- [L1]Yは、大阪市内に住んでいる。その妻Aが金融業者Xの営業所を訪れ、Yの代理人として200万円を借り受けた。Xは、貸付けにあたって、Aから代理権授与証明書と印鑑証明書を提出してもらうと共に、「Yはある会社の社員で朝から晩まで働いているが、今日は休日で自宅にいる」とのAの説明を信用して、Yの自宅に電話して、電話口に出た者がYであること及びAへの代理権授与の事実と借入れの意思があることを確認をし、その旨の記録を作成した上で、Yの代理人Aとの間で消費貸借契約書(年利率10%、弁済期6月後)を作成して、200万円を貸し渡した。しかし、弁済期になっても弁済がないので、Xは、前記貸付債権を被保全債権として、大阪地方裁判所に、Y所有の不動産に対して仮差押命令を申し立てた。裁判所は、Yを審尋することなく仮差押命令を発し、その執行がなされた。しかし、Yは、Aと家庭内離婚の状況にあり、Aに前記代理権を授与したことはなく、また、Xから確認の電話があった日には会社に勤務していたと主張し、Xに対して抗議をし、速やかに仮差押命令の申立てを取り下げるように求めた。しかし、Xがこれに応ずる様子がないのみならず、Xから前記貸金債権について訴えを提起する様子もない。Yは、この仮差押命令を取り消してもらうためにはどうしたらよいか。2つの方法を説明しなさい(仮差押えの執行の取消しについては言及しなくてよい)。
- ヒント: 民保26条・29条・31条・32条
- ヒント: 民保37条
- [L1]債権者Xは、債務者Y所有の不動産に対して仮差押命令の申立てをしたが、却下されてしまった。Xはこれにはなはだ不満である。Xはどうしたらよいか。
- ヒント: 民保19条。
- ヒント: 再度申し立てることができるか否か(却下決定に既判力があるか否か)も説明すること。
- [L1](1)Xは、Yから不動産を購入し、代金を支払ったにもかかわらず、Yが所有権移転登記に応じない。Xは、当該不動産について処分禁止の仮処分命令の申立てをした。裁判所は、仮処分命令の発令に当たって、仮処分解放金を定めることができるか。(2)Xは、Aに対して1000万円の金銭債権を有している。Aが強制執行を回避するためにその所有不動産をYに廉価で売却した。XがYに対して詐害行為取消訴訟を提起する準備として、その不動産について処分禁止の仮処分命令の申立てをしている場合はどうか。
- [L1]Xの土地上に無断で建物を建築したYに対してXが建物収去土地明渡請求の訴えを提起するに先立って、その建物の処分禁止の仮処分命令及び占有移転禁止命令の申立てをした。仮処分命令が発令され、その執行がなされた。それから、Xは、Yに対して、予定していた前記訴えを提起した。しかし、訴状が裁判所に提出された後・Yに送達される5日前に、Yは、建物をZに譲渡するとともに、所有権移転登記を申請し、即日、その登記がなされた。
(1)前記訴訟の口頭弁論において、Yは、「自分はもはや建物の所有者ではないので建物の収去義務を負わず、また土地を占有していないので土地の明渡義務を負わない」と主張した。裁判所は、この主張にどのように対応すべきか。
(2)Yを被告にして訴訟が進められ、請求認容判決が確定した場合に、その判決の既判力は、Zに及ぶか。
(3)Yを被告にして訴訟が進められ、請求認容判決が確定した場合に、Xは、その判決によって建物収去・土地明渡しの強制執行をしてもらうためには、どのようにしたらよいか。
- [L2・類題]BからCに所有権移転登記がなされ、現在Cが占有している土地がある。Bは、BからCへの所有権移転登記は、Bの意思に基づくことなく偽造文書によりなされたものであると主張して、Cを被告にして、所有権確認請求、所有権移転登記抹消請求及び土地明渡請求の訴えを提起することにした。それに先だって、その土地について、処分禁止の仮処分命令及び占有移転禁止の仮処分命令を申し立てた。仮処分命令が発令されて、その執行がなされてから、Bは、Cに対して、予定していた前記の訴えを提起した。
その訴訟の係属中に、Dが、Cからその土地を安値で買い受けて、Cから引渡しを受けるともに、所有権移転登記を経由した。
BのCに対する請求を全部認容する判決が確定した後で、Bは、どのようにしたらよいか。
- [L1・類題]AからBに、BからCに所有権移転登記がなされ、現在Cが占有している土地がある。Bは、BからCへの所有権移転登記は、Bの意思に基づくことなく偽造文書によりなされたものであると主張して、Cを被告にして、所有権確認請求、所有権移転登記抹消請求及び土地明渡請求の訴えを提起することにした。それに先だって、その土地について、処分禁止の仮処分命令及び占有移転禁止の仮処分命令を申し立てた。仮処分命令が発令されて、その執行がなされてから、Bは、Cに対して、予定していた前記の訴えを提起した。
その訴訟の係属中に、Aが、AからBへの所有権移転登記は、Aの意思に基づかずに偽造文書によりなされたものであると主張し、一定の和解金を支払うので、AからBへの所有権移転登記の抹消とBからCへの所有権移転登記の抹消に応ずるようにBとCに交渉してきた。Cはこれに応ずることにしたが、Bは拒絶した。そこで、Aは、やむなく、Cに和解金を支払って、Cから土地の引渡しを受けるともに、CからAへの所有権移転登記を申請することにし、その引渡し及び登記がなされた。
(1)BC間の訴訟はどうなるか。その訴訟の係属中に、Aはどうしたらよいか。
(2)AがBC間の訴訟に参加することなく放置していて、BのCに対する請求を全部認容する判決が確定した場合に、その判決の効力は、Aに及ぶか。Aは、どのように対応したらよいか。