目次文献略語
民事執行法概説

動産執行


関西大学法学部教授
栗田 隆

第1章 強制執行
 第2節 金銭執行
  第3款 動産に対する強制執行

1 概説


1.1 動産執行の機能

消費財にせよ生産財にせよ動産の形をとる財貨は、総じて、大量生産と技術革新のもとで、時の経過と共にその交換価値を顕著に低下させる。公的な競売場や陳列販売場所の欠如もあって、その競売手続への一般大衆の買受参加は稀である。比較的価値のある機械類(競売の目録によくみられるエアコン)も、その取付け・設置は一般人では困難であり、買受意欲はおきにくい。そのため動産執行は、とりわけ一般の家財に対するそれは、債権回収手段として不十分なものとなる。しかし、交換価値の低い動産も、債務者にしてみれば、その使用価値は大きい。債務者は使用中の動産が差し押さえられると、売却の回避のために債権者に一部弁済をした上で、残額の猶予を乞うことになり、その意味で弁済促進機能ないし間接強制機能を有する。しかし、法は、売得金の額が手続費用の額を超える見込みのない動産の差押えを禁止し(129条1項)、また、売却しても優先債権全額の満足をもたらす見込みのない動産の差押えは取り消すべきものとしており(129条2項)、弁済の間接強制のために動産差押えが用いられることに、消極的な態度をとっている。

1.2 動産執行の対象(122条

動産執行に服する財産の意味での動産の範囲は、122条1項に定められている(第3章(担保競売)・第4章(財産開示)における「動産」概念も同じである)。

民法上の動産との比較
民法上の動産(民法86条2・3項)は、動産執行の対象となるのが原則である。 しかし、次のものについては、登記・登録により権利変動が公示されるとの特質を考慮して、独自の執行方法が規定されており、動産執行の対象から除かれる。
他方、次のものは、民法上の動産ではないが、動産執行に服す(122条1項かっこ書)。
動産執行の限界−土地の定着物
土地の定着物で登記できないもの(庭木など立木法の対象とならない立木、石灯籠など)は、動産執行の対象となる。土地から分離可能である限り、土地とは別個に執行の対象になる余地を認めることが、過剰執行を回避するために望ましいからである。その反面、土地からの分離が定着物の価値を著しく減損する場合には、不動産執行又は準不動産執行において、土地又は土地利用権(地上権など)と共に売却されるべきであり、動産執行は許されない[7]。

土地の登記できない定着物あるいは従物は、独立して動産執行の対象になるとともに、同一の所有者に属するときには、土地の差押えの効力がおよぶ(民法86条1項・87条2項)。執行が競合した場合には、先行した差押えが優先し、動産執行が先になされれば、そこで差し押さえられた物は不動産執行から除外される。建物の従物(建物取付けのクーラーなど)についても同様である。ただし、抵当権の効力が及ぶ動産(民370条、工場抵当2条)に対する動産執行は、抵当権侵害となることがある。なお、立木法の適用対象となる未登記立木の執行方法については争いがあるが、動産執行によるべきである[3]。

動産執行の限界−有価証券
有価証券は、証券を取り上げないと執行の効果を第三者に及ぼすことが困難であるので、動産執行の対象とされるのであるが、「指図禁止」「裏書禁止」などの記載により裏書が禁止されているものは、それらによって表章されている権利に対する差押命令だけで差押えの効果を第三者に主張できるので、動産執行の対象から外されている(手形11条2項参照。なお、同15条2項の裏書禁止裏書のある手形は、その「裏書禁止」の効力が爾後の被裏書人に対する担保責任の免除にとどまるので、動産執行に服する)。

有価証券について公示催告の申立てがなされ(非訟事件手続法99条以下)、除権決定(非訟事件手続法106条)が確定してその効力が生じた後は(同法56条参照)、たとえ動産執行の手続の中で発見されても、動産執行の対象とならない。公示催告の申立て後・除権判決確定前に動産執行手続の中で有価証券が発見された場合については、見解は分かれようが、同法63条1項が、「非訟事件の申立人は、終局決定が確定するまで、申立ての全部又は一部を取り下げることができる。この場合において、終局決定がされた後は、裁判所の許可を得なければならない 」と規定していること等を考慮して決せられるべきである。すなわち、(α)執行債務者が公示催告の申立人である場合には、除権決定が確定するまでは執行債務者が公示催告の申立てを取り下げて当該有価証券を行使するリスクがあるので、執行官は、発見された有価証券を差し押さえて、自ら保管すべきである。公示催告手続における権利の届出自体は執行官がなしうるが、その後の行為は差押債権者がなすべきである。ただ、権利の届出が遅れた等の理由により除権判決が確定した場合には、結局の所、その有価証券は無価値物であり、その差押えは効を奏さなかったことになるが、その代わりに、有価証券に表彰されていた債権が債権執行の対象になる。(β)執行債務者以外の者が公示催告の申立人である場合には、(α)で指摘したリスクが生ずることはないが、他方で、差し押さえられた有価証券の価値の保存が必要となり、やはり執行官は権利の届出を速やかに行うべきであり、その後の行為は差押債権者がなすべきである[17]。

