by SIFCA
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破産法学習ノート2

財団債権


関西大学法学部教授
栗田 隆
by SIFCA

1 概説  2 一般の財団債権
 3 財団不足の場合の措置 4 財団債権の債務者


1 概説


意義
破産管財人が破産財団を管理・換価して破産債権者に配当する過程で生ずる費用に係る相手方の債権は、破産財団から優先的に弁済しなればならない(そうでなければ、破産手続を進めることが困難となる)。この債権を中心として、一定範囲の債権が財団債権と呼ばれ、次の取扱いが認められている[CL]。

  1. 破産手続によらないで破産財団から随時弁済を受ける(2条7項)
  2. 破産債権に優先する(151条

財団債権には性格の異なる雑多なものが含まれるので、その定義を要件の面から述べるより効果の面から述べる方が、簡明である。現行破産法は、上記の効果の1を以て財団債権を定義している(定義の要素は少ない方がよいので、効果の2は定義に含めずに、別個に規定されている)[CL1]。

財団債権を定める規定
財団債権の主要なものは148条に列挙されているが、それ以外にも財団債権を定める規定がある(149条・150条4項・45条3項・54条2項・56条2項・132条・168条1項2号・2項1号・3号)。

財団債権の申出
財団債権は、破産債権と異なり、裁判所への届出は必要ないが、破産管財人が適時に認識しうるとは限らないので、破産手続開始の決定があったことを知ったときは、速やかに、財団債権(法第2条第7項に規定する財団債権をいう。)を有する旨を破産管財人に申し出るものとされている(規則50条1項)。この申出は、書面によることを要しない(50条2項)。ただし、国税徴収機関(税務署長)は、裁判所に交付要求書を提出して交付要求をしなければならない(国税徴収法82条1項)。

財団債権の承認と弁済
破産管財人は、財団債権を承認するにあたって、裁判所の許可を得なければならない。ただし、最高裁判所規則(破産規則25条)で定める額(100万円)以下のものについては、許可を要しない(78条2項・3項)。破産管財人が財団債権を承認すると、破産財団から随時弁済される(2条7項)[CL3]。破産債権のような届出・確定手続を経る必要はない。破産管財人が承認しない場合には、債権者は、彼を相手にして訴訟によりその存在と内容を確定させることができる(給付判決を得ることができる)。判決により確定された財団債権の承認あるいは弁済については、破産事件を担当する裁判所による許可は必要ない。

財団債権について弁済期が到来しているにもかからず破産管財人が適時に弁済しないために、破産管財人が履行遅滞に陥った場合には、遅延損害金を付すべきかが問題となるが、別段の規定がなければ、民法・商法の一般原則に従い遅延損害金を支払うべきであり、これは148条1項4号の財団債権になる(租税債権につき、[小川*2004a]195頁参照。ただし、149条2項かっこ書のような例外もある)。

財団債権に関する訴訟
財団債権を主張する者と破産管財人との間で、財団債権のとなるべき債権の存否内容に争いがある場合、あるいはその債権の存在に争いはなくても財団債権に該当するかについて争いがある場合には、その争いは、両者を当事者とする訴訟で解決される。破産債権者はこの訴訟の当事者になることはできないが、破産管財人側に補助参加することはできる(補助参加の利益を有する)。

訴訟物と既判力  訴訟物(狭義)は、財団債権を主張する者が原告となる場合には、彼が財団債権者として破産財団から弁済を受ける権利を有するとの主張(財団債権支払請求権の主張)ないし主張された財団債権支払請求権である([伊藤*破産・民再v3]313頁)。

一般財産に対する執行・保全処分の禁止
財団債権の実現のために強制執行を許すべきか否かは、政策論として見解の分かれるところであるが、現行法は、次の理由によりこれを否定した(42条1項)。破産管財人を被告とする訴訟を経て財団債権が判決により確定している場合でも、同じである。財団債権者は、裁判所に対し、監督権(75条)の行使を求めることができる。

  1. 破産財団所属財産は、できるだけ破産財団に有利になるように換価されなければならず、換価の方法と時期の選択は破産管財人に委ねるのがよく、財団債権について強制執行を許すと、それが妨げられる。
  2. 破産管財人を選任して破産執行手続を開始した場合でも、その後に財団不足により破産手続が廃止され、財団債権について債権額に比例した弁済(比例弁済)を行わなければならないことがあることを考慮すると、財団債権者による個別執行は禁止しておくのがよい。

禁止されるべき行為の範囲は、破産債権の場合と同じである。42条1項に挙げられている強制執行、仮差押え・仮処分、一般の先取特権の実行・企業担保権の実行の外に、別除権の実行手続における配当要求も禁止される([松下*2007a]47頁)。この場合には、前記の根拠aは当てはまらないが、根拠bが妥当するからである。

滞納処分
破産手続開始前に開始された滞納処分は、それが財団債権に基づくものであるか破産債権に基づくものであるかにかかわらず、続行が許容されている(43条2項。このことは、破産財団が財団不足に陥った場合に耐え難い結果をもたらすであろう)。しかし、破産手続開始後に新たに滞納処分を開始することは、たとえ財団債権に基づく場合であっても許されない(43条1項)。理由は、強制執行の項で述べたことと同じである。

財団債権を被担保債権とする別除権等の行使
財団債権のために別除権が成立している場合には、その別除権の行使は妨げられない(42条1項の反面解釈)。152条1項ただし書の規定に照らせば、財団不足でない場合でも、留置権の行使も許されるべきであろう。

 


2 財団債権の範囲


様々な債権が様々な理由により財団債権とされており、また、財団債権を定める規定も各所に散在している。その中にあって、148条1項が比較的包括的に財団債権を規定している。まずこれを一瞥しておこう。148条1項では、様々な債権が異なる理由により財団債権とされているので、一律の説明は困難であるが、破産債権との対比では、原則として、破産手続開始後に生じた破産債権者の共同の利益のための出費に当たる債権と言うことができる。例外もある。次のものは、破産手続開始前に原因があるが、財団債権とされている。

2.1 148条1項の財団債権

共同の利益のための裁判費用(1号)
次のものがこれに該当する。

次のものは、これに該当しない。

換価・配当の費用(2号)
破産財団の管理・換価・配当に関する費用も財団債権となる。次のものがこれに該当する[1]。

租税等の請求権(租税債権等)(3号)
破産手続開始前の原因に基づく租税等の請求権(国税徴収法又は国税徴収の例によって徴収することのできる請求権)は、破産債権になるのが本来であるが、租税等の請求権についてこの原則を貫くと、租税徴収機関は納期限到来後に直ちに滞納処分により租税等を徴収すべきことになる。社会的に見てそれが妥当であるとはいえないので、また、税収の確保の必要もあるので、次のものが財団債権とされている[CL2]:破産手続開始の時点で、

誤解をおそれずに要約すれば、≪納期限の到来とともに始まる強制徴収可能期間が1年を経過していないもの≫が財団債権となる。

他方、破産手続開始の時点で強制徴収可能期間が1年を経過しているものは、破産債権になる。その租税等の請求権について既に滞納処分が開始されているときは、その滞納処分は破産手続開始後も効力を失わないので、徴収機関はその限りで優先弁済を受けることができる。しかし、その租税等の請求権自体が財団債権になるわけではないので、当該滞納処分によっては徴収できなかった不足額は、破産債権になる。

