却するのが合理的である。競売不動産上に抵当権が存在する場合に、留置権の被担保債権の順位が抵当債権よりも順位が高いときも、同様である(民法391条の償還請求権がこれに該当する)。

)留置権の被担保債権に一般の先取特権が成立しない場合に、留置権者Xが被担保債権について有する債務名義に基づいて配当要求するときには、難しい問題が生ずる。例えば、留置権がないものとして売却すれば5000万円で売却することができる不動産について、被担保債権額2000万円の留置権が成立し、被担保債権について債務名義があるとする。他の一般債権者の債権額を8000万円とする。
  1. Xが留置権を放棄して配当要求したと仮定すれば、5000万円の売却代金を総額1億円の一般債権者間で分配することになるので、Xへの配当額は、1000万円になる。これでは、Xは不満である。
  2. 配当要求は留置権の放棄を伴わないと仮定し、買受人が被担保債権2000万円の弁済責任を引き受けるものとして売却すれば、売却代金は3000万円になる。これを総額1億円の一般債権者間で分配すると、Xへの配当額は、2000万円×0.3=600万円であり、買受人は、Xに残額1400万円を支払えば足りるが、これと2000万円との差額600万円を買受人から吐き出させて、他の一般債権者への配当に廻さないと、不合理な結果になる。しかし、その道を開くことは容易ではない。
  3. 配当要求は留置権の放棄をともない、この放棄と引換えに被担保債権の配当順位は一般債権者間では最先順位になると仮定すれば、5000万円の売却代金からXが2000万円の配当を受け、残額3000万円を他の一般債権者で配当することになる。

最後の解決Cが合理的であろう。特に、被担保債権額の問題は配当異議訴訟で解決され、その金額がX主張の金額よりも少なくても、Xは、買受人に対してもはや留置権を主張できないとすれば、買受人にとって予見可能性が格段に高まる(Bの解決ではこの問題も未解決のままとなろう)。

しかし、Cの解決は、競売不動産上に抵当権が存在する場合に、留置権の被担保債権の順位が抵当債権よりも順位が低いときには、そのままでは採用困難である。また、Cの解決を徹底させると、留置権者が被担保債権について配当要求資格を有しない場合にも、留置権の放棄と引換に優先的配当要求資格を肯定することになるが、それが合理的な解決であることは認めつつも、現行法の解釈としてそこまで徹底することはためらわれる。

結局のところ、上記(b)の場合についての問題の解決は、59条5項の合意により図るのが解釈論としては無難である。この合意の届出は、配当要求の終期後でも、売却基準価額の決定時前であれば可能である。売却基準価額の決定後に留置権の存在が明らかになった場合には、被担保債権額が大きければ、売却基準価額の定めに誤りがあったことになり、売却基準価額を定め直すべきである。

配当要求の終期
配当要求は、配当要求の終期までになされることが必要であり、それより後になされても配当は与えられない(87条1項2号)。これは、手続の開始および追行に努力した差押債権者とその努力の成果の分配を要求するにすぎない債権者とを平等に扱う平等主義の下で、差押債権者の利益が不当に損なわれないようにし、かつ、無剰余措置を取るべきか否かの判定を確実にするために設けられた制度である。一般債権者の配当要求についてのみならず、租税債権者等の交付要求にも適用がある[3]。

ただし、配当要求権者が同時に留置権者である場合(配当要求に係る債権が留置権の被担保債権である場合)については、留置権について引受主義が採用されていることとの関係で、次の選択肢が生ずる。
  1. 配当要求の効力を否定して、買受人に被担保債権を弁済させる。問題になるのは、執行裁判所が留置権の存在を認識しておらず、これが物件明細書に記載されていない場合である。売却の実施後になされた配当要求の結果このことが明らかになったときには、留置権が物件明細書に記載されていないこと、及びその留置権を考慮することなく売却基準価額が定められたことが売却不許可事由になるのであれば(71条6号)、売却を不許可にし、売却実施前にあきらかになれば、その瑕疵の重大性に応じて売却を中止して手続をやり直すべきである。
  2. 買受人の下で問題を解決されるように問題を先送りして紛争解決の負担を彼に負わせるよりは、引受主義の適用される負担の少ない不動産を取得させる方が強制競売の信頼を高める結果になるとの政策的判断の下に、留置権を主張する配当要求債権者については、配当要求の終期の制限をはずとともに、その留置権は買受人に引き受けられないものとして売却してよく、売却実施後・売却許否の決定の確定前に配当要求がなされた場合には、留置権の放棄と引換えに配当要求を有効とすることにより売却を適法とすることができるのであれば、そのようにしてよい。

Bの解決は、次の場合について、肯定説が有力になっている。
配当要求の終期の自動更新(52条
配当要求の終期は、最初は、執行裁判所が物件明細書の作成までの期間を考慮して定める(49条1項)。所定の終期から3カ月内に売却許可決定がなされ、その売却許可決定に従い代金が納付された場合には、終期はそのままである。他方、売却許可決定がそれよりも後になる場合には、終期は所定の終期から3月を経過した日に自動的に更新され、以後売却が完了するまで反復更新される(52条)。この更新の趣旨は、所定の終期に後れた配当要求を手続の停滞にあわせて正常な配当要求の枠内に組み込むことにある。配当要求の誘引を目的とするものではないので、更新後の終期については公告・催告は必要ない。終期に後れた配当要求は、代金が納付されて終期の更新の余地がなくなった段階で不適法であることが確定する。

手 続
配当要求する者は、執行裁判所に債権の原因・額を記載した配当要求書ならびに配当要求資格を示す文書(51条1項の文書)を提出しなければならない。不適法な配当要求で補正がないもの又は補正不能なものは、却下される。却下決定に対し、配当要求者は執行抗告ができる(51条2項)。不適法な配当要求が却下されない場合には、差押債権者や他の配当要求者、債務者は、執行異議または配当異議を申し立てることができる。

9 満足手続(84条以下)