1.3 動産執行の単位

場所単位主義
債権者が差し押さえられるべき個々の物を特定することは、通常、困難である。そこで、動産執行は、場所を単位にして、一定場所において債務者が占有するすべての動産を対象にしてなされるものとされている。これを場所単位主義という。執行申立書において、債権者は、債務者の財産が存するであろう債務者の支配下にある場所を特定する(規99条)。場所の特定は、動産の所在する土地・建物の地番等によりなされる。場所の範囲の上限は、執行官が同一機会に続けて差押えをすることが可能な範囲である。

差し押さえられるべき物の決定
債権者は執行場所を特定することができるが、その場所において具体的にどの物を差し押さえるかは、128条以下の規定に従い、執行官が判断する。ただし、債権者の意見を聞くことは許されるし、第三者の所有物か否かが問題となったときには、その問題を解決するための第三者異議訴訟の被告は債権者であるから(38条1項)、債権者の意見を尊重すべきである。また、第三者が提出を拒まない動産についても、申立段階では場所のみを特定すれば足りるが、実際の差押えは、第三者が指定する物に限られる。

執行官は、執行債権および執行費用の合計額を超えて差押えをしてはならない(超過差押えの禁止。128条)。執行場所にある差押え可能なすべての動産を差し押さえると超過差押えとなる場合に、どの動産を差し押さえるかは、執行官の裁量に委ねられる。執行官は、債権者の利益を害しない限り、債務者の利益を考慮すべきである(規100条)。

担保執行の場合
一般の先取特権の実行としての動産競売も、場所を単位にして行われる。他方、特定物の上の担保権に基づく競売の場合には、債権者はその担保物を特定して競売申立てをしなければならない。

1.4 執行官の任意弁済受領権

執行官は、動産執行において差押債権者のために弁済を受領することができる。この弁済は、執行の機会になされるものであり、民法705条の適用を受ける弁済には原則として当たらない。通常は、執行官が強制力の行使たる差押え着手前に、平和的な弁済を債務者に催告するのが適当である。任意弁済の受領と金銭の差押え(131条3号・140条参照)との差異は、次の点で生ずる。

2 差押え


2.1 差押えの方法(123条・124条)

執行官は、債務者の所有物であることが明らかな動産のみを差し押さえることができるとすると、所有権の確認に手間取り、動産執行の機能が低下する。そこで、差押えは、対象となる動産が債務者の責任財産に属するか否かを実質的に調査することなく、その外観としての債務者の「占有」あるいは債権者・第三者の「提出」を基礎としてなされる。差し押さえられた動産が債務者の責任財産でない場合には、その動産について権利を有する者は、第三者異議の訴えにより、その動産執行を排除すべきものとされている(第三者異議訴訟の項参照)。
もっとも、債務者が占有中の動産であっても、その責任財産に属しないことがその占有の外形から明らかな場合には(例えば、執行債務者である運送会社が運送中の荷物で荷送状が貼付されているものなど)、執行官はその動産を差し押さえるべきではない。

執行官は、差押えに着手する前に、動産執行を開始する日時(申立てにおいて執行場所として指定された場所に赴いて差押えに着手する日時)を定め、これを申立人に通知する(規11条1項)。その日時は、やむを得ない事由がある場合を除き、申立て日から1週間以内の日としなければならない(同2項)。

債務者が占有する動産(123条               
債務者の占有する動産の差押えは、執行官が占有して行う。差押えに当たって、執行官は住居の立入・捜索等の強制的処分をなすことができる(123条2項)。

債務者の「占有」は、ここでは、事実上の直接支配=所持を意味し、間接占有を含まない(債務者の動産が第三者に賃貸されている場合に、賃借人の任意の提出がなければ、その動産を差し押さえることができない)。法人の営業場所とその代表取締役の住所とが同一のような場合には、ある範囲の動産については両者の重畳的占有を認め、いずれに対する債務名義でもっても差し押さえることができると解すべきである。

債務者の占有の認定は、ときに難しい問題となる。軽自動車は、債務者の占有する不動産(彼の所有地や賃借した駐車場)において保管されていなくても、軽自動車納税証明書に債務者が納税者として記載され、検査証に債務者が使用者と記載されている場合には、執行官は債務者が占有者であると認定してよく、検査証の所有者欄に債務者以外の者が記載されていても、差押えは適法である(東京地判昭和62.4.24金融商事判例784-26[百選*1994a]58事件)。所有者欄に記載されている者が真の所有者であれば、彼は第三者異議の訴えにより執行を排除することができるが、そのことは、占有という外観に基づいてなされる動産執行の適法性を左右するものではない。