国税徴収の例により徴収することを得べき請求権として、例えば次のものがある(法令データベースの法令用語検索で検索するときには、「国税滞納処分の例」ないし「滞納処分の例」をキーワードにするとよい):

破産手続開始後に原因のある租税債権等のうち、破産財団の管理及び処分に伴って生ずる共益的な支出として共同負担するのが相当なもの(固定資産税や都市計画税など)は、2号により財団債権になる。しかし、それ以外の租税債権等は、破産債権であり(97条4号)、劣後的破産債権である(99条1項1号)。

なお、破産者が個人である場合に、彼が破産手続開始後に得た所得に対する所得税は、彼の所得から支払われるべきであり、財団債権とならない。課税年度の途中で破産手続が開始された場合には、開始前の所得が破産財団に流入していると考えて、所得税を破産財団と自由財産とに分担させることも考えられないわけではない。しかし、当該年の所得に対する所得税は、破産財団に関して生じた共益的費用とはいえず、この所得税債権はすべて財団債権にならないとされている(旧法下の判例であるが、最判昭和43年10月8日民集22巻10号2093頁・[百選*1976a]97事件(植松))[4][5]。

租税債権については、「その納期限までに完納されないと認められる」ときは、税務署長は、納期限を繰り上げ、その納付を請求することができる(国税通則法38条1項1号・3号。納税者について破産手続が開始された場合にはこの要件は充足されると考えられる)。財団債権となる租税債権について、「その納期限までに完納されない」との要件が充足されるかは、個々の事案に依存するであろうが、納税者の財産を包括的に清算する手続が開始されている場合には、同要件の充足を問題にすることなく、納期限の繰り上げが許されると解すべきであろう。

破産財団に関し破産管財人の行為により生じた請求権(4号)
破産管財人が破産財団に関してなした行為により相手方に生ずる債権も、破産財団から優先的に弁済されるのでなければ、破産管財人との取引行為が回避され、手続の円滑な進行が期待できない。この中には、破産財団にとって有利でない行為により生じた請求権も含められる。そうでなければ、破産管財人と取引をなす者は不安定な地位に立たされ、彼との取引を避けることになり、手続の円滑な追行が期待されえないからである

これに該当するものとして、次のものがある。
)破産管財人が管財業務の追行のために第三者と契約することにより第三者が取得する債権。例えば、

  1. 管財事務の追行のために雇用した者の給料債権
  2. 在庫商品の保管場所の賃借により相手方に生ずる債権
  3. 破産財団内にある不良在庫品の処理を破産管財人から請け負った者の請負代金債権(例えば、食肉偽装事件を起こした破産会社が抱える食肉を堆肥にするための処理の請負代金債権)[7]。
  4. 36条により事業が継続された場合に、その事業活動の相手方に生ずる債権
  5. 破産管財人が破産財団所属財産を売却する契約を締結したが、それを履行することができなくなったことから生ずる債権(相手方の前払代金返還請求権や損害賠償請求権)

ただし、この中には2号に該当すると評価される得るものもあり(特に上記a)、それは、152条2項との関係では148条1項2号の債権として他の財団債権に優先する(2号に該当するものは4号からは除外されると表現としても同じである)。

)破産財団の管理・換価に関連して破産管財人がなした不法行為による債権も、破産債権者が共同して負担すべきものとして、4号に含まれる。例:

)財団債権に対応する債務の破産手続開始後における不履行による損害金(私債権の遅延損害金、租税債権の延滞税、利子税、延滞金)の債権は、4号の財団債権になる([小川*2004a]194頁以下)[13]。他方、(c')97条5号に挙げられている加算税は、それが罰金と同様な制裁的性質を有するものであることを考慮して、財団債権である租税債権について生ずるものであっても、劣後的破産債権(99条1項1号・97条5号)になると考えられている([小川*2004a]195頁以下)[15]。

事務管理・不当利得により生じた請求権(5号)
いずれも、破産手続開始後に生じたものに限られる。例:

不当利得 破産手続開始前に破産者に対して生じた不当利得返還請求権は、通常は破産債権である。上記の例においても、取戻権者に帰すべき配当金を破産者が破産手続開始前に収受していたとすれば、それが特定性を有する形で保管されていない限り、破産債権となる。

事務管理 民法は、破産手続が開始されていない場合について、事務管理者と本人との間の利益調整のみを念頭において事務管理の規定を置いているのであるから、破産手続開始後の事務管理により生じた請求権であるということだけでは、その財団債権性を根拠付けるのに不十分である。その根拠付けは、次の点に求められる:事務管理によって破産財団は積極的には増加されたとは言えないが、これによって財団を保全し又は管理費用を節約し得たはずであるので、破産債権者は利益を得たと見ることができる([井上*1925a]123頁)。

この根拠が妥当する範囲でのみ、財団債権となることを認めれば足りる。民法の規定に従い事務管理により生じた費用と評価されるものは、原則として、5号の財団債権にあたることになるが、常にそうだとは限らない。したがって、財団債権に該当するための要件として、解釈により、次の要件が追加されるべきである:当該事務管理により破産財団に属する財産の減少が阻止され、あるいは財産が増加することが 通常 期待できること。

次のものはこの事務管理に該当すると考えてよい。

他方、次のものは財団債権を発生される事務管理(5号の事務管理)に該当しないと解すべきである。

委任契約から生ずる債権の処遇
急迫の必要

あり

なし

委任者の破産につ
いて受任者が

善意 財団債権 破産債権
悪意 財団債権 非破産債権・非財団債権

なお、破産財団に関係する委任の費用償還請求権は、
事務管理として財団債権になることがある。

委任終了後の急迫の必要のためになした行為により生じた請求権(6号)
この債権も、これを財団債権とすることにより破産財団がよりよく管理されることになるので、破産事件の円滑な処理に必要な債権と見ることができる(この点は、5号の事務管理と共通する)。6号に該当する場合には、費用請求権のみならずに報酬請求権も財団債権になると解すべきである(そうでないと5号の事務管理とのバランスを失する)。ただ、費用及び報酬の総額がその事務処理により破産財団が受けた利益を超える場合にまで、その全部を財団債権とするのは妥当ではなく、破産財団が受けた利益を限度として財団債権になるとし、かつ、超過部分は破産債権にもならないと解すべきであろう。

なお、破産手続開始後に急迫の事情なくして善意でなされた事務処理による請求権は、5号の事務管理に該当するものを除き、破産債権である(57条97条9号)。また、委任終了後の急迫の必要のためになした行為であっても、破産手続開始前になされたものは、破産債権である。

双方未履行契約について破産管財人が履行を選択した場合の相手方の請求権(7号・55条2項)
双方の履行が完了していない双務契約について破産管財人が履行を選択した場合には、相手方の債権は財団債権として保護するのが適当である。

)一つの物の売買契約や一つの建物の建築請負契約のような非継続的契約については、相手方の請求権全部が財団債権となる。売買の目的物が複数あるが、それらが不可分の関係にある場合(一部だけの給付では契約の目的を達することができない場合)も、破産管財人は、目的物の全部について履行又は解除の選択をしなければならず、履行が選択されれば、相手方の債権は目的物の全部について財団債権になる。例えば、売買契約の買主が破産し、破産管財人が履行を選択するものとしよう。