9.1 総説

満足手続の開始
買受人から代金が納付されると、それを債権者の満足にあてることになる(「満足」の語は、部分的な満足を含めた意味で用いられる)。そのための手続は次の二つに分れる。両者をあわせて「配当等」と呼ぶ(84条3項)。
代金納付後における執行取消文書・停止文書の提出
代金納付後に執行取消文書が提出された場合には、債権者が一人であれば、売却代金全額を債務者に交付する。他に満足を受けるべき債権者があるときは、その債権者のために配当等を実施する(84条3項)。執行停止文書の提出によっては、配当等は妨げられない(84条4項)。

9.2 配当原資(86条

売却代金(86条1項)
民事執行法は、配当等に充てられる金銭を「売却代金」と呼んでいる。その主要部分は、売却許可決定に従い買受人が納付する「不動産の代金」である(78条2項により代金に充当される保証金等を含む)。そのほかに、代金不納付により保証金を没収された買受人がいた場合にその保証金や、剰余保証があった場合の保証額と代金額との差額も売却代金に組み込まれる(86条1項)。

一括売却の場合の代金割付け(86条2項)
一括売却された複数の不動産の間で満足を受ける債権者またはその順位が異なる場合には、各不動産ごとに売却代金を定めることが必要となる。それは、各不動産ごとの売却基準価額に応じて比例配分する方法による(86条2項)。

設例1 第1順位の抵当権(被担保債権額1000万円)が設定されている土地αと無負担の隣地βが一般債権者(債権額5000万円)の申立てに基づき競売され、両地が一括売却され、売却代金から手続費用を控除した配当原資が2000万円であるとする。
設例2  担保競売において、次のように負担状況の異なる土地αとその隣地βが一括売却され、売却代金から手続費用を控除した配当原資が2000万円であるとする。
第1順位抵当権者 第2順位抵当権者
土地α
A:1000万円
B:2000万円
土地β
B:2000万円
A:1000万円

各抵当権者への配当額は、各土地の売却基準価額に依存する。
担保競売事件に関する判例も含めて、関連する判例を挙げておこう。

9.3 満足を受ける債権者の範囲(87条

配当を受けることができる債権者は、次の者に限られる(87条1項)。
 (1号)差押債権者  配当要求の終期までに競売申立てをした一般債権者または一般の先取特権者である。競売申立てをした抵当権者は、4号に入る。
 (2号)配当要求の終期までに配当要求をした債権者
 (3号)最初の差押えの登記前に登記された仮差押債権者  なお、差押登記の後に登記された仮差押債権者は、配当要求をしなければならず(51条)、2号に入る。
 (4号)最初の差押えの登記前に登記された担保権(特別の先取特権者、質権者、抵当権者)で、売却により消滅するものを有する債権者  担保権の登記は、仮登記(共同申請による仮登記または仮登記仮処分による仮登記)でも、保全仮登記(民保53条2項)でもよいが、本登記がなされないと供託される(91条1項5号)[14]。差押えの登記後に登記された担保権は、差押えの処分禁止効により無視される。また、根仮登記担保権は、差押え前に登記されていても、競売手続では無効である(仮登記担保14条)。売却にかかわらず存続する質権(および特別の売却条件により存続するとされたその他の担保権)は満足を受けることができない。1号・2号に含まれる一般の先取特権者は、先取特権の発生時期と最初の差押え・仮差押えの時期との先後にかかわらず配当に与かることができるべきであり、87条2項・3項の適用外とすべきであるので、この点を明確にするためにかっこ書により4号から除外されている。

浮動状態にある差押え等に後れる担保権(87条2項・3項)
担保権が競売手続を起動あるいは続行させている差押えには優先するが、それに先行する仮差押えの登記あるいは停止中の差押えに後れる場合には、その担保権(中間担保権)の効力も未確定となる。この場合について、87条2項・3項が次のように規定している。
これらの者の権利はこのような浮動状態にあるので、これらの者の配当等に充てられる金銭は、ひとまず供託して(91条1項6号)、結果が判明してから追加配当を行う。

弁済期未到来債権(88条
)競売申立ての形で行使される債権は、競売申立ての時までに弁済期が到来していなければならない。他方、売却により消滅する担保権の被担保債権が弁済期未到来である場合に、そのことを理由に配当を与えないことは、担保物権の性格(交換価値の優先的把握)にそぐわない。そこで、民事執行法は、期限未到来債権や停止条件付債権も配当等を受けることができるとしたうえで、次の取扱いを定めた。
解除条件付債権は、配当を受けることができる(弁済期未到来の場合は、上記の区分に従う)。

)配当要求の形で行使される債権は、配当要求の終期までに弁済期が到来していなければならないのが原則である。ただ、前述のように期限未到来の債権に仮差押命令が発せられた場合には、期限未到来でも発する必要があったと発令裁判所により判断されたのであるから、87条1項3号または同2号の配当受領資格を肯定し、期限付債権については88条の適用を肯定すべきであろう。彼が実際に配当金を受領するためには、執行正本の取得が必要であり(91条1項2号・92条1項)、その段階になれば期限到来まで留保するより中間利息を控除のうえ配当するのが妥当と思われるからである(この場合でも、中間利息計算の基準時は、配当表の作成を容易にするために、他の場合と同様に、配当表作成時とする)。

9.4 配当等の準備のための手続

執行裁判所は、代金納付後、配当期日または弁済金交付期日を指定する。裁判所書記官がそれを各債権者・債務者に通知し、かつ、配当表等の原案の作成資料にするために計算書を1週間以内に提出することを各債権者に催告する(規則59条・60条・3条)。1週間の提出期限を懈怠しても、失権の効果は生じない。その後に提出された計算書も配当表の作成の際に斟酌される。

差押債権者の債権額の変更
不動産の差押えの登録免許税は、競売申立てにおける請求債権額の1000分4と定められている(登録免許税法別表第1・一(五))[16]。この費用は、最終的には手続費用として優先的に償還されるが、それでも当座の負担をできるだけ少なくするために、申立債権者は、申立書に記載する債権額を現存する執行債権額あるいは被担保債権額より少なくすることがある。

それが、債権の一部について執行を求める意思の表明である場合には、その趣旨を申立書に記載しなければならない(規則21条4号・170条1項4号)。この場合に、競売申立債権者は、競売申立書に記載した債権額に拘束されるのか、その後に提出する計算書により請求債権額を増額することができるのかが問題となり、拡張禁止説拡張許容説の対立がある(制度と判例の推移について、[吉田*2004b]120頁以下が詳しい)。