執行官占有(123条
執行官は、債務者の所持を排除し、自らが動産を占有することによって差押えをする。この占有は、「公法上の占有」と呼ばれ、「私法上の占有」と区別され、私法上の占有者は依然として執行債務者である(後述)。

保管方法 差押行為としての占有は、執行官自身が目的物を保管する方法によってなすのが本則である。しかし、現実には、執行官が多数の動産を保管するための場所は用意されておらず、運搬費用も無視し得ない。そのため、債務者(123条3項)、さらに差押債権者または第三者による保管も許されている(規104条1項)。これらの場合には、封印その他の方法で差押えの表示をし、保管する者に対し、差押物の処分や差押表示の損壊等に対する法律上の制裁(刑法96条)を告知しなければならない(規104条2項・3項)。差押物を債務者等の従前の占有者に引続き保管させる場合には、差押えの表示は、効力発生要件となる(123条3項、124条)。債務者に差押物を保管させる場合に、執行官は、相当と認めるときは、債務者に使用を許可することができる(123条4項)。

有価証券や金銭は、流通性が高いので、債務者に保管させるのは適当でなく、かつ、保管に場所を要するわけではないので、執行官が自ら保管するか、第三者に保管させるべきである。貴金属あるいはその加工品も同様である。

債務者以外の者が占有する動産(124条
債務者の責任財産に属する動産を債権者または第三者が占有する場合には、(α)これらの者が任意に動産を提出した場合、または差押えを承諾した場合には、執行官占有の方法により差し押さえることができる(銀行の貸金庫に保管されている動産に対する金銭執行も、本来、この方法によるべきである[9])。(β)第三者が差押えを拒む場合には、債務者が第三者に対して有する引渡請求権を執行対象としなければならない(163条)。第三者の生活領域への不当な侵害を防止するためである。

執行官占有の法的性質
執行官は差押物を占有している。この占有をどのように理解するかについては、次のような見解が対立しており、公法的占有説が多数説である。
  1. 公法的占有説  この占有は、執行官が国家権力の行使として強制執行の目的を達成するために目的物を支配していることを示すものであり、公法(執行法)上の占有ということができ、私法上の占有とは異なる。債務者が占有している動産が差し押さえられた場合には、私法上は、債務者が依然として占有者であり、執行官が債務者に保管させた場合には、債務者が直接占有者である。[中野*民執v5]609頁注2[中野*民執v6]630頁注2など。
  2. 私法的占有説  執行官が私法上の占有(民法182条以下にいう占有)を取得するとする立場。執行官が差押物を執行債務者に保管させた場合には、債務者は執行官の占有機関になるとする(差押え前からの占有者である債務者は、間接占有者になる[兼子*1951b]178頁)[16]。

問題となるのは、例えば次のような場合である。執行官が差押物を債務者自身又は受寄者(債務者から保管を委託されたる者))に保管させている状態で、債務者が目的物を第三者に譲渡し、対抗要件としての引渡しの方法として占有改定あるいは指図がなされた場合に、その後に執行申立てがいったん取り下げられてから同一債権者の申立てに基づき再度差押えがなされたときに、債務者による前記の方法による引渡し(譲渡の対抗要件を具備させる行為)は有効かである(占有改定の場合について、最判昭和34年8月28日民集13巻10号1336頁[百選*2005a]57事件(出口雅久))。最高裁は、差押えによる処分禁止効の相対性を強調し、差押え中になされた占有改定の方法による移転も差押えが解除されることにより差押債権者に対して有効になるとしている。公法的占有説と親和性の高い説明であるので、判例は公法的占有説を採用していると考えられている。

私見 執行官による占有は、基本的に、強制執行のための占有であり、その目的の実現に必要な範囲で効果を認めれば足りる。債務者の私法上の占有の継続を肯定してよい(差押物が債務者の保管に委ねられている場合には直接占有が継続し、債務者の受寄者に保管させる場合には間接占有が継続する)。債務者は占有改定や指図の方法により差押物の占有を他に移転することができるとすべきである(ただし、執行手続との関係で無効(相対的無効))。

ただ、執行官が差押物を自ら保管していて、それが第三者によって善意取得された場合には(あってはならないことであるが、仮にあったとした場合には)、民法192条の適用を肯定すべきであり、したがって、執行官の占有も同条にいう占有(私法上の占有)として評価されることがあると解すべきである([中野*民執v5]609頁・[中野*民執v6]631頁は否定するが、執行官が差押物を債務者に保管させている場合についての立言であろう)。また、執行官自身が保管する場合に、債務者が目的物を他に譲渡する場合の占有移転の方法は、占有改定ではなく、執行官への指図の方法によらせるべきであろう(差押えの解除後に執行官が誰に目的物を返還すべきかの問題については、執行官を手続外の問題に巻き込まれないようにするとの配慮により、指図にもかかわらず債務者に返還できるとしてよいが、執行官の保管が継続している状態で同一債権者又は他の債権者から再度執行申立てがなされた場合のことを考慮すると、占有移転は、執行官への指図によるとすべきである)。その意味で、執行官が自ら保管する場合には、民法182条以下のいくつかの規定との関係で、執行官が直接占有者となり、債務者が間接占有者になることがある。

