弁理士のための
民事訴訟法基礎研修
関西大学法学部 栗田 隆
研修プログラム
開催データ
日本弁理会+関西大学リードセンター
関西大学尚文館AV教室
2002年12月7日−2003年1月25日
テキスト
『裁判所書記官研修所監修・民事訴訟法概説』
シラバス
法令集
民事訴訟法
民事訴訟規則
問題集
第一審の基本手続
複雑訴訟・上訴
提示教材
スライドの構成が未熟ですが、ご容赦下さい。
1月25日
テーマ
共同訴訟
訴訟参加
スライド
PowerPoint プレゼンテーション
スライドショー (html)
エクスプローラで閲覧できます
判例
訴額−原告側合算の例(
9条
1項本文)
[134]最高裁判所平成12年10月13日第2小法廷決定
(平成12年(行フ)第1号) ) ・教材判例集378頁
通常訴訟人独立の原則
[33]最高裁判所 昭和43年9月12日 第1小法廷 判決
(昭和42年(オ)第890号)
類似必要的共同訴訟
[130]最高裁判所平成12年7月7日第2小法廷判決
(平成8年(オ)第270号)・教材判例集355頁
[160]最高裁判所 平成14年2月22日 第2小法廷 判決
(平成13年(行ヒ)第142号)・教材判例集458頁
固有必要的共同訴訟
[88]最高裁判所平成10年3月27日第2小法廷判決
(平成8年(オ)第1681号)
[82]最高裁判所 平成9年3月14日 第2小法廷 判決
(平成5年(オ)第920号)
固有必要的共同訴訟において共同提訴を拒む者がいる場合の処理
[103]最高裁判所 平成11年11月9日 第3小法廷 判決
(平成9年(オ)第873号)・教材判例集225頁
必要的共同訴訟の審理の特則(
40条
)−共同訴訟人の一部の者のみが上訴した場合
[130]最高裁判所 平成12年7月7日 第2小法廷 判決
(平成8年(オ)第270号)・教材判例集355頁
特許権等の共有と審決等の取消訴訟
[11]最高裁判所 昭和36年8月31日 第1小法廷 判決
(昭和35年(オ)第684号)・教材判例集19頁
[56]最高裁判所 昭和55年1月18日 第2小法廷 判決
(昭和52年(行ツ)第28号)・教材判例集107頁
[76]最高裁判所 平成7年3月7日 第3小法廷 判決
(平成6年(行ツ)第83号)・教材判例集152頁
[160]最高裁判所 平成14年2月22日 第2小法廷 判決
(平成13年(行ヒ)第142号)・教材判例集458頁
[161]最高裁判所 平成14年2月28日 第1小法廷 判決
(平成13年(行ヒ)第12号)・教材判例集459頁
[163]最高裁判所 平成14年3月25日 第2小法廷 判決
(平成13年(行ヒ)第154号) ・教材判例集467頁
同時審判申出共同訴訟(
41条
)
参考事例:
[153]最高裁判所 平成14年1月22日 第3小法廷 判決
(平成10年(オ)第512号)・教材判例集427頁
補助参加(
[42条
−46条)
[131]東京地方裁判所 平成12年7月14日 民事第47部 判決
・教材判例集360頁
[139]最高裁判所 平成13年1月30日 第1小法廷 決定
(平成12年(許)第17号) ・教材判例集385頁
補助参加のその他の事例
参考事例:
[153]最高裁判所平成14年1月22日第3小法廷判決
・教材判例集518頁
[148]最高裁判所平成13年6月12日第3小法廷判決
・教材判例集412頁
[142]最高裁判所 平成13年2月22日 第1小法廷 決定
(平成12年(行フ)第3号)・教材判例集389頁
[139]最高裁判所平成13年1月30日第1小法廷決定
・教材判例集385頁
[61]東京高等裁判所 昭和60年6月25日 民事第8部 判決
・教材判例集114頁
[51]東京高等裁判所昭和51年9月22日判決
・教材判例集79頁
[170]最高裁判所平成14年9月26日第1小法廷判決
・教材判例集518頁
[33]最高裁判所 昭和43年9月12日 第1小法廷 判決
・教材判例集48頁
[2]最高裁判所 昭和25年9月8日 第2小法廷 判決
・教材判例集3頁
[12]最高裁判所 昭和37年1月19日 第2小法廷 判決
・教材判例集20頁
