注1 [井上*1925a] 190頁(旧法について、「差額計算の標準たる時点に付きては法律にその規定がない」としつつ、定期行為契約が破産手続開始の時に解除されたことになるから、破産手続開始の日の公定相場、それがなければ次にくる最初の公定相場がその標準になる、と説く)。
注2 交互計算の当然終了の根拠として、交互計算は相互の信頼に基づくものであることが挙げられることも多い。例えば、[山木戸*1974a]126頁、[谷口*1981a]180頁。
注3 清算基準時を破産手続開始申立て時とする理由がどのあたりにあるのか、よくわからないが、一括清算条項の有効性を確実にするためであろうか。破産法58条5項が破産手続開始時を清算基準時とする一括清算条項の有効性を承認しているのであるから、今後は、そのような一括清算条項を含む「特定金融取引」がなされてもよいと思われる。
注4 定義の仕方は、いろいろある。旧証券取引法は、有価証券について、先物取引と先渡取引を次のように定義していた。
両者の違いの要点は、取引所(証券会員制法人又は株式会社)が開設する市場での取引であるか否かにある。
[神田=神作ほか*2013a]271頁は、「先物取引は、定型化された取引で、先渡取引は定型化されていない、すなわち相対で決める取引」であると説明し、取引所取引の一類型として先物取引をあげ、店頭取引の一類型として先渡取引をあげる。
注6 なお、この場合には毎月の供給毎に売買契約があると見る立場がある。これによれば、破産手続開始決定前の供給に対する代金債権は破産債権となり、破産手続開始決定後の供給は、破産財団との関係では効力を有しないことになる。本文の立場に立った場合と、結論に大差はない。
注7 それでも、「一般の取引慣行に照らして著しく破産財団に不公平な合意は、破産手続との関係では効力を有しない」との留保を付すべきであろう。
注8 交互計算契約との比較 一括清算条項は、交互計算契約と類似の機能を果たす。破産管財人が個別取引のうち破産財団に有利なもののみについて履行を選択し、不利なものを解除することはできないという点は同じであるが、次の差異がある。
交互計算契約において当事者の一方が破産した場合に異種債権を金銭債権化して相殺する条項をおいた場合に、それが破産手続との関係で有効と扱われるかは、明確ではない。交互計算についてこれを無効とする立場を採用すれば、これも「特定金融取引」における一括清算との差異となる。
注9 具体的内容は、施行規則1条[R21]に次のように列挙されている。
注10 この場合にAが同時履行の抗弁権を主張しうるかが問題になる。一般に、履行遅滞に陥った者が同時履行の抗弁権を失うかについては争いがあり、判例は抗弁権を失わないとの立場のようである。一般の場合についてそのように解するとしても、この例において53条の適用を否定した趣旨によりAの目的物引渡義務は抗弁権なしの義務とすべきことになろう。
破産管財人が解除を選択した場合にも、相手方が民法546条・533条の同時履行の抗弁権により保護されるか否かの問題が生ずるが、どのような処理を予定しているかは明瞭ではない(むしろ、破産管財人が履行を選択することが想定されているのであろう)。
注11 主要国の法状況を含め、立法の経緯につき[山名*1998a]参照。銀行実務の視点からの位置付けとして、[日本銀行*2005b]11頁以下参照。
注12 立法趣旨についての学説の状況 学説上は、53条等の意義について議論が分かれており、次のこと(論者により、その一部または全部)が主張されている。
[福永*1989b]17頁以下は、3bの見解を批判して次のように述べる。 現行法(今から見れば旧法)の立法者は、管財人が履行の請求を選ばない場合には、「契約を解除することにせざるをえないが、そのときには、せめて相手方に損害賠償請求権を認め、それを破産債権として行使できることにして、旧法よりも相手方を保護しようとした。このような立法経過から見ると、破産法第59条[現53条]の立法者は、[中略]当事者間の公平を維持するということに非常に意を用いており、破産財団の利益を図るということも、当事者間の公平を害しない限りでのみ考慮するという考えであったようにみえる。破産財団の利益を図るために破産管財人に解除権が与えられたとする解除利益説のような考え方を、立法者が採っていたとは考えられない。」(19頁)