2.2 二重差押えの禁止 − 事件併合(125条

二重差押えの禁止
動産執行においても、二重差押えは論理的には可能である。しかし、同一場所における動産差押えを担当する執行官が常に同一人であるとは限らず、異なる執行官が重複して差押えをするとなると、差押えの要素である執行官占有が重複し、また、売却・配当の段階で適切な処理を期し難い。そこで、二重差押えを禁止して、それと機能的にはほぼ同じであるが形式の異なる事件併合の方法により、先行差押えと後行差押えとの調整をはかることとした。

事件併合
強制執行事件の併合  動産差押えのなされた同一債務者の同一場所に関してさらに動産執行の申立てがあった場合には、その申立てを受けた執行官は、未差押物の有無を調査し、あれば配当等を受けるべき債権者の満足に必要な限りでさらに差押えをなし、なければその旨を明かにして、いずれの場合にもその執行事件と先行の執行事件とを併合する(追加の差押えにより後行債権者に完全な満足を与えることができる場合でも、先行差押えが無効な場合でも併合する)。事件併合には配当要求の効果があるので、同一場所における差押物の売得金等に対する配当要求の終期がすべて到来した後は、事件併合は許されない(未差押物があれば、それについて差押えをなすことは妨げられない)。先行差押えにおけるすべての差押物を執行官自らが保管する場合あるいは第三者が保管する場合にも事件併合はなされる(先行差押えの場所は、差押物が現に保管されている場所ではなく、差押えがなされた当時に差押物が所在した場所である)。ただ、後行差押えにおいて先行差押えの存在を知り得ない場合があり得、その場合には事件併合がなされないまま後行の執行手続が先行手続とは独立に進行することはやむを得ない。

事件併合は、次の法律効果を発生させる(125条3項)。
担保執行についての事件併合  質権・動産先取特権の実行としての競売事件は、担保の目的たる特定の物を単位にして行われる。これと場所を単位にして行われる強制執行とが競合する場合には、執行対象として共通する物についてのみ事件の併合を認めることになる。したがって、強制執行が後行する場合には、担保物についてのみ事件を併合して配当要求効と潜在的差押効が生じ、それ以外の動産については、別事件として手続を進めることになる。一般の先取特権に基づく担保執行と強制執行とが競合する場合には、強制執行事件の併合で述べたことが妥当する。特定の物の上の担保権に基づく担保執行どうしが競合する場合には、未差押物の差押えの点を除き、強制執行事件の併合で述べたことがほぼ妥当する。

2.3 差押えの効力(126条-127条)

処分禁止の効力
差押えの効力発生後に債務者が差押物についてなした処分行為は、差押債権者のほか、その執行手続に参加するすべての債権者に対して、対抗できない(手続相対効)。ただし、差押物についても、動産取引の安全のために、即時取得(民法192)の余地は認められる。したがって、すでに差し押さえられた物を第三者が債務者から譲り受けて対抗要件を得ても、第三者が差押えの事実について善意無過失でなければ、彼は所有権取得を差押債権者に主張しえず、また、その後に手続に参加する債権者の満足を阻止しえない。のみならず、第三者異議の訴えを提起して執行の取消しを得ない限り換価がなされ、弁済金交付後の剰余金があれば、それは彼ではなく債務者に交付される。また、127条により執行官が差押物を第三者から取り上げた後で競売手続が取り消された場合には、差押物は債務者に返還される。

換価権限の取得
執行官は、差し押さえられた動産を換価する権限を取得する。

差押えの効力の及ぶ範囲(126条
差押えの効力は、差押物から生ずる天然果実にも及ぶ。債務者に保管させている場合でも、債務者は天然果実を収取できない。

執行官は、産出された天然果実に差押えの表示をすべきである。第三者との関係では、例えば子牛が天然果実である場合には、親牛のそばで飼育するのが通常である期間を経過した後は、追加の差押表示が対抗要件になると解すべきであろう(ただし、差押物たる親牛を債務者に保管させている場合には、天然果実たる子牛について追加の差押表示をなすことが子牛に差押えの効力が及ぶことの要件(効力発生要件)になると考える余地もある)。

差押物引渡命令(127条
差押物が債務者の保管に委ねられている場合には、第三者が代物弁済やその他の名目により債務者から差押物を取り上げてしまうことがある。そのような場合等にそなえて、127条は、執行裁判所が差押債権者の申立てにより、差押物を占有することとなった第三者に対して、差押物を執行官に引き渡すべきことを命ずることを認めている。不動産執行に関する55条に相当する執行手続保護の規定である。

