国会での審議は、法律成立の最終段階であり、それ以前の立案段階で議論を尽くされたことを再度確認するにとどまることが少なくない。各委員会で 審議される すべての事項についてエキスパートになることは、誰にとっても難しいことであるから、それもやむ得ない。しかし、たとえそうであっても、次の理由により、 国会の会議録は法学研究ないし法学教育の素材として従来よりも重要性を増すように思われる。
- 国会会議録検索システム により、誰もが自由にアクセスできる資料となった。
- 国会が管理するものであるから、永続性を期待できる。ネット上の資料を素材として利用する際の最大の問題は、実のところ、それがネット上 で消失しやすいこ とである。長期にわたって存続する資料であることの意義は大きい。
- 著作権法 第40条 (政治上の演説等の利用)により、自由な利用が広範に許されている。
- 国権の最高機関(憲41条)における議論である。議員の発言にも政府委員の発言にも重みが認められるべきである。
- そして、国の唯一の立法機関として、政府提出法案を修正して可決することもあり、この場合には、法律を理解す1る上で国会での議論がきわめ て重要となる。
誰もが自由にアクセスでき、誰もが自由に利用することができる資料は、通常、多くの人に利用されることになり、その重要性がますます高まる。ま た、国会の 会議録が多くの者とりわけ若者により読まれることは、民主主義の発展の上で有意義なことである。(2004年1月7日)
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