)一方の可分的給付の対価として他方が周期的に金銭を支払うのが通常であるタイプの継続的契約については、破産手続開始前の期間に係る債権とその後の期間に係る債権とに分けられる。

継続的契約について破産管財人が履行を選択した場合に、契約が無期限に存続するとは限らない。期間の定めのある継続的契約については、期間の満了により消滅するのが原則である。期間満了後の更新の拒絶は、8号に言う解約や解除には当たらず、履行選択後の有効な更新拒絶により契約が終了しても、そのことは7号の適用を妨げない。

継続的契約の履行が選択された場合に、破産手続開始前の給付に係る請求権の一部が財団債権になることがある。

賃貸借契約の履行が選択された場合、破産手続開始前の時期に係る賃料債権の取扱いについて、これも財団債権になるとの見解もあるが([伊藤*破産・民再v3]362頁以下)、破産手続開始後のもののみが財団債権になるとすべきである(多数説。ただし、賃貸借契約には通常は55条の適用がないが、特殊な賃貸借契約でその適用を肯定すべきものについては、同条の規定にしたがい、破産手続開始申立てがなされた時期以降の賃料債権も財団債権になる)。

双務契約の解約・解除から終了までの間に生じた請求権(8号)
ここで問題となる双務契約は、継続的契約である(8号で「解約」の語が用いられているのは、その趣旨である。53条による解除の対象として明示的に挙げられている賃貸借契約も、継続的契約である)。継続的双務契約のうち、破産手続開始決定があっても当然に終了しないものについては、破産管財人が解約又は解除[[19]]するまでは破産手続開始後も相手方は給付を継続することになるので、相手方の利益を保護するために財団債権とされているのである。いくつかの例を類型化しておこう:

)8号の規定は、次のものに適用される。

)他方、次のものには適用されない。

2.2 その他の財団債権

負担付遺贈おける負担履行請求権(148条2項)
破産手続開始前に破産者に対する負担付遺贈が効力を生じ、その履行が破産手続開始後になされた場合には、双方未履行契約の場合と同様に、その負担の利益を受けるべき請求権(負担履行請求権)は、遺贈により破産財団が利益を受けた限度で財団債権になる(民法1002条も参照)。

保全管理人の財産管理行為によって生じた債権(148条4項)
これは、次の2つに分かれる。

労働債権(149条
ILOの労働債権保護立法の推進運動を受けて、日本の破産法も賃金債権の一部を財団債権とした。

)破産手続開始前3月間の給料の請求権は、財団債権となる。この場合の給料は、労働の対価としての性格をもち定期的に支払われる金銭がすべて含まれる(家族手当や住宅手当あるいは通勤手当も含まれる)。

就業規則等により夏と冬に支払われることが規定され、破産手続開始前に金額が決定されている賞与(ボーナス)も含まれ、その金額は、当該賞与と対価関係にある労働期間に応じて日割計算により算定すべきである(例えば、破産管財人が破産手続開始の日に、その翌日に効力が生ずる解雇を有効になし得ることを前提にすると(労基法20条1項本文後段・2項参照)、1月から6月までの労働の対価として6月20日に、7月から12月までの労働の対価として12月20日に賞与が支給される場合に、12月15日に破産手続が開始されたのであれば、3か月分の金額(従って12月20日に支給されるべき金額の半分)が財団債権とされるべきであり、9月1日に破産手続が開始される場合には、2か月分の金額(12月20日に支給されるべき金額の3分の1)が財団債権とされるべきである。なお、労基法20条1項本文前段に従い解雇する場合には、破産手続開始から解雇の効力が生ずるまでの間の労働については、破産法148条1項8号の適用があり、賞与の支払請求権も日割り計算の上で、同号により財団債権になると解すべきである。

)退職金債権は149条1項にいう「給料の請求権」には含まれず、これとは別個に、次の区分に応じ、3月間の給料額に相当する金額の範囲内で財団債権となる(149条2項)。ただし、退職金債権を破産債権としたならば劣後的破産債権となる部分(破産手続開始後の遅延損害金)は財団債権には含まれない。

)解雇予告手当  これは労働に対する対価ではなく、使用者の財産の増殖に寄与することのない支出であるので、149条1項にいう「給料の請求権」には含まれかについては、見解が分かれ得る。しかし、労働者の保護の視点から、解雇は30日間の予告期間をおいてなされるべきものであり、解雇の効力発生までの30日間は賃金を支払わなければならないのが本則である(労基法20条1項本文)ところ、使用者の財産管理あるいは財産整理のために即時解雇も許されており、その場合の解雇予告手当は、30日間の賃金支払に代わるものであるから、解雇予告手当請求権は、賃金債権の性質を有し、149条1項の適用を受ける(財団債権になりうる)と解すべきである。[野村*2013a]37頁は、破産手続開始前3月以内に即時解雇がなされた場合の解雇予告手当が財団債権に該当することの明文化を提案する。また、この範囲の解雇予告手当は財団債権に該当するとの解釈を前提にして、裁判所に対して財団債権として弁済することの許可申立てをすれば、許可されることもあるとのことである。

社債管理者等の費用および報酬(150条
社債管理者が破産手続開始後に社債管理事務を行う場合に、それは破産債権者全体のために事務を行っているのではなく、その一部の者のために事務を行っているのであるから、それに伴う費用および報酬の請求権は、当然には財団債権にはならない。しかし、社債権者の保護のために社債管理会社の設置が会社法により義務づけられていること、社債管理会社が管理業務を遂行することにより破産管財人の事務負担が軽減されることを考慮して、裁判所の許可を得て財団債権に組み入れることができるとされた([小川*2004a]205頁)。

社債管理会社の社債管理に伴う費用および報酬の請求権の財団債権化に関する規定(150条1項ないし5項)は、類似の債券の管理者の費用および報酬の請求権についても準用される(6項)

再建型倒産手続の共益債権(民事再生法252条6項、会社更生法254条6項)
再生手続と破産手続との連係を保ち、再生手続により債務者の財産関係の整理を図ろうとした者あるいはこれに協力した者の利益を図るために、再生手続上の共益債権は、破産手続において財団債権とされている(民再法252条6項)。会社更生手続との関係も同様である。

)再生手続が開始されたが、挫折して、職権により又は申立てにより破産手続に移行した場合  共益債権の主要なものは、民事再生法について言えば、同法119条以下に規定されていて、破産手続の財団債権に相当するものが多いが、次の共益債権に関する規定は、これに相当する規定が破産法になく、かつ金額が大きくなる可能性があるので、注意を要する(会社更生については、会更生127条以下参照)。

a')再生手続開始に 至らなかった場合でも、再生手続の開始に向けて協力した取引相手を保護するために、次の共益債権は財団債権になるとされている(民再法252条6項かっこ書)。

)破産手続開始後に再生手続開始申立てがなされたが、再生計画認可決定の確定に至らなかったため破産手続が続行された場合の共益債権も同様である。

民事再生法252条6項の規定は複雑である。要点を整理しておこう。

民事再生法252条6項 事柄の生起

前段

(破産手続への移行(牽連破産))