この命令は、第三者が差押物を占有するに至った事由・経緯を問わずに発せられ、自らが正当な占有権原を有することは、この命令に対する執行抗告の理由となりえない(東京高決昭和58.4.26下民集34-1=4-178[百選*1994a]64事件[百選*2005a]58事件(日比野泰久))。正当な所有者であると主張する第三者の救済方法については見解が分かれているが[4]、彼は、第三者異議の訴えにより動産執行そのものの排除を求めるべきである。引渡命令自体に対する請求異議・第三者異議は許されない。

引渡命令は、差押物の占有を原状に戻すだけとはいえ、簡易な手続で第三者に対して発せられ、迅速に執行されるべきものであるので、濫用の阻止のために、申立時期・執行時期について制限がある(127条2項・4項・55条8項)。この申立てについての裁判に対しては執行抗告ができ、第三者は引渡命令の申立時期の徒過のみならず差押え等の執行手続の違法を主張できる。

付随的効力
差押えは、執行債権につき消滅時効完成猶予の効果を有し(民法148条1項・154条)、原則として更新効を有する(民法148条2項)。
猶予効の発生時期は、債務者が占有する動産が差し押さえられた場合には、執行申立ての時に遡って生ずる(最判昭和59年4月24日民集38巻6号687頁[百選*2005a]56事件(勅使河原和彦))。第三者又は債権者が占有する動産が差し押さえられた場合については、民執規103条1項の差押えの通知が債務者になされた時に生ずるとする(平成8年民法改正前において、勅使河原[百選*2005a]121頁) 。

2.4 差押えの制限(128条-130条)

動産差押えは、金銭債権の満足のために行われるのであるから、次の制限に服する。
超過差押えの禁止  執行債権の満足に必要な限度以上の差押えを追加的になすことは、禁止される(128条1項)。差押え後の事情変化等により超過が明かになった場合には、執行官は、職権で超過部分の差押えを取り消す(同2項)。逆に、差押えを一旦終えた後に不足が明らかになったときは、差押えの続行として、執行官は職権で同一場所において追加差押えをすることができる。債権者は、その職権発動を求めることができる。

無益執行の禁止  売得金から手続費用を弁済して剰余を生ずる見込みのない物の差押えは、執行債務者を苦しめるだけであるので、許されない(129条1項)。差押物の売却を試みたが、売却の見込みがない場合には、執行官は、その物の差押えを取り消すことができる(130条)。

優先債権者を害する換価の禁止  優先債権者が存在する場合に、彼に全額の満足をもたらす見込みがないとき、すなわち、差押物の売得金の額が手続費用及び差押債権者の債権に優先する債権の額の合計額以上(売得金≧手続費用+優先債権額)となる見込みがないときには、換価は許されない。この場合には、執行官は差押えを取り消す(129条2項)。禁止されるのは、優先債権者に完全な満足を与える見込みがあるとはいえない換価である。差押物の売得金の額と手続費用及び差押債権者の債権に優先する債権の額の合計額とが等しいとき、すなわち、差押債権者への配当はないが優先債権者に全額の満足をもたらすと見込まれるときには、換価はなお許される[14]。 この場合には、先順位債権者に満足をもたらすので、強制執行が無駄になるというわけではないが、強制執行は差押債権者に何の利益をもたらさない。その意味で、「差押債権者の権利保護の利益」は要求されていないと言うことができる。

2.5 差押禁止動産−−原則(131条

1差押禁止動産の種類
執行債権者の利益と社会の一員としての債務者の利益とを調整するために、差押禁止財産の制度が設けられている。生活保護法58条などでも個別的に差押禁止財産が設けられているが、民事執行法は一般的差押禁止財産を制限的に列挙している(131条)。それらを要約して言えば次のようになる。

)最低生活の保障 債務者も社会の一員として最低生活を保障されるべきであるので(憲25条)、次の動産の差押えが禁止される。
)職業の維持に必要な物  人は、ある職業につくと、簡単には他の職業に移ることはできない。現在の職業を続けることが、彼にとって最もよい収入をもたらす道であることが多い。それゆえ、債務者の現在の職業の維持に必要な物を差押禁止財産として彼に留保することは、彼の自助的努力による最低生活の維持に役立つ。また、彼が最低生活に必要な額以上の収入を得ることができるならば、債権者はその収入から満足を受けることができ、債権者の利益にもかなう。
)債務者の専用物  次の物は、さまざまな理由により債務者の専用物としておくことが適当であるので、差押えが禁止される。多くは個人債務者にのみ適用されるが、法人等の債務者にも適用されてよいものもある(次の(c')で述べる)。
c')企業からの分離禁止   9号の商業帳簿は、前後に挙げられているものとの比較からして、個人の商業帳簿(商32条)を指すと理解するのが素直であるが、会社の各種会計書類や顧客名簿等も差押禁止財産とすべきである。また、顧客名簿等あるいは私立学校が管理する学生・生徒の成績原簿等には個人情報が多々含まれており、その執行売却はプライバシーの侵害につながりやすく、それらの個別の執行売却は許されるべきではない(個人データ又はその記録物を民事執行の方法により売却することも、個人情報保護法23条1項柱書により禁止される第三者提供に該当するというべきである。同条4項2号により、「合併その他の事由による事業の承継に伴って個人データが提供される場合 」は第三者提供に該当しないが、個別執行では「その他の事由による事業の承継」はあり得ないであろう[10])。会社の代表者印等も同様に、差押禁止財産とすべきである。