民事執行法の施行後、拡張禁止説が優勢となっていた。拡張禁止説からは、増額を認めることについて次の問題が指摘されている。
  1. 申立債権者の債権額は、超過売却や無剰余の判定の際の重要な要素になるのであるから、その変更は手続の安定を害することになる。
  2. 登録免許税の節税策として濫用されるおそれがある。
  3. 同順位債権者あるいは後順位債権者は、申立債権者の債権額が申立書に記載された額であることを信頼して、自己が競売手続に参加した場合の配当額を予想して、競売手続に参加したり、あるいは他の財産からの取立てを中止したりするのであり、競売申立債権者の債権額の変更は、その信頼を裏切ることになり、他の債権者に不測の損害を与える虞がある。

しかし、拡張禁止説には、賛成できない。
ともあれ、計算書による拡張を一律に禁止することも、全面的に許容することも妥当でない。両者の中間に妥当な解決がある。一定の要件の下で、許容すべきである。この点について、最高裁判所 平成15年7月3日 第1小法廷 判決(平成14年(受)第1873号)([吉田*2004b]156頁以下が詳細な分析をしている)[17]は、次のように説示している。
ただ、錯誤・誤記という特殊事情がない通常の場合を想定すると、差押債権者は、例えば、手続費用を控除した後の配当原資額が80億円と見込まれる不動産について、10人の者が1番抵当権を有し、それぞれが80億円の被担保債権を有する場合に、その内の一人が競売申立てをするときに、競売申立債権者への予想配当額は8億円でしかないのに、80億円の債権全額を請求債権額として競売申立てをしなければならず、その結果、3200万円の登録免許税を納付しなければならなくなる。そこで、この負担を軽減するために、次のような競売申立てがなされるとどうなるかが問題となる:競売申立書に「被担保債権及び請求債権」として,「金8億円 ただし,債権者が債務者に対して有する下記債権のうち,下記記載の順序にしたがい上記金額に満つるまで。」との記載に続けて,80億円の被担保債権全部を記載した競売申立てである。

これと類似の事案に関する先例として、最高裁判所 平成17年11月24日 第1小法廷 判決(平成15年(受)第278号)がある(上記の設例は、この判決を基にしたものであるが、数字は説明の便宜のために変更した)。原審(大阪高等裁判所 平成14年10月31日 第5民事部 判決(平成14年(ネ)第1353号))は、(α)民事執行法,同規則において,「配当の上限としての請求債権」と「あん分計算の基礎となる請求債権」とを区別する考え方は全く採られておらず,申立書に記載する請求債権(被担保債権)は,申立債権者が権利行使をする債権の趣旨で規定されているのであり,配当の上限額にすぎないものと解することはできないと説示したうえで、(β)この申立てを債権の一部についてのみ担保権の実行を求める趣旨の申立てであると解して、差押債権者の債権額を8億円として比例配分すべきであるとした。これに対し、最高裁は、その申立書の記載は、申立書に記載された被担保債権の全部の額を配当額の計算の基礎として、8億円までの範囲で配当を請求することを示す趣旨のものと解するのが相当であるとし、債権者が債務者に対して有する債権全額(上記の設例では80億円)でもって比例配分すべきであるとした(原判決の(α)の説示に対しては特に述べているわけではないが、この説示を否定したと解すべきである)。妥当な解決というべきである。競売申立債権者が得ようとする金額は8億円であり、登録免許税はこの金額を基準に定めてよく、それを脱法行為と非難することは正当ではない。

9.5 売却代金交付手続(84条2項)

執行裁判所は、各債権者が提出した計算書その他の執行記録に基づき、売却代金交付計算書を作成し、弁済金を債権者に交付し、剰余金があれば債務者に交付する(売却代金交付=弁済金交付+剰余金交付)。ここでいう債務者は、差押え当時の執行債務者=所有者であり、その後に債務者の処分行為により所有権を取得した者ではない。差押え後の所有権移転は、差押えの効力により、競売手続との関係では無効だからである。実質的には、剰余金受領権者が誰であるかの問題を単純化することにより、執行裁判所の負担を軽減するためである。

代金交付は、このように、極めて簡略な手続で行われる。執行債務者が債権額を争っても、それは一切斟酌されない。ただ、弁済金交付を受ける債権者がすべて執行正本を有する場合はそれでよいが、一般の先取特権者が配当要求したにすぎない場合などには、その債権の存否・額を争う債務者は、弁済金交付後に不当利得返還請求の訴えを提起しなければならず、その地位が不当に弱められている。したがって、弁済金交付を行うべき場合に配当を実施しても、それは適法と解すべきであり、債務者が執行正本のない債権を争う場合には、むしろ配当手続による方が望ましい。

9.6 配当手続(85条以下)

配当表の記載内容の確定
配当手続が行われる場合には、執行裁判所は、配当期日において、87条1項所定の各債権者について、その債権の元本及び利息その他の附帯の債権の額、執行費用の額並びに配当の順位及び額を定める(85条1項本文)。配当の順位及び額を定めるにあたっては、民法、商法その他の法律の定めるところによらなければならない(同条2項)。後順位債権は先順位債権が全額の満足を得た後でのみ配当を与えられ、同順位債権者は債権額に応じて配当を与えられる。

 充 当    同一の担保権者に対する配当金がその担保権者の有する数個の被担保債権のすべてを消滅させるに足りないときは、右配当金は、右数個の債権について民法489条ないし491条の規定に従った弁済充当(法定充当)がされるべきものであって、債権者による弁済充当の指定に関する特約がされていても右特約に基づく債権者の指定充当は許されない。最高裁判所 昭和62年12月18日 第2小法廷 判決(昭和62年(オ)第893号);最高裁判所 平成9年1月20日 第2小法廷 判決(平成6年(オ)第2122号) ;最高裁判所 平成27年10月27日 第3小法廷 判決(平成25年(受)第2415号)。