[131]東京地方裁判所 平成12年7月14日 民事第47部 判決
・教材判例集360頁
参加的効力
[39]最高裁判所 昭和45年10月22日 第1小法廷 判決
・教材判例集57頁
[61]東京高等裁判所 昭和60年6月25日 民事第8部 判決
・教材判例集114頁
[153]最高裁判所 平成14年1月22日 第3小法廷 判決
・教材判例集427頁
共同訴訟的補助参加の判例
[51]東京高等裁判所 昭和51年9月22日 判決
・教材判例集79頁
独立参加
[43]最高裁判所 昭和48年4月24日 第3小法廷 判決
・教材判例集65頁
[26]最高裁判所 昭和42年2月23日 第1小法廷 判決
・教材判例集39頁
[45]最高裁判所 昭和48年7月20日 第2小法廷 判決
・教材判例集67頁
[48]最高裁判所 昭和50年3月13日 第1小法廷 判決
・教材判例集71頁
最高裁判所 平成11年12月16日 第1小法廷 判決
(平成10年(オ)第1499号、第1500号)
1月18日
テーマ
裁判によらない訴訟の完結(113頁-122頁)
終局判決(123頁-141頁)
終局判決(同上)
スライド
PowerPoint プレゼンテーション
スライドショー (html)
エクスプローラで閲覧できます
練習問題
千葉市内に本社のあるX株式会社は、ドイツ国内に20年以上居住して営業活動を営んできた日本人であるYと、フランクフルト市において、欧州各地からの自動車の買い付け、車両の船積み等の業務をXがYに委託する契約を締結した(準拠法は特に定められていない)。XはYの求めに応じ、自動車買付資金として合計1億円をYの指定したドイツ国内の銀行の口座に送金したが、その後XはYに不信感を抱くようになり、預託金の残額の返還を求める訴えを千葉地裁に提起した。Xは、日本の国際裁判管轄権の原因として何を主張できるか。Yがそれを争う場合に、裁判所はどうすべきか。[ヒント:
最高裁判所 平成9年11月11日 第3小法廷 判決
(平成5年(オ)第1660号)]
Xは、Yが製造するある機種の製品によりXの実用新案権が侵害されていると考え、Yが2000年3月1日から製造・販売した最初の100台により生じた損害の賠償を求める訴えを提起した。裁判所は、Xの考案はYの製品には用いられていないと判断して、請求棄却判決を下した。同判決は、Xの控訴・上告にもかかわらず、確定した。ところが、Xは、その後、同じ機種の101台目から200台目の製品により実用新案権が侵害されたと主張して、再度訴えを提起した。この請求を棄却する判決が確定した後で、更に、次の100台による権利侵害を主張して同趣旨の訴えを提起してきた。裁判所は、訴状を被告に送達することなく訴えを却下することができるか。[ヒント:
最高裁判所 平成8年5月28日 第3小法廷判決
(平成7年(行ツ)第67号)・
東京地方裁判所 平成12年10月17日 民事第46部 判決
(平成12年(ワ)第16890号)]
Yが1980年5月にXの5000万円相当の有価証券を着服した。Xは、そのことに直ちに気が付き、Yに損害賠償を求めて交渉を続けたが、不調に終った。Xは1988年5月に不法行為を理由に損害賠償請求の訴えを提起し、1993年5月になって不当利得返還請求を追加した。これに対して、Yは、損害賠償請求権も不当利得返還請求権も消滅時効が完成していると主張した。この主張は認められるか。[ヒント:
最高裁判所平成10年12月17日第1小法廷判決
(平成6年(オ)第857号)]
AがBに対して5000万円の貸金債権(α債権)を主張して、その支払請求の訴えを提起した(第1訴訟)。その訴訟の係属中に、BがAに対して2000万円の売買代金債権(β債権)を主張して、その支払請求の別訴を提起した(第2訴訟)。第2訴訟において、Aは、β債権の発生を争いつつ、予備的にα債権でもって対当額で相殺すると主張した。この防御方法の提出は許されるか。[ヒント:
最高裁判所平成3年12月17日第3小法廷判決(昭和62年(オ)第1385号)
]