)未公表の知的財産に係る物[11]  次のものが差押禁止財産とされているが、理由はそれぞれ異なる。
)不動産からの分離禁止  災害防止・保安のために法令により設置が義務づけられ、不動産からの分離が許されない物(14号)は、動産執行の対象とすることができない。他方、これらの動産を不動産執行において不動産とともに売却することは、差し支えない。この規定も、債務者が個人であるか法人であるかに関わりなしに適用される。

他の法律による差押禁止
動産の差押禁止を定める規定はそれほど多くはないが、生活保護法などでは、法の目的を達成するために、受給権のみならず支給された金品の差押えも禁止されている[12]。
差押禁止物にあたるか否かの判断
差押禁止物にあたるか否かは、執行官が職権で審査・判断する。差押禁止に違反した差押えは、手続上違法であり、債務者その他の利害関係人は執行異議(11条)により差押えの取消しを執行裁判所に求め得る。しかし、取り消されるまでは差押え自体は有効であり、執行売却による買受人の所有権取得は、右の違法によっては妨げられない。

2.6 差押禁止範囲の拡張と縮減(132条

差押禁止財産を列挙しただけでは、激しく変化する社会の実情に対応できない。債権者あるいは債務者の生活状況を度外視したままでは、時に不当な結果をもたらす。そこで、民事執行法は、個々の事件に応じた利害調整として、執行裁判所が申立てにより次の措置をなすことを認めた(132条)。
この申立てをなしうる者は、債権者側については債権者に限定されるが、債務者側については債務者のみならずその扶養家族あるいは債務者たる老人の介護者も含めてよい。申立ては、執行申立てがあった後であれば、差押えの前後を問わずなしうる([中野*民執v4]542頁[中野*民執v5]600頁[中野*民執v6]622頁)。差押え後に債務者からの差押禁止範囲の拡張の申立てを認容する場合には、差押えの取消しを命ずる旨の決定主文を掲げる。条文には挙げられていないが、差押え前に債務者からの差押禁止申立てを認容することもでき、その場合には、差押えを許さない旨の決定主文を掲げる。

裁判所は、裁判にあたって、債務者および債権者の生活状況(特に、両者の比較)その他の事情を考慮する。その他の事情としては、債権の発生原因、債務者の誠実性、職業維持のための動産にあっては債務者の職業的適性、一般の社会・経済動向(その職業の発展または衰退)等も含まれる。

差押禁止範囲の拡張(差押取消命令)を求める申立てがあったときは、執行裁判所は、執行の一時停止を命ずることができる(3項)。この決定は暫定的なものであるので、これに対して不服を申し立てることはできない(5項)。

差押禁止範囲の変更を求める申立てを却下する決定ならびに差押えを許す決定(差押禁止範囲を減縮する決定)に対しては、執行抗告をすることができる(4項)。他方、差押禁止範囲の拡張を求める申立てを認容する決定は、差押取消決定の形を取る場合には、12条1項により執行抗告ができる([注釈*1999b]361頁(森猛))。これとのバランス上、執行申立て後・差押え前に債務者からの申立てを認容する決定(差押えを許さない旨の決定)に対しても、12条1項の類推により執行抗告できると解すべきである[13]。

2.7 差押物の解放

動産執行の申立ての取下げ、あるいは差押えの取消しの場合には、動産差押えの構成要素である執行官の差押宣言と執行官占有の双方を消滅させること、すなわち、差押取消宣言と差押物の解放が必要とされる。差押物の解放は、執行官から差押物の返還を受けるべき者(以下「受領権者」という。債務者や差押えの際に提出を拒まなかった第三者(124条))に差押えを取り消す旨を事前に通知して、差押物をその所在場所で引き渡す方法により行う(規127条1項本文)。ただし、受領権者がその動産を保管しているときは(123条3項・124条)、その者に対して取消しの通知をすれば足りる(規127条1項ただし書)。差押えの表示は、本来、執行官が除去すべきであるが、差押取消しの通知後は受領権者がおこなってもよい。

2.8 配当要求(133条

一般債権者の単純配当要求禁止
動産の差押えは差押債権者の満足に必要な限度でのみなされるので(128条)、その売得金等に対する単純な配当要求を認めることは、差押債権者の満足を害する。そのため一般債権者については、執行対象物の拡大に努めた者、すなわち執行正本あるいは仮差押命令を得て自ら執行申立てをした者のみに、事件併合を経て、配当要求の効力を認めることにした(125条)。