 共用根抵当権   共用根抵当権の各債務者に対する債権の担保への案分の基礎となる被担保債権額を算出する場合には、ある債務者に対する債権の弁済によって他の債務者に対する債権も消滅するという関係にある複数の被担保債権があるときにおいても、いずれの債権もその全額を各債務者についての被担保債権額に算入するべきであって、右算入額の合計額が根抵当権者が弁済を受けることができる額を超えてはならないものではない(最高裁判所 平成9年1月20日 第2小法廷 判決(平成6年(オ)第2122号))。

 全部代位者の順位  民法501条により原債権者に代位する者は、原債権者が有していた権利の順位で配当を受けるのが原則である。原債権(被代位債権)が一般先取特権付きであれば、代位者は当該一般先取特権の順位で原債権の配当を受ける(破産事件おける財団債権に関するものであるが、最高裁判所 平成23年11月22日 第3小法廷 判決(平成22年(受)第78号)参照)。ただし、求償権の範囲を超えることはできない(民法501条柱書)。求償権の額が被代位債権額を上回る場合には、超過部分については、一般債権者として権利を行使することができる。

 一部代位者の順位  例えば保証人が保証債務の一部を履行したことにより被保証債権の一部を代位取得する場合には、保証人は、主債権者に対してなお保証債務の履行義務を負っているので、保証人と主債権者を同順位に置くべきか否かが問題になる。同様な問題は、物上保証人についても生じ、保証人の場合と同様に扱うべきであろう(物上担保不動産の競売により一部弁済に至った場合にも、担保不動産の競売を回避するために物上保証人が任意弁済をした場合でも同じに扱うべきである)。一部代位取得された債権のために主債務者の財産上に担保権が設定されている場合に、その担保権は一部代位者と原債権者との準共有順に属すると考えられるが、その担保不動産の競売手続における担保権者への配当については、原債権者が一部代位者に優先する(原債権者優先主義。最高裁判所 昭和60年5月23日 第1小法廷 判決(昭和56年(オ)第1175号))。主債務者の財産上に担保権が設定されていない場合に、強制執行の手続において原債権者と一部代位者が共に配当手続に参加する場合については、判例は見あたらない。最判昭和60年の判旨をこの場合に拡張すれば、原債権者と一部代位者の双方への配当額をプールして、その中から原債権者に先に配当すべきことになる。しかし、そうすると、一部代位者が配当手続に参加しない場合の処理をどうすべきかの問題が生じ、また、破産法が開始時現存額主義を採用して、その原則の範囲内で原債権者と一部代位者とを同順位に扱っていることをどのように考慮するかの問題もあり、現段階では未解決の問題である。ただ、いずれかにすべきかと問われれば、おそらく、同順位とするのがよいであろう。

配当期日には、87条1項に規定する債権者及び債務者を呼び出す(呼出状の送達について85条7項参照)。裁判所は、85条1項所定の事項を定めるために必要があるときは、出頭した債権者及び債務者を審尋し、かつ、即時に取り調べることができる書証の取調べをする(4項)。したがって、配当表は各債権者の一方的な主張のみを基礎にして作成されるものではなく、債権者および債務者の主張、執行記録および証拠書類に基づき裁判所の自由な心証に基づいて作成するものであり、一種の裁判の性質を有する。もっとも、執行正本のある債権については、そこに表示された債権額の範囲では債権者の主張をそのまま認めなければならない。

なお、配当の順位及び額については、配当期日においてすべての債権者間に合意が成立した場合は、その合意に従う(85条1項ただし書)。債務者の同意は不要である。なぜなら、配当の順位は、債権者間で問題となることであり、債務者はいずれの順位の債権者にも弁済をしなければならないからである。もっとも、利率に相当の相違のある複数の債権について債務者に不利な合意がなされ、その合意された順位が裁判所の認定する本来の順位と異なる場合には、裁判所がそれに従うためには債務者の同意が必要であると解すべきであろう。

配当表の作成(85条5項・6項)
配当表は、配当期日において85条1項所定事項が確定したとき(裁判所が定めた場合又は債権者間で合意されたとき)に、裁判所書記官が作成する(5項)。配当表には、次の事項を記載する(6項)。
弁済充当
同一債権者が複数の債権を有し、彼が債務者等との特約により弁済充当指定権を有する場合に、その指定権を行使できるかについては見解が分れている。最高裁は、「不動産競売手続は執行機関がその職責において遂行するものであって、配当による弁済に債務者又は債権者の意思表示を予定しないものであり」、「画一的に最も公平、妥当な充当方法である法定充当によることが右競売制度の趣旨に合致する」ことを理由に、これを否定している(最判昭和62.12.18民集41-8-1592[百選*1994a]51事件(佐村浩之)、[百選*2005a]48事件(佐村浩之))。文献上は、肯定説が有力となっている。

二重配当表
例えば、一般債権者A(債権額400万円)の申立てに基づく差押え後にB(600万円)が抵当権の設定を得、さらに一般債権者C(1200万円)の申立てにより二重開始決定がなされ、Aの申立てに基づく競売事件について執行停止がなされ、Cの申立て事件について続行決定がなされ、売却代金から手続費用を除いた配当原資が800万円であったとする。この場合には、本案訴訟においてAが勝訴した場合の配当額(A=200万円、B=0円、C=600万円)と、Aが敗訴した場合を想定した配当額(A=0円、B=600万円、C=200万円)を計算し、さしあたりは少ない方の額のみを交付し、残額は供託することが必要となる(87条3項、91条1項6号参照)。このように、想定される複数の場合にそなえて配当額を多重的に計算して作成される配当表を二重配当表と言う(一つの配当表に配当額を多重的に掲記しても、別個の配当表を作成しても同じである)。この場合でも、停止中の手続を申し立てている債権者の勝訴を前提にして計算された配当額が本来の配当表の内容となり、彼が本案訴訟で勝訴すれば、供託された配当金が配当表どおりに交付され、敗訴すれば、あらためて配当期日を開いて配当表を変更(再作成)して、配当実施することになる。仮差押えの登記後に登記された担保権がある場合も、同様に、仮差押債権者が勝訴することを前提にした本配当表と敗訴する場合を前提とする予備配当表を作成する。