Xは、Yに対して1億円の債権を有しているが、Yの資力を考慮して6000万円の支払請求の訴えを提起した(明示の一部請求訴訟)。この訴訟が第一審に係属しているときに、Yが別訴で4000万円の支払請求の訴えを提起してきた場合に、Xが残債権を反対債権として予備的相殺の抗弁を提出することは許されるか。[ヒント:
最高裁判平成10年6月30日第3小法廷判決
(平成6年(オ)第698号)]
Xは、Yに対して3回に渡って金銭を貸し付けた(以下、α債権、β債権、γ債権と呼ぶ)。α債権について、Yがすでに弁済しており、かつ利息制限法違反の利率が合意されており、Yは過払利息について不当利得返還請求権を有している。Xが、Yに対してβ債権の支払請求の訴えを提起した。Yは、領収書を保存していないが、β債権すでに弁済済みであると主張しつつ、予備的に不当利得返還請求権と相殺する旨の抗弁を準備書面に記載して、Xに送付した。これを見たXは、γ債権をもってX主張の不当利得返還請求権と相殺する旨の再抗弁を準備書面に記載し、Yに送付した。口頭弁論期日において、Xが訴状および準備書面に基づいて陳述した後で、Yが準備書面に基づいて陳述した。裁判所は、Xが口頭弁論期日において先に陳述しているので、Xの相殺の再抗弁により、Yの不当利得返還請求権は消滅していると判断し、Y主張の不当利得返還請求権とβ債権との相殺は効力を生じえないとして、β債権の支払請求を認容することができるか。[ヒント:
最高裁判所平成10年4月30日第1小法廷判決
(平成5年(オ)第789号)民集52巻3号930頁]
Xは、Y銀行a支店長のすすめで多額の融資を受け、a支店長がすすめる金融商品に投資したが、相場の暴落で多額の損失を受け、抵当権の実行により不動産を失い、落胆して自殺した。Xの相続人は、銀行がXの資力を無視して投機性の高い投資のために過剰融資を行った点を問題にして、損害賠償請求の訴えを提起した。原告が銀行の貸出稟議書について文書提出命令の申立てをした。この申立ては、認められるか。[ヒント:
最高裁判所 平成11年11月12日 第2小法廷 決定
(平成11年(許)第2号)]
不正融資の噂のある金融機関の株主が、代表取締役を被告にして、株主代表訴訟を提起した。その訴訟において、原告は、疑惑の噂されている融資案件に関して当該金融機関が保有する貸出稟議書について文書提出命令を申し立てた。これは認められるか。[ヒント:
最高裁判所 平成12年12月14日 第1小法廷 決定
(平成11年(許)第35号)]
判例
中間判決の例
[169]東京地方裁判所 平成14年9月19日 民事第46部 中間判決
(平成13年(ワ)第17772号)・教材判例集503頁
[146]東京地方裁判所 平成13年5月25日 民事第47部 中間判決
(平成8年(ワ)第10047号(甲事件)、平成8年(ワ)第25582号(乙事件)・396頁
既判力−客観的範囲
[6]最高裁判所 昭和32年6月7日 第2小法廷 判決
(昭和28年(オ)第878号)・教材判例集9頁
[91]最高裁判所平成10年6月12日第2小法廷判決
(平成9年(オ)第849号)・教材判例集185頁
[106]東京高等裁判所平成11年12月16日第6民事部判決
(平成11年(ネ)第3800号)
既判力−主観的範囲
[1]大審院昭和15年3月15日第5民事部判決
(昭和14年(オ)第123号)・教材判例集1頁
既判力−標準時
最判昭和57.3.30民集36-3-501
既判力−口頭弁論終結時に予想していなかった事態
[28]最判 昭和42年7月18日
・民集21巻6号1559頁・教材判例集42頁
[62]最判昭和61.7.17
民集40-5-941頁・教材判例集117頁
1月11日
テーマ
当事者の欠席(82頁-85頁)、口頭弁論の一体性(85頁86頁)
証拠(87頁-88頁)、証明の対象(88頁-92頁)、自由心証主義(92頁)
証拠調べ手続の概要(94頁-101頁)
訴訟要件(103頁-111頁)
スライド
PowerPoint プレゼンテーション
スライドショー (html)
エクスプローラで閲覧できます
判例
適時提出主義―攻撃防御の提出に関する誠実義
[126]東京地方裁判所 平成12年3月27日民事第29部判決