配当要求をなしうる者
他方、次の者は、その実体法上の地位の特性により、執行対象物の拡大に努めなくても、配当要求をすることができる。
動産譲渡担保、所有権留保等に133条の類推適用を認めるか否かについては争いがある。 配当要求の終期
配当要求は、差押物が金銭化される時までに、配当要求書(規132条26条)を執行官に提出してしなければならない(140条133条)。金銭化の時期は財産の種類ごとに異なり、配当要求は金銭化されていない差押物についてのみ効力を有する。


3 換価(134条-138条)


3.1 通常の場合

換価の準備
換価の準備として、執行官は、差押えの段階で自ら目的物を評価するほか、高価な動産については評価人に評価させる(規111条1項)[6]。その典型例は、宝石・貴金属類、精密機械である。高価であるか否かの判定にあたっては、予想される評価料も考慮すべきである。例えば、個々では高価と言えない物も、それが大量に集積した集合物としては高価な物と判断される場合がある。同質の物の集合は、評価料が高くなることはないから、評価人による評価に値することが多いであろう。他方、雑多な物の集合については、集合物としての金額自体が高くても、個々の物の評価が必要となるため評価料の合計が集合物全体の価格に比して高くなるのであれば、評価人による評価に値する高価な物とは言えない。
その他の動産は、必要に応じて評価人に評価させる(規111条2項)。例えば次のような場合には、評価の必要が考慮される。
中古品の市場は新品の市場よりも狭く、また透明性に欠けるので、その評価は困難である。その点では、評価人による評価の必要は高いが、多くの場合に高価での売却は期待できず、高価に売却できる見込みが明かでない限り、執行官は、評価人を選任して評価させるかを裁量的に決定することができる(東京地判昭和59.8.27下民集35-5=8-527[百選*1994a]66事件[百選*2005a]59事件(山口信恭))。誰を評価人にするかは、執行官の裁量に属し、費用の制約から、通常訴訟の鑑定人のような能力は要求されない(山口[百選*1994a]143頁)。

差押物の点検・保存は執行官の職務に属し、価額減少の激しい物、保管に不相当な費用を要する物については、執行停止中でも差押物を売却することができる(137条。この場合には、売得金は供託される)。

換価の方法
差押動産は、次の方法により換価される(134条。135条、規132条により不動産執行の規定も準用されている)。
売却の実態
現実の売却方法は、競り売りが中心である。債務者宅である差押場所において目的物を売却することが多い。それは「軒下競売(のきしたけいばい)」あるいは「軒先競売」とも呼ばれ、買受人の多くは専門業者である。しばしば債務者の親族が買い戻し、債務者に使用させる。それがある期間をおいて再び動産執行の対象となることもある(先の売却で買い受けた親族から第三者異議の訴えが提起されなければ、再度売却されることになる)。時に、暴力団に近い人間が買い受けて、債務者に買戻しを迫り、債務者がこれを拒むと暴力をもって威圧することが問題となる。そのような人間が勝手に執行官の後について競売場所(債務者の住居)に来た場合でも、債務者には執行官がそのような人間を連れてきたように見える。誤解が執行制度の信用を低下させることを放置すべきではない。買受人が債務者に対して買戻しを要求する行為を禁止すべきであろう。暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律において、その旨の適切な規定が置かれることを期待したい(その規定を根拠に、執行官は、彼の面前でなされる買戻要求行為を制止することができるとすべきである。そのような規定がなくても、買戻要求行為が刑罰規定により禁止される強要あるいは脅迫にあたる虞があるときには、執行官はそれを制止することができると解すべきである)。

競り売り
代表的な売却方法である競り売りについて、簡単に見ておこう。これは、次の手順を経て行われる。
  1. 競り売り期日を定める(日時と場所を定める)。やむを得ない事由がある場合を除き、差押えの日から1週間以上1月以内の日とする(規114条)。
  2. 売却すべき動産など所定事項を公告し、各債権者・債務者に通知する(規115条)。
  3. 競り売り期日又はその期日前に売却すべき動産を一般の見分に供す(規117条)。  競り売り期日前に一般の見分に供した場合には、動産の保管場所とは異なる場所(例えば裁判所)で競り売りをすることも可能である。
  4. 期日における買受申出の受付と最高の価格で買受申出をした者に売却する旨の告知(規116条1項)。ただし、最高価の買受申出額が不相当に低い場合には、買受けを不許可にする(同項ただし書)。
  5. 買受人から代金を受領し(規118条)、買受人に動産を引き渡す(規126条)。
  6. 競り売り調書を作成する(規119条)。

インターネット・オークション
一般市民あるいは小売業者がインターネットを通じて中古品あるいは新古品のオークションをしている時代であるので、動産執行においてこの換価方法も採用されてよい時期にある。民事執行規則121条・122条により、それは可能である。ただ、次の問題が残されているように思われる。