配当表に関する不服
(a)
配当表の作成手続に関する瑕疵(配当手続開始の要件の欠缺、配当期日の呼出がなかったことなど)については、債権者・債務者は執行異議を申立てることができる(11条)。

(b) これに対し、配当表に記載された各債権者の債権または配当額を争う債権者・債務者は、配当期日に出頭して配当異議の申出をし、これにより異議に係る部分の配当の実施を阻止した上で(89条2項)、さらに、訴訟により異議の貫徹をはからなければならない。執行裁判所は配当表の原案に対する異議の陳述を排斥した場合には、異議の撤回がないかぎり異議の申出があったものと扱うのが適当である。
  (b1) 異議を申し出ることができる債権者であるためには、配当に与ることを主張する債権者であれば足り、配当表に記載されていることは必要ない。手続上の債務者は、自己の財産から弁済がなされ、不当な配当により自己の財産が減少することを阻止するために異議を申し出ることができるが、その他の債務者(物上保証の場合の被担保債権の債務者など)は、異議の申出をなすことができない。その利益を有しないからである(この場合の債務者は、不当に多額の配当等がなされたことにより過大な求償を受けることを避けるためには、現在の債務額を物上保証人に通知することで足りる。民372条351条463条443条2項参照)。
  (b2) いわゆる、二重配当表において、予備的に計算される配当額は異議の対象とはならない。その部分については、予備的に想定された場合が現実化したときに、配当表をあらためて作成する際に異議を申し出ることになる。
 (b3) 債務者は、配当期日までに債権を弁済により消滅させたこと等を異議の事由とすることができる(最判平成1.6.1判時1321-126。 配当手続が開始された後では39条1項8号に掲げる文書の提出があっても執行裁判所はこれを無視して配当等を実施すべきであるとした原判決を破棄した。[百選*1994a]53事件(近藤崇晴))。

(c) 異議の解決のための訴訟手段  異議の解決のための訴えの提起責任は、常に異議者が負う。訴えの種類は、場合により異なる。
上記のことは、相手方が登記された担保権者であっても同じである。異議者はこれらの訴訟手段を取ったことを原則として配当期日から1週間以内に証明しなければならない(90条6項)。執行正本を有する債権者に対する債務者からの異議は、債務名義に基づく執行を停止させるのと同じ意味を有するので、当該債権者が配当要求債権者である場合も含めて、執行停止の裁判(36条)の正本を提出しなければならない。これらがなされないときは、異議の申出は取り下げられたものと見なされ、異議のあった部分についても配当が実施される。

配当異議事由
配当表に記載された自己への配当額が不当に少ないことが異議事由となる。配当異議の訴えは実体法上の権利に基づき配当表の変更,取消しを求めるものであり(90条4項),配当表を是正するためには,配当表の誤記が執行裁判所の責めに帰すべき事由により生じたことを要するものではない(最高裁判所 平成14年10月22日 第3小法廷 判決(平成13年(受)第1567号))。

配当の実施
執行裁判所は、配当表に従って配当額を債権者に支払う。ただし、91条所定の事由がある場合には、配当額を供託しなければならない。次のように大別される。
留保供託された配当金について配当を実施すべきことが確定すれば、債権者にその配当額が支払われ、実施すべきでないことが確定すれば、他の債権者のために追加配当を行うことになる。追加配当の原資が一部の債権者の提起した配当異議訴訟の成果である場合には、追加配当はその債権者のためにのみなされるが、その他の場合(91条1項1号ないし6号の場合、7号の内で債務者が配当異議の訴えを提起して勝訴した場合)には、債権者全員のために追加配当がなされる(92条2項。債務者が請求異議の訴えに勝訴した場合は、91条1項3号に含まれる)。

配当の効果
配当の実施が完了することにより、競売手続は終了する。執行正本を提出した差押債権者・配当要求債権者が債権の全額について配当を受けた場合には、債権者が二重執行により不当な利益を得ることがないようにするために、執行正本は執行記録に編綴したままとし、債権者には返還しない。しかし、債務者の求めがあれば彼に交付する(規則62条)。債務者が執行正本を所持していること自体により執行債権が完全な満足を得たことを明白にする趣旨である(権利関係を明確にする意味では、規則62条3項の拡張解釈により、この場合にも配当額を記載の上交付するのが望ましい)。その他の場合には、債権者は、残額の満足を得るために裁判所書記官に執行正本の交付を求めることができる。その債権者が一部の満足を受けた場合には、裁判所書記官は、その満足額を記載して交付する。次の執行手続おいては、この満足額の記載は配当等の手続において考慮されるべきであり、執行力の一部排除のための請求異議の提訴の負担を債務者に負わせるような配当表を作成すべきでない。

9.7 配当に関する争いの解決

配当に関する争いは、請求異議訴訟または配当異議訴訟により解決される。その訴えの提起責任は、異議の申出をした者が負う。配当表は、配当すべき金額に関する争いを解決するための訴訟の起訴責任の分配機能をも有する。

論 点 請求異議の訴え(民執35条)・定期金賠償の変更の訴え(民訴117条) 配当異議の訴え
90条関係 この解決方法がとられるべき場合 債務名義を有する債権者に対して債務者が異議を述べる場合(90条5項)
左の場合以外(90条1項)
  • 他の債権者が異議を述べる場合
  • 債務者が債務名義を有しない債権者に異議を述べる場合
1週間以内に執行裁判所に対して次のことをしないと、配当異議の申出の取下げが擬制される(90条6号) 起訴の証明、及び、執行停止を命ずる裁判の正本の提出(民執36条・民訴403条1項6号)。 起訴の証明
91条関係 次の事由が生ずると配当等の額に相当する金銭が供託される(91条1項) 39条1項7号の執行一時停止文書(91条1項3号) 配当異議の訴えの提起(91条1項7号)
92条関係 原告である債務者が勝訴したときに拡大的処理(絶対的処理)がなされるべきことを定める規定 92条2項前段・91条1項3号(原告は債務者であるので、常に拡大的処理となる) 92条2項後段・91条1項7号(債務者が原告の場合に拡大的処理となる)