252条1項(破産手続開始前の再生債務者) 1号 再生手続の終了に伴う職権による破産手続開始(251条1項)
2号 再生手続開始申立て→破産手続開始申立て→再生手続開始申立て棄却決定の確定→破産手続開始決定
3号 再生手続開始申立て→破産手続開始申立て→再生手続開始決定→[再生手続開始決定の取消|再生手続の廃止|再生計画の不認可]の決定の確定→破産手続開始決定
252条3項(破産手続開始後の再生債務者) 柱書前段・ 破産手続開始決定→再生計画認可決定の確定→破産手続失効→[再生手続廃止決定|再生計画取消決定]→破産手続開始申立て→破産手続開始決定(249条1項後段)
柱書後段・ 破産手続開始決定→再生計画認可決定の確定→破産手続失効→[再生手続廃止決定|再生計画取消決定]→職権による破産手続開始(250条2項)

後段

(破産手続の続行)

破産手続開始→[再生手続開始申立ての棄却|再生手続廃止|再生計画不認可]の決定の確定→破産手続続行

財団債権の約定利息債権
財団債権に該当する債権に利息の支払いが約定されていることは多くないが、それでも、再建型倒産処理手続が破産手続に移行した場合の債務者による借入金は、それが再建型手続において共益債権に該当する場合には、利息付財団債権の例となろう。双方未履行契約について破産管財人が履行を選択した場合に、相手方の債権について利息の約定がなされている場合もあろう。それらの利息債権で破産手続開始後の期間に係るものは、破産管財人の不履行により生じた債権として、148条1項4号の規定により財団債権になる。

2.3 148条3項

規定の趣旨
148条3項(大正11年破産法52条)は、双務契約及びこれに類似する法律関係である負担付遺贈について、破産債権の金銭化・現在化に関する規定を準用している。その趣旨が破産事件の迅速な処理(財団債権の迅速な弁済及び破産財団の迅速な整理)を可能にする点にあることには異論がない。

適用範囲に関する諸説
しかし、その適用範囲等については、見解が分かれている(立法段階の議論については、[松下*2007a]51頁以下参照)。

  1. 財団債権は、本来の内容に従って弁済されるべきであるが、旧52条(現148条3項)は、例外的に、破産手続の迅速処理のために金銭化・現在化を行うことができる旨を規定していると理解する見解[8][9]。この見解において強調されるべきことは、規定の目的が「破産手続の迅速処理のため」であること、そして、後で紹介する比例弁済限定説(D)との関係で、財団不足の場合に公平な比例配分を行うための規定であるとの趣旨が述べられていないことである。
  2. 金銭化・現在化は、その必要がある場合に行われるのであり、その必要が生ずる場合とは、比例弁済が行われる場合であるとする見解もある([井上*1925a]128頁以下)。この見解を「必要時適用説」と呼んでおこう。
  3. これに対しては、旧52条が破産手続の迅速処理のための規定であるという点においては基本的な趣旨を同じくしつつも、金銭化・現在化について、「必要があれば」という限定を付すべきではなく、旧52条所定の債権については常に金銭化・現在化を行うべきであるとする見解も現れた[10]。この見解を「常時適用説」と呼んでおこう。
  4. しかし、その後、旧52条は、財団不足の場合の財団債権の弁済に関する説明の中で説明されることが多くなった[11]。その趣旨が、≪同条の適用は比例弁済の場合に限定される≫との趣旨であるのか否かは明瞭ではないが、ただ、その趣旨の見解を想定することは可能であろう。現実に存在したか否かは別として、そのような見解を「比例弁済限定説」と呼んでおこう。
  5. 新破産法の下では、次のような見解が有力に主張されるようになった:旧52条・新148条3項の規定が設けられた理由は、「財団債権の破産手続内での迅速な弁済」であるが、破産手続進行中に本来の履行期が到来する財団債権の随時弁済に適用すると不合理な結果になるので、その場合については適用を排除すべきであり、破産手続が財団不足のために異時廃止されるか、最後配当により終結するかにかかわらず、破産手続の進行中に本来の履行期が到来しないため、破産管財人が本来の履行期前に弁済する必要がある場合に限って適用されるべきである。そして、「破産法148条3項が定める財団債権の現在化・金銭化は破産手続開始の効果と考えるべきではなく、破産手続終了時にそれらの効果を発生させれば足りる。また破産手続終了時に現在化・金銭化の効果を発生させる財団債権は、同項が挙げる破産法148条1項7号及び同条2項の財団債権に限らず、破産手続終了時に存在している財団債権すべてが含まれる」([松下*2007a]54頁以下、特に57頁)[12]。従来の見解との対比では、適用範囲を破産手続の終了時の弁済に限定する点が重要であるので、この見解を「終了時弁済限定説」と呼んでおこう。

現行法が、比例弁済限定説を採用していないことは、規定の位置からして明らかである(比例弁済限定説に立ったのであれば、148条3項の規定は、152条の中に置かれるべきである)。

常時適用説は、この見解を文言通りに受けとめた場合には、採用できない。なぜなら、

しかし、常時適用説を、「148条3項により不当な結果が生ずる場合を除き、原則として常に適用される」との趣旨に解する余地はあり、そのように解すれば、なお採用の余地はある。採用のためには、「148条3項により不当な結果が生ずる場合」を確定することが必要である。

適用範囲についてもっとも充実した議論をしているのは、終了時弁済限定説であり、かつ、破産事件の迅速な処理という規定の趣旨に素直で、無理のない見解である。しかし、規定の趣旨の中に、≪財団不足により財団債権者が受ける不利益を軽減すること≫を盛り込むと、もう少し別の解釈の余地もあるように思える。

私見
148条3項が定める金銭化・期限の現在化・金額の現在化は、相互に連関している。しかし、これらが規定された趣旨が同一であるとは思われない。

以上のように、考慮すべき事項が複数あり、その中には不両立の関係にある事項も含まれている。しかも148条3項は極めて簡単な規定である。解釈による補充の余地が大きいと言わざるを得ない。

)期限の現在化は、破産手続終了時に本来の期限が到来していない財団債権への弁済を可能にして、破産事件を迅速に処理できるようにするために必要であるが、それ以外に、次のような場合に、財団不足の危険から相手方を保護するために必要である。

  1. 負担付遺贈の負担の利益を受ける権利(148条2項)については、本来の履行期に至るまでに財団不足が生じて不完全な満足を強いられることになるリスクを回避するために、できるだけ早い時期に弁済がなされることが好ましい。特に、負担の利益を受ける者に給付される財産が遺贈された財産の換価金から捻出されるような場合には、その換価が終了するとともに速やかに弁済されるべきであろう。そして、この場合には、双方未履行の双務契約の場合と異なり、財団債権者が破産者に対して負う義務は 通常 存在しないのであるから、その義務の履行確保を考慮する必要もない。
  2. 双方未履行の双務契約について履行が選択された場合に、双方の義務が同時的に履行されるべき場合には、財団不足のリスクから相手方を保護するための期限の現在化は必要ない。しかし、相手方が先履行義務を負っている場合には、(α)相手方(財団債権者)は破産管財人に対して、財団不足に陥らないことの証明又は担保の提供を求めることができるとするか、又は(β)同時履行を求めることができるとする必要がある。148条3項は、後者の道を開くために、相手方の債権ついて期限の現在化を認めたと理解することができる。ただ、相手方の先履行が必要な場合もあるので、次の修正が必要となる。
    1. 財団債権の期限の現在化は、同時履行に必要な範囲で生じ、
    2. 当該双務契約の特質上又は破産財団の適切な整理のために相手方の先履行が必要なときは、破産管財人は、担保を提供して又は財団不足に陥る虞のないことを証明して、相手方の先履行を求めることができる。