3.2 貴金属類の換価

金や銀を典型例とする貴金属又はその加工品は、地金(素材)としての価額以上の価額で売却しなければならない(規124条)。

3.3 有価証券の換価(136条・138条)

動産執行に服する有価証券の換価には、次の方法がある。
取立て  有価証券に表章された権利の保存のために、執行官は、権利行使時期の到来した有価証券(手形等)を執行債務者に代わって支払義務者に提示(呈示)[5]しなければならない。これに応じて支払がなされれば、執行官が保管し、配当等の原資に当てる(139条)。手形等について引受拒絶・支払拒絶の場合に、支払拒絶証書の作成等の権利保全が必要であれば、自らそれをなす。しかし、手形金等の取立訴訟の提起は、執行官の職責ではない。

売却  弁済期未到来の手形あるいは弁済期が到来したが支払等が拒絶された手形は、売却の方法により換価される。株券等の相場のある有価証券は、売却日の相場価額以上で売却しなければならないので(規123)、特別売却・委託売却によるのが通常となる。売却にともない、裏書等の権利移転ための行為が必要な場合には、「民事執行法138条により債務者にかわって・・・」の文言を付記して、執行官がその名においてなすことができる(職名も表示する)。

3.4 土地の天然果実・定着物の換価−特に引渡しについて

天然果実
天然果実は、1月以内に収穫できることが確実であれば、収穫前でも差し押さえることができる(収穫は、通常、天然果実の成熟前に行われ(収穫後に成熟させる)、いつが収穫期であるかは、農業上の問題である)。売却は、収穫期が到来してから行う(民執規112条)。執行官は、収穫の権限(収穫のために土地に立ち入る権限を含む)を有する([条解*2007a]440頁)。
収穫してから売却するか、売却してから収穫するかは、執行官が状況に応じて適宜選択することができると解すべきである。実際の収穫作業は、執行官が適当な者に行わせることになろう。(α)売却前に収穫する場合には、差押債権者が手続費用として予納する金銭から請負代金を支払うことになる。(β)売却後に収穫して引き渡す場合には、買受人に収穫作業を行わせることもでき、この場合には、収穫作業の費用は買受人が負担することを前提にして売却することも許されるべきである(ただし、この場合でも、収穫して引き渡すことまでは執行官の責任範囲であり、買受人は執行官の履行補助者として収穫するのであり、債務者による妨害行為に対しては、執行官が対処すべきである。また、買受人が不当な収穫作業を行わないように監視すべきである)。買受人による収穫作業完了後の引渡しは、簡易の引渡し(民法182条2項)による。なお、買受人に収穫させる場合に、収穫期間が短期間であるときは、収穫期の到来の少し前に売却を実施し、収穫期に収穫することも許されるべきである。

土地の定着物
土地の定着物についても、同様に、誰が土地から分離して買受人に引き渡すかが問題となるが[8]、基本的に、天然果実の場合と同様に考えてよいであろう。立木については、土地からの分離前に根切り作業が必要となるが、その作業の良否が分離された立木の価値を左右することを考慮すると、基本的には、買受人にさせるのがよいであろう。したがって、競り売りは、根切り前に行い、買受人が代金を納付してから執行官が立木を土地から分離して買受人に引き渡す作業の履行補助者として買受人が根切りと分離作業を行うと考えるべきである。したがって、執行官の職務は、競り売り後も続くことになる。


4 配当


4.1 配当原資と配当受領者(139条・140条)

配当原資に充てられる金銭は「売得金等」と呼ばれ、次のものから構成される。
配当を受けるべき債権者は、次の者である(140条)。

4.2 執行官による配当等の実施(139条

以下では、売得金等から手続費用を控除した残額を配当原資と呼ぶ。
弁済金交付
次の場合には、債権者間に配当原資の取合いの関係が生じないので、執行官は、各債権者に弁済金を交付して、剰余金を債務者に交付する(139条1項)。
配当
債権者間に配当原資の取合いの関係が生ずる場合でも、債権者間に協議が調ったときは、執行官は、その協議に従い配当を実施する(139条2項)。協議が調わない場合には、執行官は、その事情を執行裁判所に届け出て、執行裁判所による配当に委ねる(139条3項)。

供託(141条
執行官が弁済金交付あるいは配当を行う場合でも、配当等を受けるべき債権者の債権について次の事由があるときは、配当金等を直ちに交付することができないので、執行官は、配当金等を供託し、その事情を執行裁判所に届け出て、後の処理(配当等)を執行裁判所に委ねる。
配当等の受領のために出頭しなかった債権者に対する配当等の額に相当する金銭は、弁済のため供託しなければならない。

4.3 執行裁判所による配当等の実施(142条

次の場合には、執行裁判所が配当等を行う。

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1998年2月2日−2019年9月28日