10 配当異議訴訟(90条


10.1 訴えの性質・訴訟物

形成訴訟説・確認訴訟説・救済訴訟説・命令訴訟説等が対立しているが、形成訴訟説によれば、次のように説明される。配当の実施は配当表に準拠すべきものとされており、当初の配当表とは異なる配当をなすためには、配当表の変更ないし取消し・新規作成が必要となる(90条4項・91条1項、92条)。したがって、配当異議認容判決は、当初の配当表につきその変更ないし取消しを宣言する形成判決でなければならない。形成原因は、配当表に記載された被告の債権に対する配当額が原告との関係において実体法・手続法に従いあるべき配当状態に一致しないことであり、その旨の主張が訴訟物となる[8]。

10.2 管轄・当事者

管轄
訴額にかかわらず、執行裁判所の管轄に専属する(90条2項・19条)。この場合の執行裁判所は、官署としての執行裁判所である。

当事者
原告適格を有するのは、配当異議の申出をした債権者・債務者である。被告適格を有するのは、配当異議の申出において原告への配当額を増額させるため配当額を減額されるべきものとされた債権者である。債務者への剰余金がある場合には配当手続ではなく代金交付手続がとられるのが通常ではあるが、配当手続をおこなうこともありえるので、債務者への剰余金交付を含めた配当表が作成された場合には、債務者も被告となりうる。

10.3 訴訟手続

原則として一般の判決手続の例による。ただし、次の点に注意しなければならない。

提訴期間
配当異議の相手方とされた債権者の配当受領が不当に遅延させられることがないようにするために、配当異議の訴えの提起を配当期日(知れていない抵当証券の所持人に対する配当異議の申出にあつては、その所持人を知つた日)から1週間以内に執行裁判所に証明しないと、配当異議の申出は、取り下げられたものと擬制される(90条6項前段)。

異議を述べられた債権者が買受人で、差額納付の申出がなされていた場合には、彼は配当期日から1週間以内に異議に係る部分に相当する金銭を納付しなければならないが、もし納付されないと代金不納付となり、買受申出は効力を失う。その場合には、再度売却をして改めて配当手続を行うことになり、配当異議の訴えは不要となる(次順位買受申出がなされている場合でも、配当異議の訴えの提起が不要になる可能性が残っていることに変わりはない)。そこで、異議を述べた債権者は、買受人が異議に係る部分について代金を納付したことを確認してから配当異議の訴えを提起することができるようにするために、提訴期間は2週間とされている(90条6項第2かっこ書き。[谷口=筒井*2004a]96頁注102)。

提訴期間を過ぎて提起された訴えは、訴えの利益を欠き、却下される。

原告の欠席
第一審の最初の口頭弁論期日に原告が欠席した場合には、欠席の原因が彼の責めに帰せられない場合を除き、訴えは却下される(90条3項)。不出頭の原告の意思が配当異議を放棄する趣旨と一般に推認されるからであり、民訴158条の適用を排除する旨の特則である。配当異議により他人の権利実現を妨げながら、異議の解決の訴訟を熱心に追行しないことに対する制裁の意味もある。

攻撃・防御方法
既判力のある債務名義のある債権に対して他の債権者が配当異議の訴えを提起した場合に、原告(異議債権者)が既判力に妨げられずに債権の存否や額を争うことができるかについては、見解が分れている。次の理由により、肯定説が妥当であろう。
したがって、原告(異議債権者)は、債務者の主張できるあらゆる抗弁事由を、既判力に妨げられることなく、主張できる。債権者取消権を行使することも、消滅時効を債権者代位権により援用することもできる(最判昭和43年9月26日民集22-9-2002頁)。

共同訴訟
同一債権者への配当額の減額を主張する複数の異議者が共同原告となった場合でも、各原告は自己の利益のために被告への配当額を争っているだけであり、個別相対的な解決で足りるので、必要的共同訴訟ではない。被告が複数の場合も同じである。

補助参加
ある債権者が提起した配当異議訴訟に他の債権者が補助参加する利益は原則として否定されるが、債務者の参加の利益は肯定してよい(係争債権に既判力のある債務名義がある場合に重要となるが、ただ、債務者が補助参加人として既判力ある判断をすることができるかは、別途検討すべきである)。債務者の提起した配当異議訴訟では、請求認容判決により自己の配当が増加する見込みのある債権者は、補助参加の利益を有する。予め配当異議の申出をしていたか否かは、重要でない。

10.4 判決

判決内容
請求認容判決において、裁判所は次のいずれかの措置をとることができる。
配当表の変更の場合でも、判決がそのまま配当表になるわけではなく、執行裁判所が判決内容に従い配当表を更正することが必要である。いずれの場合にも、次の問題が含まれる。
  1. 被告から取り上げられる配当利益は誰に与えられるか。
  2. 原告に追加分配される金額の計算と余剰がでた場合の処理。

10.5 被告から取り上げた利益の配分先

被告から取り上げられる配当利益は誰に与えられるかの問題の答は、原告が誰であるかに依存する。
  1. 拡大的処理ないし絶対的処理  原告が債務者の場合には、係争配当額は、さらに配当を受ける他の債権者がいれば、その債権者にまず分配され、剰余があれば債務者に交付される(92条2項)。判決において認定された被告の債権額を基礎にして、全債権者の配当額を再計算することになり、再分配を受ける債権者が複数いるときは、配当表を取り消すにとどまり、配当表の再調製は執行裁判所に委ねる。再配分を受ける債権者が一人のときは、配当表を変更するのが通常である。
  2. 相対的処理  原告が債権者のみの場合には、原告・被告間で配当利益の帰属を変更すれば足り、原告債権者に全額の満足を与えてなお余剰がある場合でも、それを他の債権者あるいは債務者に与えるべきではない(92条2項の反対解釈[1])。異議訴訟の判決では、配当表を変更すればよい。