)金額の現在化の問題の解決には難渋する。財団債権については、破産手続開始後の利息債権あるいは遅延損害金債権も財団債権になるのが原則である(ただし、149条2項かっこ書において例外が規定されている)[14]。換言すれば、財団債権については、97条1号・99条1項1号の適用も類推適用もないのである。これを前提にすると、再生債務者が再生手続開始後に借り入れた資金の返還請求権が民事再生手続から破産手続への移行により財団債権になる場合についても、破産手続開始後の弁済遅延による遅延損害金債権も財団債権となり、破産手続開始後に弁済期が到来する場合の利息債権も財団債権になるとすべきことになる。そうであれば、破産手続開始後に弁済期の到来する無利息の財団債権についても、弁済期に弁済を受ける限り、中間利息を控除されることはないとしなければならない。

これを前提にして、「148条3項は、破産手続終了時前に本来の弁済期に従って随時弁済を受ける場合には適用がない」と主張する終了時弁済限定説が登場するのであるが、それでも次の不整合あるいは疑問がなお残る。

  1. 破産手続終了時の弁済において、利息付財団債権について弁済時までの利息を財団債権とするのであれば、無利息債権についても破産手続開始時から弁済時までの中間利息を控除すべきでないことになり、これと143条3項・99条1項2項が破産手続開始時から本来の弁済期までの中間利息相当額を控除すると規定していることとが整合性を欠いている。
  2. また、無利息の財団債権者からすれば、控除されるべき中間利息の算定期間が「破産手続開始時から本来の弁済期までの期間」に固定されているために、本来の弁済期の到来前に破産手続が終了することが見込まれる場合には、手続終了時に中間利息を控除した額の弁済を受けることは、それより早い段階で中間利息を控除した弁済を受けることもよりも不利である。破産手続終了時まで弁済を引き延ばされた上に、破産手続開始時を基準にして中間利息を控除されるという不利益を何故受けなければならないのかが問題になろう。

1の不整合及び2の疑問をどのように解決すべきであろうか。一つの考え方は、(α)無利息の財団債権者は、破産手続終了時前であっても、期限の現在化を主張して期限前の弁済を請求でき、いわばその代償として破産手続開始時から本来の弁済期までの中間利息の相当分の控除という不利益を受けると説明することである。しかし、この説明では、2の問題はかなり解決できるとしても(手続終了時に期限が到来していないために破産手続開始から弁済期までの中間利息を控除されるという不利益は、破産手続開始後間もない段階で弁済を請求することにより解消される)、破産手続開始時から弁済がなされるまでの間について、破産管財人の履行遅滞による損害賠償の問題をあらたに生じさせよう。しかも、1の問題は、未解決のまま残される。

むしろ、(β)中間利息の控除の起算時(利付債権にも妥当するように一般的な形で言えば、期限の現在化の基準時)を現実の弁済の時とする方が確実な解決が得られるであろう。148条3項で準用される99条1項2号から4号の文言から離れることになるが、準用にあたっては「破産手続開始時」を「弁済時」と読み替えるべきものと解釈してよいであろう。また、99条1項2号かっこ書は、中間利息の控除について、計算の便宜上、1年未満の端数を切り捨てることを定めているが、全額が支払われるのが通常となる財団債権についてこの処理を行うことは適当とは思われない。財団債権への弁済額を少しでも減少させて、破産債権への配当額を増やすために、148条3項の規定により99条1項2号が準用される場合には、同号のかっこ書は除外して準用すべきである。

このように、金額の現在化の基準時を繰上弁済時にするならば、繰上弁済により、それ以降に生ずべき利息額分だけで財団債権額が減少するのであるから、それは破産債権者にとっても有利なことであり、破産管財人から進んで繰上げ弁済をすることは肯定してよい。他方で、繰上弁済は財団債権者にとって不利に作用する場合があるが、それは、財団債権者と破産債権者との間の利害調整として、許容されるべきものと考えたい。換言すれば、繰上弁済による金額の現在化は、財団債権者と破産債権者との間の利害調整の意味も持つ。

)履行期繰上げの効果
以上のように履行期を破産手続開始時に繰り上げた場合に、破産管財人は財団債権を破産手続開始時に直ちに弁済をすることができるとは限らないので、その間の遅怠の効果をどのように定めるのかが問題となる。次のように考えたい。(α)期限の現在化は、財団不足の危険から財団債権者の利益を守るために特に認められるものであり、(α1)相手方は破産管財人に対して繰り上げられた弁済期における弁済を要求できるが、(α2)破産管財人が直ちに弁済をしなくても、そのことは履行遅滞による解除権や損害賠償義務を生じさせるものではない(遅滞のこれらの効果は、本来の弁済期が到来してから生ずる)。また、(β)双方未履行契約について破産管財人が履行を請求する場合には、(β1)相手方は、原則として、破産管財人に同時履行を求めることができる(その前提として、相手方の債権について期限の現在化が生ずる)が、(β2)当該双務契約の特質上又は破産財団の適切な整理のために相手方の先履行が必要なときは、破産管財人は、担保を提供して又は財団不足に陥る虞のないことを証明して、相手方の先履行を求めることができ、この限度で、相手方の債権について生じた期限の現在化の効果は排除(覆滅)される。そして、(γ)繰上げ弁済がなされると、「金額の現在化」が生ずる:(γ1)有利子債権については、それ以降に生ずべきであった利息債権は財団債権から除外され、(γ2)無利息債権については、弁済時から本来の履行期までの中間利息相当分を控除した額が財団債権額になる。

)2つの法律構成  履行期繰上説と繰上弁済許容説
前記(c)の考えは、148条3項で準用される103条3項の規定を尊重して、財団債権の履行期が破産手続開始時に繰り上げられることを前提にして、破産管財人の履行遅滞の効果を抑制した法律構成である(この法律構成を「履行期繰上説」と呼ぶことにする)。しかし、履行遅滞の効果を(α2)のように弱めるのであれば、破産手続開始時に期限が到来すると構成せずに、単に、破産管財人は繰上げ弁済をすることができ、その場合には、金額の現在化が生ずると構成しても同じ結果が得られる(この法律構成を「繰上弁済許容説」と呼ぶことする)。

繰上弁済許容説の方が実態に即しているようにも思えるが、ただ、(β)の点を考慮するならば、そして148条3項で準用される103条3項の規定を尊重するならば、履行期繰上説をとるのがよいであろう。履行期繰上説にあっては、弁済期の現在化は破産手続開始の効果であると言うべきである。

)履行期繰上説と終了時弁済限定説  以上のような解釈(履行期繰上説)と終了時弁済限定説とのどちらが採用されるべきかは、論理の問題と言うより、社会の需要がどうなっているかの問題であろう。

