破産債権との対比で財団債権と呼ばれる債権も、財団から見れば債務である。
スイス法 「財団債務」という言葉が用いられている。
オーストリー法 46条で「財団債権Massforderungen」と呼ばれているが、Holzhammer 2.Aufl. S32は、「財団債務」と呼ぶほうが誤解がなくて良いとする。
ドイツ破産法(1877年) 日本法の財団債権に当たるものは、財団費用と財団債務とに分けられている(DKO §50ff)
。
財団費用=日本破産法47条1号・3号・9号
財団債務=日本破産法47条4号・7号・8号・5号・6号
オーストリー破産法 §46はこれを財団債権としていない。
フランス法 先取特権のある債権として保護されるようである。[下村*1999d]3号83頁以下参照。
オーストリー破産法、 124条が同趣旨を定める。財団に対する訴訟・強制執行の外に、破産裁判所への救済申立てAbhilfeantragの制度を設けている(Holzhammer 2.Aufl. S.36)。
オーストリー法 Holzhammer 2.Aufl. S.37,102は:破産開始時に存在していた財団債権は破産者が弁済義務を負う。破産手続中に初めて生じた債権は、破産者が破産終了により引き継いだ破産財団の限度で弁済責任を負う(例えば、破産管財人の報酬債権の弁済義務)。
オーストリー法 管財人の支出した立替金を第1順位、労働債権を第2順位、その他のものを第3順位とする(§47/2)。