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ドイツのフィルム(映画・動画)


ドイツ語は大して聞き取れていないが、それでも印象に残るものをリストアップしてみた。 動画の所在は良く変わるので、そのURLは記さなかった。 Wikipediaに作品の解説があるものについては、そのURLを掲げることにした。 このサイトの大部分のページはshif-JISで書かれているが、このページはドイツ語の文字をよく用いるので、utf-8で書いてみることにした。


メ モ


挨拶の様式
ドイツの様々な時代を描いたフイルムを見て感ずるのは、挨拶(特に目下の者の目上の者に対する挨拶)の多様性である。時代の進展に従い様々な様式の挨拶が作り出された。2019年コロナ禍前には握手とハグが主流であったが、その前は立礼(お辞儀)である。コロナ感染が始まると、ハグはもちろん握手も回避された。それで立礼に戻ると思いきや、ヒジや前腕の打合いである。新しい様式(新しいもの)を作り出すことは、ドイツを含むヨーロツパの特質である。

これに対して日本の挨拶の様式の変化は緩慢である。新しい様式を作るエネルギーを欠いていると言うことさえできる。明治維新前に、屋内では、畳の上に正座して上体を伏すのが正規の挨拶であった。屋外ではどうか。仄聞するところでは、農村部では太平洋戦争前のみならず戦後間もない時期ですら、年配者にとっては、土の上に正座して(又はこれに近い姿勢)挨拶するのが正規の挨拶であったそうだ(ただし、地域差もあることだろうし、着ている服装にもよろう)。立礼が始まったのは、明治以降であろう。とりわけ鹿鳴館では正座は考えられず、立礼になる。"Mädchenjahre einer Königin" (1954) に描かれている戴冠式の様子と、「ガーター勲章をコノート公爵アーサーより伝達される明治天皇」の絵(1906年)に描かれた式典あるいは鹿鳴館の社交会の様子とは似ている。尋常小学校において畳のない部屋で机と椅子を用いた授業が行われるようになると、学校内で正座しての挨拶はほとんど行われなくなったと思われる。こうして立礼(お辞儀)が日本の挨拶の主流になったが、握手はそれほど広まらなかった。

現在では、立礼、とりわけ上半身を深々と下げての立礼は、日本に特有なものであるかのような錯覚さえ生ずる。しかし、外国でも、劇場や演奏会などの舞台で観客に向けてする挨拶として、立礼は珍しくない。その立礼を見て、日本のお辞儀が外国にも広まったと考えるのは間違いであろう。なお、ヘロドトス(松平千秋訳)『歴史 上』(岩波文庫、昭和47年6月10日第2刷)210頁は記す:「しかしどのギリシア人とも違う点もあって、それはエジプト人が路上で出会うと互いに挨拶の言葉を交わす代わりに、手を膝のあたりまでさげてお辞儀することである。」。