・教材判例集332頁 被告の訴訟活動の経過を詳細に指摘して、それが、証拠提出の順序、時期及び方法のいずれの点においても、公正さを欠き、信義誠実に著しく反すると説示された事例。
時機に後れた攻撃防御方法の却下
[157]大阪地方裁判所 平成14年1月29日第21民事部判決
・教材判例集441頁
東京高等裁判所 平成13年12月19日 第20民事部判決
[115]東京地方裁判所 平成12年1月28日民事第47部判決
・教材判例集275頁
[107]東京地方裁判所 平成11年12月21日民事第46部判決
・教材判例集234頁
[90]最高裁判所平成10年4月30日第1小法廷判決
・教材判例集183頁
信義則による主張禁止
[106]東京高等裁判所平成11年12月16日第6民事部判決
・教材判例集230頁
証明の意義
最高裁判所昭和50年10月24日第2小法廷判決
(昭和48年(オ)第517号)
[132]最高裁判所 平成12年7月18日第3小法廷判決
・教材判例集367頁
自白の撤回の制限と証明責任
[10]最高裁判所 昭和35年2月12日第2小法廷判決
・教材判例集18頁
顕著な事実の例
最高裁判所平成12年11月10日第2小法廷判決
(平成11年(行ツ)第16号)
東京高等裁判所平成11年12月16日第6民事部判決
(平成11年(行ケ)第290号)
東京高等裁判所平成11年10月29日第13民事部判決
(平成10年(ネ)第3707号)
東京高等裁判所平成11年11月16日第6民事部判決
(平成11年(行ケ)第197号)
東京高等裁判所平成11年11月24日第13民事部判決
(平成10年(行ケ)第413号)
[155]名古屋地方裁判所 平成14年1月29日民事第1部判決
・教材判例集430頁
文書提出命令−貸出稟議書
[104]最高裁判所平成11年11月12日第2小法廷決定
(平成11年(許)第2号)・教材判例集227頁
[137]最高裁判所平成12年12月14日第1小法廷決定
(平成11年(許)第35号)・教材判例集382頁
[150]最高裁判所平成13年12月7日第2小法廷決定
(平成13年(許)第15号) ・教材判例集416頁
文書提出命令−技術文書
[123]最高裁判所平成12年3月10日第1小法廷決定
(平成11年(許)第20号)・教材判例集326頁
不服申立て
[123]最高裁判所平成12年3月10日第1小法廷判決
(平成11年(許)第20号) ・教材判例集326頁
[138]最高裁判所平成12年12月14日第1小法廷決定
(平成11年(許)第36号) ・教材判例集436頁・教材判例集384頁
[145]最高裁判所平成13年4月26日第1小法廷決定
(平成13年(許)第2号) ・教材判例集395頁
文書提出命令の利用の実例
大阪地方裁判所平成13年10月11日第21民事部判決
(平成9年(ワ)第12402号)
文書提出命令に応じなかった実例
[156]東京地方裁判所 平成14年1月29日民事第47部判決
・教材判例集436頁
[133]大阪地方裁判所 平成12年7月27日第21民事部判決
・教材判例集370頁 被告が文書提出命令に従わなかったが、原告の調査結果から要証事実を推認することができるとして、民訴法224条3項が適用されなかった事例。
陳述書が証拠原因となった事例
東京地方裁判所平成13年12月25日民事第48部判決
(平成10年(ワ)第1182号) 書籍の出版による名誉毀損事件において、被告の編集部の社員の陳述書に基づき出版部数が認定された事例
[165]東京高等裁判所 平成14年5月31日第13民事部判決
・教材判例集470頁 被告製品の大手ホームセンターにおける販売状況に関する原告従業員作成の上申書が証拠原因となった事例
補正不能であることが明らかな訴え
[79]最高裁判所 平成8年5月28日第3小法廷判決
・教材判例集156頁(裁判所は、被告への訴状送達前に、判決により却下することができる。訴状送達前に訴えを却下する場合には、却下判決を被告に送達する必要はない)。
権利保護の利益を欠く訴えの例
東京地方裁判所平成11年12月20日民事第29部判決