相対的処理の具体例
 (α)被告が優先債権者である場合、および一般債権者であるがその債権が現存しないことが認められた場合には、被告から取り上げられるべき金額は明確であり、それをまず原告の債権額に満つるまで原告に与える(吸収説。最判昭和40年4月30日民集19-3-782)。その余剰がある場合に、それを被告の配当額に留めるか、それとも債務者に交付すべきかについては争いがあるが、相対的解決の趣旨により、残余は被告に与えるべきである(被告説)。例えば、配当原資が900万円である場合に、配当表において一般債権者A・B・Cの債権額がそれぞれ500万円、配当額が各300万円とされ、AのみがBに配当異議の訴えを提起して、Bの債権額がゼロであることが認定された場合には、Aの最終配当額は500万円(300万円+200万円)、Bの最終配当額は100万円(300万円-200万円)となり、Cの配当額は変らない。債務者は、既判力によって妨げられない場合に、Bに不当利得返還請求する余地があるにとどまる。
 (β)原告と被告が共に一般債権者であり、かつ、被告の債権額が低く認定されるにとどまる場合には、被告から取り上げられるべき配当額の算定の問題と原告に与えられるべき配当額の問題とが密接に結び付くことになる。この場合には、原告および被告への当初の配当額の合計額を新たに認定された債権額で再配分して、各自の最終配当額を算定することになる(按分説。例えば、上記の設例で、Bの債権額が250万円と認定された場合には、両者への配当額の合計600万円をその債権額(2:1)で比例配分し、Aの最終配当額が400万円、Bのそれが200万円となる)。
 (γ)優先債権者が後順位債権者に対して提訴した場合には、後順位債権者の債権の存否・額を特に問題にすることなく、優先債権額が充足されるまで後順位債権者から平等に配当額を取り上げることになる。例えば、配当原資が900万円である場合に、配当表において優先債権者Aの債権額が300万円、一般債権者Bの債権額が500万円、同Cの債権額が1000万円とされ、配当額がそれぞれ300万円、200万円、400万円とされたとしよう。自己の債権額が600万円であると主張するAがB・Cを被告に配当異議の訴えを提起して、裁判所がAの債権額を600万円と認定する場合には、BとCの債権の存否・額を問題にすることなく、Bから100万円、Cから200万円が取り上げてAに与えれば足りる。最終的な配当額は、Aが600万円、Bが100万円、Cが200万円になる。

10.6 判決確定後の配当処理

判決の効力
判決の効力は、当事者間でのみ生じ、本案判決が確定すると、当初の配当表に記載された配当額と原告との関係において法的に正当な配当状態との不一致(配当表の変更・取消しの原因)の存否の判断について既判力が生ずる。請求認容判決により当初の配当表は該当部分について効力を失う。配当表の新内容が判決主文で示された場合には、執行裁判所はそれにしたがって配当表を更正し、あるいは新たに調製する。なお、原告が債務者であるか否かによって変更の範囲が異なることに注意しなければならない。請求が認容されなかった場合には、係争配当額につき、当初の配当表どおりに配当を実施する。

新配当表の調製
当初の配当表が取り消された場合には、執行裁判所は新たに配当期日を指定し、認容された配当異議に関係のある債権者および債務者を呼び出し、新配当表を作成する(配当表の変更の場合(判決主文で新配当表の内容が示されている場合)にはこの手続がない)。この手続は、従前の配当手続の継続であり、配当期日ないし配当異議に関する一般規定の適用がある。新配当表は、当初の配当表と配当異議認容判決とを基礎にして作成される。新配当表に対する配当異議も許されるが、旧配当表に対する異議おいて主張すべきであった事由は主張し得ない。従って、新配当表に対する異議は、新配当表の記載と配当異議判決および旧配当表の維持された部分との不整合を理由とするものが中心となる。他方、一般債権者に対する配当額がゼロの当初配当表について債務者が担保権者に対して配当異議の訴えを提起して勝訴した結果一般債権者への配当も可能になったような場合には、一般債権者間での配当異議は許される。

10.7 配当関係訴訟の競合

同一の配当部分について異議訴訟が競合して提起された場合には、できるだけ弁論を併合して統一的に審判するのが望ましい[18]。一部の訴訟についてのみ上訴が提起されあるいは訴えの取下げ等がなされため、訴訟の完結に差異が生じた場合には、全部の訴訟の完結をまって配当処理をなすべきであり、また、訴訟完結後の配当表の更正なり新配当表の調製に際して複数の判決内容を統合しなければならない場合が生ずる。

10.8 配当異議と不当利得返還請求

実体関係に合致しない不当な配当がなされた場合に、それにより不利益を受けた債権者は、利益を受けた債権者に対して不当利得返還請求をなしうるかについては、見解が分れている([堤*2000a]が判例・学説の状況を詳しく紹介している )。

判例は、一般債権者についてはこれを否定し(最高裁判所平成10年3月26日第1小法廷判決(平成8年(オ)第983号))、売却により消滅することになる担保権については、配当手続における債権者の態度いかんにかかわらず、これを肯定する方向にある(東京高判平成2年5月30日判例時報1353号62頁、最判平成3年3月22日民集45巻3号322頁[百選*1994a]52事件)。

学説は、次のように分かれている。
  1. 判例の立場を支持する見解(折衷説)
  2. 一般債権者についても担保権者についても肯定する見解(肯定説)[6]
  3. 一般債権者についても担保権者についても否定し、配当期日に呼び出しがなかった場合に例外的に肯定する見解(否定説)
  4. 基本的には折衷説に立ちつつも、不当配当が不利益を受けた担保権者の行為あるいは怠慢に起因する場合にその者の不当利得返還請求を否定して、否定説への接近に努める見解(限定的肯定説)。

11 供託と配当実施(91条92条


11.1 留保供託(91条1項)

配当表に配当等を受けるべき債権として記載された債権も、債権者がその配当額を直ちに受け取ることを妨げる事由があるときは、供託される。そのような事由として、91条1項が次のものを挙げている。
 (1号)停止条件付又は不確定期限付であるとき  停止条件の成就または不確定期限の到来まで、債権者は受領できない。他方、解除条件付のときは、債権者は直ちに受領することができ、その後に解除条件が成就したときは、債務者が不当利得の返還を請求する。確定期限付き債権は、88条により期限が到来したものとみなされ、配当金等は直ちに支払われる。1号の適用がありうのは、主として抵当権等の被担保債権である。一般債権者は、期限未到来あるいは停止条件付であれば、そもそも配当要求あるいは差押えをなしえず、配当に与かることができないのが原則である。ただし、仮差押えの被保全債権については、前述のように、弁済期未到来あるいは停止条件未成就でも配当に加えてよいが、配当金の受領のためには次述の2号の制限も越えなければならない。