財産利用権の取扱い
財団債権には、各種のものがある。(α)金銭債権は金銭の給付により当然目的を達し、その他の代替物の給付請求権も、金銭の給付によりおおむね目的を達することができる。後者は、現物給付が困難な場合には、148条3項により準用される103条2項1号イにより金銭債権化されてよい。しかし、(β)賃金銭化したのでは本来の目的を達することができない利用権が財団債権とされていることがある。(β1)例えば賃貸人の破産管財人が53条の規定により履行を選択した場合に148条1項7号により財団債権となる利用権や、(β2)56条2項の規定により財団債権となる利用権がそうである。これらは、いずれも、金銭債権化したのでは財団債権とした意味が著しく低下するので、金銭化されない(特に、(β2)の利用権については、次のように言うことができる:56条1項は、対抗要件を具備した利用権を破産手続の前後を通じてそのまま存続させる趣旨の規定であり、その趣旨で同条2項で財団債権とされているのであるから、その利用権が金銭化されることはない)。

財団不足になり152条が適用される場合であっても、56条が適用される利用権が金銭債権化されないことは、明らかである。これに該当しない利用請求権(53条・148条1項7号により財団債権となる利用権)で、すでに利用が開始されている(続けられている)ものについては、次の2つの処理が考えられる。

  1. 破産管財人は、当該利用権が設定されている財産を利用権付きのまま換価して、その換価金を他の財団債権の弁済に充てるべきである。
  2. 財団不足の場合には、財団債権者間の公平を優先させるべきであり、この利用権を金銭化すべきである。具体的には、目的物を利用権の負担付で換価するよりも、無負担の状態で換価する方が破産財団に有利である限り、利用契約ないし利用権設定契約を解除してから換価して、その換価金を財団債権者に公平に分配すべきである。

いずれの選択肢を採用すべきか迷うところであるが、破産管財人が(必要であれば78条2項9号により裁判所の許可を受けて)履行を選択したことにより確実に利用できると考えて現に利用を開始している(続けている)相手方の法的地位を尊重すべきであり、Aを採用すべきであると考えたい。

2.3 第三者に移転した財団債権

財団債権に該当する債権が破産手続開始前にあるいは開始後に第三者に移転した場合には、その第三者がその債権の財団債権性を破産管財人に対してなお主張することができるかが問題になる。この問題の処理にあたっては、当該債権が財団債権とされたことの根拠(債権者の保護)が債権の取得者についても妥当するかを問題にする立場もある。しかし、移転の事由が債権譲渡であったり、代位弁済である場合には、財団債権性を維持することが債権譲渡や代位弁済を容易にし、結局のところ原債権者の保護に役立つのであるから、特段の事情のない限り、財団債権性は維持されるとすべきである。移転の原因が債権執行による転付である場合でも、財団債権性を維持することが原債権者の責任財産の強化につながり、結局のところ彼の経済活動を容易にし、原債権者の利益になるのであるから、特段の事情がない限り、財団債権性を維持すべきである。換言すれば、財団債権とされたことの根拠が債権取得者にも妥当するかを問題にするよりは、破産法により財団債権者として保護された者の法的地位を債権の移転の場面でも尊重すべきかを問題にする方が適切であり、特段の事情がない限り、それは肯定されるべきである。

最高裁は、現在、次の場合について財団債権性の維持を肯定している。

財団債権である租税債権の移転  原債権が租税債権である場合については、債権譲渡や転付による租税債権の移転は実際上生じ得ない。可能性があるのは、代位弁済者による代位取得のみである。租税債権については、弁済者による代位取得を肯定することができるかが問題になり、否定説が有力である(例えば、前掲最判平成23年11月22日 田原意見)。しかし、移転を認めるのが不都合な効力は自力執行力であり、それ以外の効力については移転を肯定しても不都合はなく、自力執行力を除く効力を有する債権として租税債権が代位弁済者に移転することを肯定すべきである。また、代位弁済者が財団債権者として保護に値するかの論点については、彼は代位弁済により租税収入の確保に貢献しているのであるから、これも肯定すべきである。もしこれらが肯定されるのであれば、租税債務の保証委託契約において保証料を低く設定することが可能となり、苦境にある納税者の経済的負担が軽減されよう。


3 財団不足の場合の措置(152条


財団不足の場合の弁済方法
財団不足の場合には、財団債権のために債権額に応じた比例弁済をすることになる(152条1項)。この比例弁済も、配当表を作成して、配当表に異議を述べる機会を与え、確定した配当表に基づいてなすべきであるが、この点に関する規定は十分とはいえない。

金銭化・現在化
財団不足の場合には、債権額に応じて平等に弁済するために、非金銭債権については金銭化が、弁済期未到来の債権については現在化が必要となり、それらがまだなされていない財団債権については、148条3項・103条3項により金銭化・現在化が行われる。金銭化・現在化は、公平な比例弁済のために必要である限り、148条1項7号・2項の債権以外の債権についても行われる([松下*2007a]55頁以下参照)。

ただし、前述のように、56条が適用される利用権及び53条・148条1項7号により財団債権となる利用権は、金銭化されず、比例弁済の対象にならない。

双方未履行の双務契約の処理
解除されなかった双務契約で、財団不足が判明した時点で双方の履行が完了していないものをどのように処理すべきかは、財団不足に陥ったことを考慮して、改めて検討する必要がある。財団不足が判明した時点で、破産管財人は、財団債権者への平等弁済に努めるべきことになるが、その時点において、破産財団所属財産の換価が完了していない場合がある(152条1項ただし書はこれを前提にした規定であり、特に留置権の効力が失われないとされていることに注意)。したがって、財団不足の判明後であっても、破産管財人は破産財団の整理と金銭化に努める必要がある。これを前提にして、次のように言うことができる:()破産管財人が履行を選択した双務契約については、財団不足の判明後であっても、破産財団の整理のために必要であれば、152条の規定により比例弁済を行う前に双方の履行を完了させることができ;()履行を完了させることが困難である場合、あるいは履行が破産財団の整理の方法として適当でない場合には、次のように処理される。

順位[CL5]
財団債権の中には、破産手続の円滑な追行のために必要なものとそうでないものとがある。前者を本質的財団債権と呼び、後者を非本質的財団債権と呼んで、順位を付けるのが適当である([中西*1989a])。

以上の点をふまえつつ、現行法は、財団不足の場合の財団債権への弁済を次のように定めている。

 ()すでになされた弁済は影響を受けない。

 ()次の財団債権(本質的財団債権)は、その他の財団債権に優先する(152条2項)。

  再生手続から破産手続に移行した場合の再生手続における共益債権、保全管理人が債務者の財産に関し権限に基づいてした行為により生じた債権も財団債権となるが(民再法252条6項、破産法148条4項)、それらのうちで上記に相当するものも本質的財団債権に含まれるとすべきである。

 ()同順位の財団債権の間では未弁済債権額に応じた平等弁済がなされる(152条1項)。ただし、財団債権を担保する留置権、特別の先取特権[6]、質権および抵当権の効力は妨げられない。