(平成10年(ワ)第18411号) 原告が確認の対象としている著作権の帰属を被告が争っているとは認められないため、著作権確認請求に係る訴えが却下された事例、並びに、原告が被告に対して差止を求めている著作物利用行為等をしているとは認められないため、著作物利用差止請求が棄却された事例。
紛争の蒸返しの禁止の法理
[91]最高裁判所平成10年6月12日第2小法廷判決
・教材判例集185頁
[129]東京高等裁判所 平成12年7月4日第18民事部判決
・教材判例集353頁
将来給付の訴え
最高裁判所 昭和56年12月16日 大法廷 判決
(昭和51年(オ)第395号)・民集35-10-1369頁
[65]最高裁判所 昭和63年3月31日第1小法廷判決
(昭和59年(オ)第1293号)・教材判例集123頁
条件付権利の確認の訴え 確認の利益
[96]最高裁判所平成11年1月21日第1小法廷判決
(平成7年(オ)第1445号)・教材判例集197頁
12月21日
テーマ
口頭弁論の準備(53頁-63頁)
訴状の陳述(65頁-67頁)、被告の答弁(67頁-68頁)、弁論主義(68頁-75頁)
主張責任・立証責任(75頁-82頁)
スライド
PowerPoint プレゼンテーション
スライドショー (html)
エクスプローラで閲覧できます
判例
裁判の公開
[66]最高裁判所平成1年3月8日大法廷判決・教材判例集126頁
法廷で傍聴人がメモを取ることは、その見聞する裁判を認識、記憶するためにされるものである限り、憲法21条1項の精神に照らし尊重に値し、故なく妨げられてはならない。
弁論主義−抽象的要件の具体化
最高裁判所平成13年6月8日第2小法廷判決
重い外傷の治療を行う医師が講じた細菌感染症に対する予防措置についての注意義務違反を否定した原審の認定判断に違法があるとされた事例。
弁論主義−主張責任
[25]最高裁判所 昭和41年9月8日第1小法廷 判決・教材判例集38頁
原告の所有権に基づく宅地明渡請求に対して被告が取得時効の抗弁を主張し、これに対して原告が使用貸借を主張し、裁判所が原告の主張に基づいて使用貸借の事実を確定した場合には、原告の右主張事実を被告が自己の利益に援用しなかったとしても、裁判所は原告の請求の当否を判断するにあたってこの事実を斟酌すべきである。
最高裁判所平成14年9月12日第1小法廷判決
債務の弁済がない場合に不動産を債権者に移転する旨の契約につき,原告が仮登記担保契約であると主張し,被告が代物弁済であると主張し,原審が原告の主張を認めた場合に,上告審が譲渡担保契約であると認定した事例。
東京高等裁判所平成14年9月6日第13民事部判決
被告が賠償すべき損害額の算定について、ある項目の金額を控除すべきであることを明示的に主張していない場合でも、その基礎となる事実関係自体は、主張上も証拠上も明らかに提出されている以上、その項目を控除することに妨げはないとされた事例
[5]最高裁判所昭和31年12月28日第2小法廷 判決・教材判例集8頁
時効を援用する趣旨の陳述がなかった場合に、裁判所が時効取得の有無を判断しなかったのは不当ではなく、その陳述をしなかったことの責任を裁判所に転嫁し、釈明権不行使の違法をもって非難することは許されない。
[85]最高裁判所平成9年7月17日第1小法廷 判決・教材判例集171頁
裁判所が被告の主張を正当と認める場合には、原告が被告主張事実を自己の利益に援用しなかったとしても、裁判所は、適切に釈明権を行使するなどした上でこの事実を斟酌し、請求の一部を認容すべきであるかどうかについて審理判断すべきである。
証明責任
最高裁判所昭和43年2月16日第2小法廷判決(昭和42年(オ)第687号)
準消費貸借契約の目的となっている旧債務の存否については、その不存在を事由に準消費貸借契約の効力を争う者がその事実の立証責任を負う。
大阪高等裁判所平成13年9月28日第11民事部判決
債務の分割弁済の途中で新たな借り入れがなされた際に,当初貸付額を借換後の債務額とする消費貸借契約書が作成されているが,その一部は旧債務残額の弁済に充当され,債務者が実際に受け取った金額はこれより少ない場合に,貸金業者が本来備え置くべき帳簿を提出しないことにより借換前の貸付残高を特定できない不利益を債務者に負担させるべきではないとして,借換時に債務者が実際に受領した金額についてのみ消費貸借契約が成立したものと解するのが相当であるとされた事例。