 (2号)仮差押債権者の債権であるとき  仮差押債権者は、本案訴訟を提起して被保全債権の支払を命ずる判決を得るか、またはこれに代わる債務名義(正確には、25条の執行正本)を得ないと、配当金等を受領することができない。本案訴訟で債権者が敗訴すると、供託された配当金は、他の債権者等への配当に回わされる。

 (3号39条1項7号に掲げる文書(強制執行の一時停止文書)又は183条1項6号に掲げる文書(競売手続の一時停止文書)が提出されているとき  債務者が請求異議の訴えを提起すると共に、36条により一時停止文書を得て提出する場合が代表例である。配当金の帰趨は、請求異議訴訟の結果に依存し、異議認容判決が確定すると、拡大的処理に付される。

 (4号)その債権に係る先取特権、質権又は抵当権の実行を一時禁止する裁判の正本が提出されているとき  担保権者の権利行使を一時阻止する方法としては、担保権の実行として現になされている競売手続を停止させる裁判(183条1項6号)と担保権の実行を一般的に禁止する裁判(183条1号7号)の2種類が用意されている。いずれも当該担保権者への配当を阻止する文書となるが、本号に該当するのは後者である(前者は3号後段による)[9]。

 (5号)その債権に係る先取特権等につき仮登記又は保全仮登記がされたものであるとき  仮登記のままでは対抗力がなく、他の債権者との関係では優先弁済受領権を主張しえないこと、また、後順位債権者がいない場合でも仮登記のままでは抵当権の存在が確実ではないこと等を考慮して、配当を留保するものとされた。売却手続の完了により仮登記は抹消され、本登記の余地はないので、配当を受け取るためには、競売がなされなかったならば本登記をなしえたであろうことの証明が必要であり、またそれで足りるが、具体的な証明方法は解釈に委ねられている。後順位債権者の承諾書等を要求する見解も多いが、後順位債権者は配当異議の申出により配当を争うべきであるから、所有者との関係で本登記をなすのに必要な条件が具備していることを明らかにする文書の提出で足りると解すべきである。従って、所有者の本登記承諾書あるいは本登記を命ずる判決、競売により仮登記が抹消されていて本登記が不能となっている場合には、債務者が作成する配当金交付承諾書または配当金交付請求権が債権者に帰属することを確認する判決がこれにあたる(その他、和解調書等でもよい)。なお、訴訟により配当金交付請求権の帰属を確認する前に、裁判所が債務者等に仮登記債権者の債権・担保権を争う意思があるのであればその旨を届け出ることを催告し、その旨の届け出がある場合にのみ仮登記債権者は訴訟提起の責任を負うとの見解が主張されており(横浜地判昭和60年10月31日・判タ580号89頁)、魅力的である。ただし、この見解を前提にしても、執行裁判所がこのような取扱いを積極的にしない場合に、抗争の意思を表明していない債務者を被告に仮登記債権者が配当金交付請求権存在確認請求の訴えを提起したときに、訴えの利益なしとして却下するのは行き過ぎである(東京高判昭和61年3月27日・判時1196号117頁)。なお、仮登記債権者に配当を実施しても他の債権者が害されることがない場合には、留保供託は不要であるとの見解もあるが([注釈*1997d]258頁(生熊長幸))、所有者が抵当権の存在を争っていて保全仮登記がなされた場合のことを考えると、賛成できない。

 (6号)仮差押えの登記又は執行停止に係る差押えの登記の後に登記された先取特権等があるため配当額が定まらないとき  このような担保権(中間担保権)の効力は、本案訴訟あるいは請求異議訴訟の帰趨に依存する(87条2項・3項)。このような場合には、先行する仮差押債権者または差押債権者が勝訴することを前提にして作成された配当表(本配当表)と敗訴することを想定した配当表(予備配当表)とが作成される(二重配当表)。前者が本来の配当表であるが、この配当表に従って配当すると先行差押債権者等が敗訴した場合に中間担保権者の利益が害されるおそれがあるので、両配当表における少ない金額を配当し、本配当表による配当額との差額があれば、それは留保される。

 (7号)配当異議の訴えが提起されたとき  先に説明した。

11.2 不出頭供託

配当等は、受領資格者が執行裁判所に出頭して受け取るべきものである(裁判所は持参して弁済する義務を負わないし、債務者が持参して弁済するようにすることは危険である)。債権者が配当等の受領のために執行裁判所に出頭しなかった場合には、その債権者に対する配当等の額に相当する金銭を供託する。この供託は、弁済供託の性質を有する。義務履行地は執行裁判所の所在地であり、その地を管轄する法務局に供託する。各債権者ごとに供託して、通知する(民法495条)。
債務者に交付すべき余剰金がある場合に、債務者が受領のために出頭しない場合には、弁済供託の要件が満たされるので(民法494条)、供託するのが適当である(義務ではない)。

11.3 権利確定にともなう配当等の実施

留保供託の事由が消滅した場合には、供託金を配当する。誰に配当するかは、供託事由の消滅の態様に従って定まる。
 ()拡大的処理  次の場合には、配当異議を申し出なかった債権者のためにも配当表を変更する(92条2項)。
 ()相対的処理  異議債権者が提起した配当異議訴訟において彼が勝訴した場合で、かつ、拡大的処理が要求されない場合は、彼のためにのみ配当表を変更する。

 ()それ以外の場合には、当初の配当表に従い配当が実施される。

配当表記載の根抵当権者の配当額について配当異議の訴えが提起されたためにその配当額に相当する金銭が供託され,その後,当該根抵当権者が上記訴えに係る訴訟において勝訴したことにより,当該根抵当権者に対し上記配当表記載のとおりに配当がされる場合には,その配当の実施は,供託金の支払委託によって行われ、当該供託金は,その支払委託がされた時点における被担保債権に法定充当がされる(最高裁判所 平成27年10月27日 第3小法廷 判決(平成25年(受)第2415号))。

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Author: 栗田隆
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1998年 6月 5日−2016年6月7日