148条1項2号の財団債権の範囲については、意見が分れる。次のような見解がある。

  1. 破産管財人との契約から生じた請求権は、原則として4号に含まれ、2号には含まれないが、「破産管財人の報酬と同様に強度の共益性が観念でき、かつ破産財団の信用リスクを負担させるべきではない請求権」は例外的に2号が適用される。例えば、破産管財人の補助者の報酬請求権等がこれにあたる([松下*2007]49頁以下)。

しかし、次のように考えたい。

寄託金
破産法が定める寄託には、次の2種類がある。

  1. 破産財団から金銭の給付を受けることができる債権者のために、破産管財人が破産財団にすでにある金銭を寄託すること(70条、184条4項、214条1項)。
  2. 債権者が破産財団のために金銭を寄託すること(69条)。これは、具体的には、解除条件付債権者が相殺をするに際して、受働債権額に相当する金銭を破産管財人に交付し、その金銭を破産管財人が破産財団のために保管するものであるが、解除条件が成就しなければ寄託金は当該債権者に返還されることになるのであるから(201条3項後段)、破産管財人は寄託金を配当財団とは別個に保管することになる。

上記2つの寄託は、別個保管を要素としており、その点で実質的差異はない。財団不足に陥った場合に、これらの寄託金をどのように扱うべきかについては個別の検討が必要であるが、おおむね次のように処理してよい。

(a)70条の規定による寄託金

  1. 財団不足のために破産手続が廃止される場合(異時廃止となる場合)には、いつまでに停止条件が成就すれば相殺できるかを確定しておく必要がある。異時廃止決定の後に財団債権者への弁済がなされることを前提にして、破産手続廃止の決定が効力を生じた時と考えたい。
  2. 債権に付されていた停止条件がその時までに成就すれば、弁済に付されていた解除条件が成就したことになり、破産債権者は停止条件成就後の自己の破産債権と自己に対する債権とを相殺し、弁済金を不当利得として返還請求できる。この返還請求権は財団債権になり、寄託金は分別管理されている限りこの返還請求権の弁済に充てられる特別の財産となり、彼がこれから優先弁済を受けるべきである。その意味で一種の担保となる([松下*2007a]50頁以下)。
  3. 分別管理されていなかった場合の処理には迷う。今後、各種の法領域において金銭の分別管理が重要となり、それに相当の法的意味を与えるべきことになるであろうことを考慮すると、分別管理されている金銭についてのみ返還請求権者は優先権を主張しうるとするのも、一つの選択肢であろう。しかし、次の理由により、寄託されるべき金銭の範囲内で返還請求権者が財団債権者に優先するとしてよいであろう:破産管財人が分別管理を怠った場合には、返還請求権者は破産管財人自身に損害の賠償を請求できるとすべきであるから(85条2項)、返還請求権は破産管財人の報酬請求権に優先させてよく、したがって、他の財団債権に優先させてもよいこと;他の財団債権者はもともと寄託金からの弁済を期待する立場にないこと;実際上も、金銭の分別管理は外部からは把握しにくく、財団債権者は分別管理されることのなかった金銭が自己への弁済に充てられることについて現実に合理的期待を有していたとはいえないこと;分別管理の時期については特に制限は設けられておらず、財団不足が判明してから分別管理することも許されるとしてよいこと。

)214条1項3号・4号の寄託金についても、破産手続廃止決定が効力を生ずるときまでに条件(3号の債権については疎明、4号の債権については停止条件)が成就することが必要であるとすべきである。

)別除権の目的財産を破産管財人が強制執行の手続に関する法令の規定により換価した場合に別除権者のためにする寄託については、「別に寄託」しなければならないと規定されており(184条4項)、破産管財人は厳格に分別管理すべきである。それを怠っていた場合の処理は、前記(a)3と同じでよい。

担保権の効力
財団債権を被担保債権とする留置権、特別の先取特権、質権又は抵当権の効力は妨げられない(152条1項ただし書)。これらの典型担保権と同等以上の効力を有する非典型担保権についても、同様である。一般の先取特権は除かれている(財団債権となる賃金債権も、他の財団債権と同順位になる)。 この規定が適用されるのは、例えば次のような場合である。

財団不足の場合に、破産債権を被担保債権とする別除権の効力がどうなるか問題となるが、破産手続外で行使できることに変わりはないと解すべきである。これを前提にすると、152条1項ただし書中特に意味があるのは留置権に関する部分のみであり(被担保債権が財団債権であれば留置権は効力を失わないことを明規した点に意味がある)、他の担保権については、破産債権を被担保債権とする担保権との権衡上当然のことを明規したにすぎないと見ることができる。

同時履行の抗弁権
双方未履行契約について破産管財人が履行を選択した場合に、相手方は、破産管財人からの履行請求に対して同時履行の抗弁権を行使することができるが、このことは財団不足のときでも変わらないと解すべきである。その結果、破産管財人が比例弁済しかできないため、相手方が同時履行の抗弁権を行使し、相手方が残存義務の全部を履行しないために破産管財人は財団債権への比例弁済金の支払を拒絶するという両すくみ状態が生じ、その解決方法が問題となる。

破産者の債権が金銭債権である場合には、相手方の債権が非金銭債権であっても148条3項・103条2項により金銭化される結果、相殺が可能となり、両すくみ状態は生じな(なお、相手方の請求権が物の給付請求権であり、目的物が破産財団中に存在する場合には、破産財団の整理のためにも、破産管財人は目的物の給付をなすべきである)。他方、破産者の債権が非金銭債権である場合には、相手方も同種の非金銭債務を負うという特殊な場合を除けば、相殺による解決が148条3項・103条2項によって可能であるとは言えない。この場合の解決として、次の3つが考えられる。

)破産管財人が履行を選択した場合でも、その後に財団不足の判明したときは、選択を仕直すこと(解除すること)を彼に許容すべきである。

)財団不足の結果破産手続を途中終了させようというのであるから、もはや破産管財人が相手方から非金銭給付を得て、それを換価することを予定するのは妥当ではなく、むしろ、破産者の非金銭債権も金銭化して対当額での相殺により決済する方が簡便である。もし相手方の債権額が対当額を上回れば、相手方は超過額について比例弁済に与かることができ、逆に破産者の債権額が対当額を上回れば、破産管財人はその超過額について金銭の給付を求めることができるとすべきである。

)破産者の非金銭債権の金銭化を認めない立場に立てば、両すくみ状態が生じ得ることになり、それは例えば次のように解決されるべきことになろう。

  1. 破産者のなすべき給付よりも相手方のなすべき給付の方が金銭的価値が大きく、同時履行に応ずる方が有利であると破産管財人が判断する場合には、破産管財人は同時履行に応ずることができ、この結果、相手方が他の債権者に優先して満足を得ることがあるが、それは是認すべきである。
  2. 破産者のなすべき給付よりも相手方のなすべき給付の方が小さく、破産管財人が同時履行に応じない場合に、相手方は、自らの義務を全部履行して自己の財団債権について比例弁済を受ける方が有利であると判断すれば、そうすることができる。
  3. 上記のいずれにも該当しない場合には、双方未履行契約は現在の履行状態で終了する(双方が履行請求権及び原状回復請求権を放棄したのと同じ状況になる)。この場合には、破産管財人は、相手方に比例弁済すべき金額を他の債権者への弁済に回すことができる。