[144]最高裁判所平成13年4月20日第2小法廷 判決・教材判例集394頁
保険約款中に,被保険者の故意等によって生じた傷害に対しては保険金を支払わない旨の定めは,保険金が支払われない場合を確認的注意的に規定したものにとどまり,被保険者の故意等によって生じた傷害であることの主張立証責任を保険者に負わせたものではないと解すべきであるとされた事例。
大阪地方裁判所平成11年5月27日第21民事部判決
均等成立要件のうち、非本質性、置換可能性、置換容易性については均等を主張する者が証明責任を負い、製品・方法の容易推考性と意識的除外については成立を否定する者が証明責任を負う。
東京地方裁判所平成12年2月29日民事第46部判決
複製権侵害により原告が受けた損害額の推定のために被告が得た利益額を算定するに際して、被告が販売価格から控除すべき販売費、一般管理費等を概括的に主張しながら、費目ごとの金額をあげて控除すべき理由を明らかにせず、また、被告らが提出した証拠を総合しても、これらの費用の具体的な内容が不明である場合に、それらが控除すべき費用と認められなかった事例
12月14日
テーマ
当事者、当事者の特定(29頁-30頁)
管轄裁判所(37頁-46頁)
訴状審査(47頁-48頁)、訴状の送達(48頁-52頁)
スライド
PowerPoint プレゼンテーション
スライドショー (html)
エクスプローラで閲覧できます
判例
当事者の確定基準
[54]大阪地方裁判所昭和53年6月20日判決(昭和48年(ワ)第5607号・5609号、昭和52年(ワ)6760号・教材判例集91頁
訴訟の第7回口頭弁論において、訴状の当事者の表示欄における原告会社名の直後に「(ただし、葬儀行為を営業目的とするもの)」との文言を補充することが、原告の表示を正確にするための一部補充として許されるとされた事例。
訴えをもって主張する利益
[134]最高裁判所平成12年10月13日第2小法廷決定(平成12年(行フ)第1号)・教材判例集378頁
開発区域の周辺住民207名が林地開発行為許可処分の取消しを求める訴えを提起した場合
国際裁判管轄
[58]最高裁判所 昭和56年10月16日第2小法廷 判決(昭和55年(オ)第130号)・教材判例集111頁
マレーシア国内で締結された運送契約により搭乗した航空機がマレーシア国内で墜落したため生じた損害の賠償を求めて、日本に住所を有する者が提起した訴訟について、国際管轄が認められた事例
[87]最高裁判所 平成9年11月11日第3小法廷判決(平成5年(オ)第1660号)・教材判例集177頁
日本に主たる事務所を有する原告が、ドイツに居住する被告に対して提起した預託金返還請求訴訟につき、契約の準拠法は日本法であり、義務履行地としての日本の国際裁判管轄権を固定すべきであると主張したが、準拠法が日本法であるか否かにかかわらず、日本の国際裁判管轄を否定すべき特段の事情があるとされた事例。
[147]最高裁判所平成13年6月8日第2小法廷 判決(平成12年(オ)第929号,平成12年(受)第780号)・教材判例集409頁
我が国に住所等を有しない被告に対して、不法行為に基づく損害賠償請求訴訟が提起された事例
[116]東京地方裁判所平成12年1月28日民事第47部 判決(平成7年(ワ)第23527号)・教材判例集286頁
外国で出版された英語版書籍の日本語版が日本で出版され、その日本語版書籍により原告の翻案権が侵害された主張して謝罪広告等を求める訴えが提起された場合に、日本の国際裁判管轄権が認められた事例。
民事裁判権の及ぶ人的範囲
[69]最高裁判所 平成1年11月20日第2小法廷判決(平成1年(行ツ)第126号)・教材判例集137頁
天皇は日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であることにかんがみ、天皇には民事裁判権が及ばない。訴状において天皇を被告とする訴えについては、その訴状を却下すべきものである。
送達
