民事訴訟法講義
口頭弁論 2関西大学法学部教授
栗田 隆 |
文 献
攻撃(的申立て) | 原告の判決申立て=請求の趣旨に示された判決の申立て |
防御(的申立て) | 被告の判決申立て=訴え却下・請求棄却の申立て(答弁書の記載事項である) |
T:先ほどあなたは、「被告の攻撃防御方法」と言われましたね。「被告の防御方法」はわかりますが、「被告の攻撃方法」とは何か、具体例を挙げて説明してくれますか。 S:例えば、所有権に基づく明渡請求に対して、被告が賃借権の抗弁を出す場合のように、被告が積極的に自分の権利を主張する場合などをいうのだと思います。 T:その場合には、被告は、賃借権確認の反訴を提起することができますね。別の例を挙げれば、1億円の金銭支払請求訴訟において被告が3億円の反対債権を主張し、対当額での相殺の抗弁を提出して請求棄却判決を求めるとともに、残額の2億円の支払請求の反訴を提起することができますね。 S:はい。 T:では、146条のどの文言によって被告はその反訴を提起できるのかを相殺の抗弁の場合について説明してください。 S:この反訴請求は、「本訴の目的である請求と関連する請求」には当たりませんが、「防御の方法と関連する請求」にあたります。 T:しかし、あなたは、先ほど、被告が積極的に自己の権利を主張する場合が「被告の攻撃方法」だと言いませんでしたか。146条では、「攻撃の方法と関連する請求」を目的とする場合に反訴を提起できるとは規定されていませんね。あなたの用語法と146条とを結びつけると、被告は、抗弁として主張した権利(攻撃方法)について反訴を提起することができなくなりますね。 S:はい。 T:そもそも、防御とは何なのですか。「防御とは被告の判決申立てであり、防御方法とは被告が自己の判決申立てを根拠づけるために提出する一切の資料ないし一切の資料提出行為である」といった説明は、あなたの使用している教科書に書かれていませんか。 S:今探していますが、見あたりません。 T:困りましたね。。。攻撃は原告の判決申立てであり、攻撃方法は原告が自己の判決申立てを根拠づけるために提出する一切の資料ないし一切の資料提出行為ですよ。言葉の定義により、被告が攻撃方法を提出することはありませんし、原告が防御方法を提出することもありません。 S:でも、民訴規則53条3項に「攻撃又は防御の方法を記載した訴状は、準備書面を兼ねるものとする」と規定されています。これって、原告が防御方法を提出することができることを前提にした規定ではないんですか。 T:説明しにくい規定ですね。。。(続きは、注12) |