関西大学法学部教授 栗田 隆
2019年12月5日
解答にあたっては、次の点に注意しなさい。
なお、学部の定期試験(本試験)においては、上記の出題範囲に属する場合でも、次の問題は出題範囲外とする(この出題範囲の制限は、本試験にのみ適用し、追試験には適用しない)。
練習問題の答案は、必ず友人とチームを作って考えなさい。それが、答案の質を高める最も確実な方法である。
なお、不正競争防止法2条1項1号・2号・15号の不正競争行為の差止請求の訴額は、原告または被告の[争いに係る表示を使用した商品,営業,役務の年間売上推定額]×[訴え提起時の推定利益率]×[10年]×[10分の1]をもって算定することができる(東京地裁・大阪地裁の知的財産部が示す訴額算定基準参照。他の算定方法もあるが省略する)。そこで、この事例の訴額は、[原告の訴え提起時の年間輸出価額]×[原告の訴え提起時の利益率]×[10年]×[10分の1]であるとする。
福岡市内に住所を有するYは、東京都港区内に本店を有するX会社の福岡支店で、300万円の品物を代金後払いで購入したが、欠陥商品であったので、代金の支払を拒絶した。X会社が代金支払の訴えを東京地裁に提起した。売買契約書には、東京地裁を専属管轄裁判所とする旨の条項が入っていた。Yが事件を福岡地裁に移送することを申し立てた場合に、認められる可能性はあるか。なお、Xは、福岡地裁への移送に反対している。 |
メモ1 60分で5題出題していた時代には、下記のように問題を細分化していた。
しかし、1の問題は中途半端な問題である。この問題の解答に際して124条1項について言及する必要は必ずしもないが、学生の理解を確認するためには、124条1項に言及されていることを期待せざるを得ないからである。論述式の問題として出題する限り、そして解答時間に厳しい制約がないかぎり、これら2つの問題は統合することが好ましい。 メモ2 問題文の末尾にある「X本人が訴訟を追行していた場合」は、従前は、「X本人が訴訟を追行している場合」としていた。問題文の前の部分でも、「Xが病気で死亡した」となっているため、時制が不適切で、「Z本人が訴訟を追行している場合」の誤記ではないかとの質問が出た。誤解が生じないように、前記のように修正した。 メモ3 粗忽にも、当初は、問題文の末尾を次のようにしていた:「Xが弁護士Aを訴訟代理人に選任している場合と(AはXの死亡を直ちに知ったものとする)、X本人が訴訟を追行していた場合の双方について説明しなさい。」。この順番に解答すると答案は書きにくく、そして、採点に苦労する結果となった。学生諸君が解答しやすいように、まず原則的な場合を問い、次に例外的な場合を問わなければならないことを痛感した。 |
(1)上記の3つの場所について、その場所に送達名宛人(受送達者)がいない場合の取扱い。
(2)上記の3つの場所について、送達場所としての得失。
[L1]Xの両親は、二人とも健康であり、退職して自宅にいることが多い。Xは、その両親の住む家から1Kmほど離れた場所を住所として一人暮らしをしている会社員であり、母親によく面倒をみてもらっている。Xの現在の勤務先は、社員10人ほどがいる営業所であり、通勤時間は1時間かかる。平日は朝の8時半には出社して、6時頃まで営業所内にいる。土日は友人と遊びに行くことが多い。Xは、Yの不法行為により200万円ほどの損害を受け、本人訴訟で問題を解決しようと考えている。Xは、期日の呼出状や判決等の裁判所から送達される書類を受け取るために、どのようにすべきか。上記の3つの場所のうちで送達場所として適切と思われるものを2つ挙げて説明しなさい。また、その場所に送達名宛人(受送達者)がおらず、他の者がいる場合の取扱いも述べなさい(差置送達については、説明しなくてもよい)。 |
注意 試験範囲の区切りの関係で、重複起訴の禁止の問題の中に包含される問題は、「重複起訴の禁止」の項にいれてある。
試験範囲の区切りの関係で、重複起訴の禁止の問題の中に包含される問題は、「重複起訴の禁止」の項に入れてある。
傷害事件が起きた。Yは、親友と母親に、復讐のために自分がしたと告げた。復讐の言葉と被害者の重傷に心を痛めた母親は、Yを教会に連れて行った。Yが牧師に事実を告白し、牧師が神の教えを説いた。被害者がYに対して損害賠償請求の訴えを提起した。訴訟で、Yが真の加害者であるかが争点となり、原告が前記3人の証人尋問を申請した。母親は、この点についての証言を拒むことができるか。牧師はどうか。親友はどうか。 |
名古屋地方裁判所 平成14年1月29日民事第1部 判決(平成12年(ワ)第929号)に関連して、次の事項を説明しなさい。
注: 授業担当者は、当事者間に争いのないことも弁論の全趣旨になるとの立場であるが、これを具体例としてとりあげても単純すぎるので、弁論の全趣旨の具体例としては、これ以外のものを取り上げること。
[課題の達成の要領]次の事項について、説明しなさい。