 これらのいずれの場合になるかを早期に確定させるために、破産管財人と相手方の双方に履行催告権を与えるべきである。また、相手方は、破産管財人に対して、破産財団の状況(比例弁済に用いることができる金額及び財団債権の総額)に関する情報の提供を求めることができるとすべきである。

上記のいずれを採用すべきかが問題となる。非金銭債権を金銭化することは双務契約の本旨からはずれることになり、それはできるだけ回避すべきであるとの立場に立てば、(B)より(C)の解決が好もしいことになろう。しかし、既に相手方の非金銭債権の金銭化を認めていること、財団不足という状況において、できるだけ低コストで法律関係を解決する必要があることを考慮するならば、破産者の非金銭債権の金銭化をためらう必要があるとも思われず、金銭化も肯定すべきであろう。

(A)と(B)の解決は、一定の場合に近似した解決をもたらす。例えば、動産の売買契約が締結され、履行がまったくなされていない段階で買主について破産手続が開始され、破産管財人が履行を選択した後で財団不足が判明した場合に、破産者の動産給付請求権が金銭債権になることは、動産の給付に代えて金銭の給付を求めることであり、動産の所有権は売主(相手方)に留まることになる。この結果は、破産管財人が履行を選択したにもかかわらず、財団不足の判明という新たな状況のもとで、彼に選択のし直しを許容すること、すなわち、解除権の行使を許容することと、結果的に近似する。解除の場合については54条1項が相手方に損害賠償請求権を認めているので、どの程度近似するかが問題となるが、ほとんど差異はないとみてよいであろう。例えば、小売価格100万円の動産を売主が90万円で仕入れて破産者に100万円で売却する契約を締結していた場合に、(B)の解決をとり、かつ、目的物の給付請求権の価額を90万円と算定すれば、これと相手方が有する100万円の代金債権との相殺により、相手方の財団債権は10万円となる。これは、破産管財人が契約を解除して、解除による損害金を10万円と算定し、それを財団債権とすることと同じである。破産管財人が最初から解除している場合には損害賠償請求権10万円は破産債権になるにすぎないのに、履行選択後に財団不足が判明したため解除する場合には同じ損害賠償請求権が財団債権になるとしてよいのかという問題が生ずるが、一旦履行を選択しておきながらその後に解除する場合には、最初から解除していた場合と比較して、相手方の契約履行についての期待を著しく侵害しているということができ、財団債権とすることは正当化されるとしてよいであろう。

しかし、(A)と(B)の解決は、次のような場合には、異なる解決をもたらす。密接に関連する複数の動産の売買契約が締結され、売主が一部の動産を引き渡した段階で買主について破産手続が開始され、破産管財人が履行を選択した後で財団不足が判明した場合に、(B)の解決では、密接に関連する複数の動産が泣き別れ状態に置かれることになる。他方、(A)の解決では泣き別れ状態が解消される。密接に関連する動産が泣き別れ状態に置かれる場合の買主の動産給付請求権の金銭評価をどのようにするかに依存することではあるが、給付すべき動産が相手方にとって価値がないことを考慮すると、一緒になることを前提にした場合よりも低く評価されるべきであり、それは破産財団が相手方に賠償すべき損害額を増大させることになる。また、関連する動産が泣き別れ状態におかれ、いずれも本来の機能を発揮することできないことは、社会的に好ましいことではない。したがって、(B)よりも(A)が優先されるべきである。

ただ、常に(A)の解決がとられるべきであると言いうるかは、上記で取り上げた以外のさまざまな状況があり得ることを考慮すると、問題である。通常は(A)が最も妥当な解決をもたらすであろうから、通常は(A)の解決が採用されるべきであると言うにとどめておくのがよいであろう。


4 財団債権の債務者


破産手続中の債務者
破産手続が行われている間の財団債権の債務者を誰と考えるべきかについては、次のような見解がある。

  1. 破産者とする説
  2. 破産財団とする説
  3. 破産債権者団体とする説([井上*1925a]116頁以下、特に118頁)
  4. 管理機構としての管財人とする説 ([伊藤*破産・民再v3]310頁(文脈上この説であろう))

消費税について  個人事業者について破産手続が開始されると、破産管財人はその事業に属する財産を換価することになる。当該換価(譲渡等)により消費税納税義務が発する場合には、管理機構としての破産管財人が納税義務者になると解される。この消費税は148条1項4号により財団債権になる。他方、破産手続開始前に破産者がした譲渡等により生じた消費税は、148条1項3号により財団債権になる。ただし、課税期間の途中で破産手続が開始された場合については、このような区分は観念的なものであり、実際上の意味を持たないであろう。

なお、消費税法9条により、課税期間に係る基準期間における課税売上高が1000万円以下の小規模事業者については納税義務が免除されているが、そこにいう基準期間は課税年の前々年であり(2条14号)、それが破産手続開始より前の年である場合には、基準期間内に事業を行ったのは破産管財人ではなく破産者である。この場合に、破産管財人は基準期間に事業を行っていないと考えるならば、基準期間が存在しないことになるが、そのように考えるのは適切ではない。破産管財人は破産者の事業の清算のために換価を行うのであるから、基準期間における破産者の課税売上高を基準にして納税義務の免除の有無を判断すべきである。

破産手続終了後における破産者の弁済義務
財団債権は破産手続上においてのみ財団債権であって、破産手続終了後における破産者の弁済義務の有無及び免責決定の効力が及ぶか否かについては、個別の債権ごとに決めるべきである[CL4]。

肯定されるもの 次のものについては、破産財団から弁済できなかった場合に、破産者の弁済義務を肯定してよい[2]。

  1. 破産手続開始前の契約に基礎をおく債権で破産債権の実質を有するが、財団債権として優遇されているもの(148条1項6号・7号・8号・149条など)[3]。
  2. 破産手続開始前に原因のある租税等の請求権で財団債権とされているもの(148条1項3号)(反対説:[伊藤*破産・民再v3]311頁)。
  3. 破産者が当事者となっていた訴訟で、破産管財人が受継した訴訟の費用(44条3号)  もともと破産者が当事者となっていた訴訟であり、また、破産管財人が破産者の利益になるように誠実に訴訟を追行することを期待することができるから、相手方当事者の保護のために、破産者の弁済責任を認めておくのが適当である(反対説:[伊藤*破産・民再v3]311頁)。

否定されるもの 他方、次のものには破産者の弁済義務を否定すべきである。

  1. 個人事業者について破産手続が開始された場合に、破産管財人の換価(譲渡等)により生ずる消費税納税義務。
  2. 破産者が破産手続開始前に譲渡等をしたことにより生ずる消費税のうち、破産管財人が代金を収受したもの又は収受すべきものの納税義務。この消費税の納税義務は、破産手続開始前に原因があるが、消費税は収受された代金等から納付されるのが本来であることを考慮すると、破産者が代金を収受していない譲渡等に係る消費税について破産者に弁済義務を課すのは行き過ぎと思われる。

破産者が免責決定を受ければ、非免責債権とされている破産債権と同質のもの以外には、免責の効力が及ぶとすべきである。


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Author: 栗田隆
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1999年 1月24日−2002年7月10日−2017年10月1日