[71]大阪高等裁判所平成4年2月27日第11民事部 判決(平成2年(ネ)第936号)・教材判例集137頁
被告の妻が送達書類を被告に渡さなかった事例。
[74]東京高等裁判所平成6年5月30日民事17部 判決(平成5年(ネ)第3904号)・教材判例集148頁
被告の息子が送達書類を被告に渡さなかった事例。
[93]最高裁判所平成10年9月10日第1小法廷判決(平成5年(オ)第1211号)・教材判例集189頁
釧路市内住所を有する前訴被告が、同市内の通常の勤務場所を離れて東京都内に長期出張していた場合に、前訴原告(金融会社)からの不十分な調査を基にしてなされた就業場所不明の回答に基づいて、裁判所書記官が訴状等を前訴被告の住所に宛てて書留郵便に付する送達を実施したことが適法であるとされた事例(前訴被告からの国家賠償請求が棄却された事例)。
[94]最高裁判所平成10年9月10日第1小法廷判決(平成5年(オ)第1211号、第1212号)・教材判例集191頁
クレジットカードの利用による貸金等の支払を求める前訴において、前訴原告の重大な過失による誤った報告に基づいて付郵便送達がなされ、前訴被告が訴訟に関与する機会のないまま判決が確定した場合に、前訴原告に前訴被告の権利を害する意図があつたとは認められないから、前訴判決に基づき支払った金員についての損害賠償請求は確定判決の既判力ある判断と実質的に矛盾するものとして許されないとされた事例。
訴訟係属
[79]最高裁判所平成8年5月28日第3小法廷判決(平成7年(行ツ)第67号)・教材判例集156頁
通算老齢年金の支給裁定の変更を求める請求を棄却した第一審判決が上告棄却により確定した後で、その訴訟の原告が、再審事由に相当する事実を主張することなく確定判決無効確認の訴えを提起した場合に、裁判所が訴状を被告に送達することなく訴えを却下した事例。
[20]最高裁判所 昭和39年11月26日第1小法廷判決(昭和38年(オ)第491号)・教材判例集31頁
複数の請求が密接に関連していても、反訴や訴えの変更が許されないので、別訴が許されるとされた事例。「三羽鶴」事件
[70]最高裁判所 平成3年12月17日第3小法廷判決(昭和62年(オ)第1385号)・教材判例集136頁
係属中の別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは許されず、このことは右抗弁が控訴審の段階で初めて主張され、両事件が併合審理された場合についても同様である。
訴訟による時効中断
[18]最高裁判所 昭和38年10月30日大法廷判決(昭和35年(オ)第362号)・教材判例集27頁
留置権の被担保債権の債務者からの目的物の引渡請求訴訟における留置権の抗弁は、被担保債権についての権利主張を含んでおり、被担保債権につき消滅時効の中断の効力がある。
[34]最高裁判所 昭和43年11月13日大法廷判決(昭和41年(オ)第984号)・教材判例集34頁
所有権に基づく登記手続請求の訴訟において、被告が自己に所有権があることを主張して請求棄却の判決を求め、その主張が原審で認められた本件においては、右主張は、裁判上の請求に準ずるものとして、原告のための取得時効を中断する効力を生ずる
[37]最高裁判所 昭和44年11月27日第1小法廷判決(昭和44年(オ)第491号)・教材判例集55頁
債務者兼抵当権設定者が債務の不存在を理由として提起した抵当権設定登記抹消登記手続請求訴訟において、債権者兼抵当権者が請求棄却の判決を求めて被担保債権の存在を主張したときは、右主張は、裁判上の請求に準ずるものとして、被担保債権につき消滅時効中断の効力を生ずる。
[95]最高裁判所平成10年12月17日第1小法廷判決(平成6年(オ)第857号)・教材判例集196頁
裁判上の催告の理論の拡張肯定事例
[105]最高裁判所平成11年11月25日 第1小法廷 判決(平成8年(オ)第718号)・教材判例集229頁
裁判上の催告の理論の拡張否定事例
12月7日
テーマ
民事訴訟の意義(1頁-5頁)、民事訴訟法(7頁-9頁)、判決手続の概略
設例の説明(i-ii頁)、訴えの提起(11頁-16頁)
訴訟上の請求(17頁-27頁)
請求の特定(28頁-35頁。但し、当事者の特定の部分は除く)
スライド
PowerPoint プレゼンテーション
スライドショー (html)
エクスプローラで閲覧できます
判例
訴訟類型−将来給付の訴え
[62]最高裁判所 昭和61年7月17日 第1小法廷 判決
(昭和56年(オ)第756号)・教材判例集117頁 土地の所有者が不法占拠者に対し、将来給付の訴えにより、土地の明渡に至るまでの間、その使用収益を妨げられることによって生ずべき損害につき毎月一定の割合による損害金の支払を求め、その全部又は一部を認容する判決が確定した場合において、事実審口頭弁論の終結後に公租公課の増大、土地の価格の昂騰により、又は比隣の土地の地代に比較して、右判決の認容額が不相当となったときは、所有者は不法占拠者に対し、新たに訴えを提起して、前訴認容額と適正賃料額との差額に相当する損害金の支払を求めることができる。
[65]最高裁判所 昭和63年3月31日 第1小法廷 判決
(昭和59年(オ)第1293号)・教材判例集123頁 将来の給付の訴えは、将来発生すべき債権についても、その基礎となるべき事実関係及び法律関係が既に存在し、その継続が予測されるとともに、右債権の発生・消滅及びその内容につき債務者に有利な将来における事情の変動が予め明確に予測し得る事由に限られ、しかもこれについて請求異議の訴えによりその発生を証明してのみ強制執行を阻止し得るという負担を債務者に課しても、当事者間の衡平を害することがなく、格別不当とはいえない場合には、提起することができる。
訴訟類型−境界確定訴訟
[97]最高裁判所平成11年2月26日第2小法廷判決
(平成9年(オ)第104号)・教材判例集198頁 境界確定の訴えは、公簿上特定の地番により表示される甲乙両地が相隣接する場合において、その境界が不明なため争いがあるときに、裁判によってその境界を定めることを求める訴えである。
訴訟物の特定
最高裁判所 昭和27年12月25日 第1小法廷 判決
(昭和25年(オ)第159号) 訴訟物が金銭債権である場合には、請求の趣旨において債権額を特定することが必要であり、このことは給付の訴であるか確認の訴であるかにより差異はない。
[108]東京地方裁判所 平成11年12月21日 民事第47部 判決
(平成11年(ワ)第20965号)・教材判例集242頁 「東京地方検察庁平成九年検第一九九八七号著作権違反について、平成九年一一月二五日に不起訴処分となった本件に新たに違反が行われたので確認する。」との請求に係る訴えが、確認対象が特定されていないことを理由に却下された事例。
訴訟物論−判例は旧訴訟物理論
[95]最高裁判所平成10年12月17日第1小法廷判決
(平成6年(オ)第857号)・教材判例集196頁 被相続人が貸金庫内に保管していた預金証書および株券を共同相続人の一人が密かに持ち出して、預金の払戻金および株券の売却代金を着服したので、他の共同相続人が損害賠償請求ならびにまだ売却されていないと考えた株券の引渡請求の訴えを提起し、その訴訟の係属中に不当利得返還請求を追加した場合に、当初の請求には不当利得返還請求権の行使の意思が表れていたと見ることができ、不当利得返還請求権についても催告が継続していたと解すべきであり、不当利得返還請求の追加により、右請求権の消滅時効について時効中断の効果が確定的に生じたものと解すべきであるとされた事例。
一部請求
[9]最高裁判所 昭和34年2月20日 第2小法廷 判決
(昭和31年(オ)第388号)・教材判例集14頁 裁判上の請求による時効の中断は、請求のあつた範囲においてのみその効力を生じ、裁判上の請求があつたというためには、単にその権利が訴訟において主張されたというだけでは足りず、いわゆる訴訟物となつたことを要する。
[38]最高裁判所 昭和45年7月24日 第2小法廷 判決
(昭和44年(オ)第882号)・教材判例集56頁 一個の債権の一部についてのみ判決を求める趣旨が明示されていないときは(黙示の一部請求)、請求額を訴訟物たる債権の全部として訴求したものと解され、時効中断の効力は、債権の同一性の範囲内においてその全部に及ぶ。
2002年12月 7日−2003年1月 29日