なお、53条の理解は、法定解除権制度の理解とも関係する。これについての最近の文献として、次のものがある:[杉本*2001a]=「ドイツ民法典における法定解除制度に関する一考察(1)−−解除制度の基礎的研究(その1)」都立大学法学会雑誌41巻2号(2001年1月)299頁。
注13 特に「損害賠償」の語は、誤解を招きやすい。「清算額」といった語が用いられる方がわかりやすい。
注14 経営状態が悪化している会社が、事業の建直し資金を調達するために、子会社の現物株をまとめて投資会社あるいは同業他社に相対取引で売却するような場合は、どうか。これは履行期の定めがあっても、転売等を予定しているわけではなく、定期取引とみるべきではなかろう。したがって、これは、53条により解決されるべきである。
注15 相手方の損害賠償請求権が破産債権となることについての説明の仕方としては、次の2つが考えられる。
注16 破産手続開始後の時期に係る賃料債務を負担していることは、67条の「破産手続開始の時において破産者に対して債務を負担するとき」の要件を満たさず、71条1項1号の「破産手続開始後に破産財団に対して債務を負担したとき」に該当するから、相殺は許されないのではないか、という疑問がないわけではない。しかし、新破産法は、破産手続開始後の時期に係る賃料の事前処分は破産手続との関係でも有効であるとの立場に立っており、それとのバランスを考慮すると、破産手続開始後の時期に係る賃料債務を受働債権とする相殺も広く肯定するとの立場にたっていると考えざるをえない。
注17 賃料前払が登記事項であるかは、不動産登記法81条2号の「支払時期の定め」の解釈となるが、伝統的には肯定されている。いずれにせよ、引渡しを対抗要件とする賃借権については、特別の公示になしに、賃料前払の効果を破産手続との関係でも主張することができる。
注18 破産者の不履行を理由に相手方が拒絶することのできる義務を負っていることを55条の不可欠の要件と見ればこのようになる。しかし、53条は、相手方が同時履行の抗弁権を有することを不可欠の要件としておらず、その意味で同条の基礎にあるのは同時履行の抗弁権によって保護された相手方の利益の保護ではなく、双務契約により負っている義務と対価関係にある権利を有している者の公平な保護であることに鑑みるならば、55条2項についても、同項の基礎にあるのは破産手続開始後も継続される継続的双務契約により義務を負い権利を有する者の公平の保護と見て、破産管財人により履行が選択された賃貸借契約(賃貸人が賃料不払を理由に履行を拒絶することのできる義務を負っていない通常の賃貸借)に55条2項を適用ないし類推適用することも十分に考えられる。ただ、そのような解釈を主張するだけの現実的必要性があるとも言えない現状では、多数説に従っておくのがよいであろう。
注19 訴訟委任契約 訴訟委任契約は、委任者の破産により、訴訟が破産財団に関係する場合にも、そうでない場合にも終了する(後者の場合には、本文で挙げるcが主たる根拠となる)。これにより訴訟代理権も消滅する(民訴法58条では、訴訟代理権不消滅の場合として当事者の破産が挙げられていない)。当事者本人の破産による訴訟代理権の消滅の問題と、訴訟手続の中断とは関連の深い問題であり、その関連性は破産財団に関する訴訟について顕著となる。
しかし、破産財団に関係しない訴訟については、訴訟代理権の問題と切離して考えるべきであろう。すなわち、訴訟代理権は消滅しても、そのこと自体によって訴訟手続が中断することを認める規定はなく。また、破産財団に関係しない訴訟には破産法44条1項(民訴旧125条)の適用もない。そして、本人について破産手続が開始されても、本人自身が訴訟手続を追行することができなくなるわけではなく、本人が訴訟委任契約を自ら解除した場合と同様に扱い、本人が自ら訴訟手続を追行するか、又は、訴訟代理人を再度選任すべきであるとしたからといって、本人に看過しがたい不利益が生ずるとも思えない。したがって、破産財団に関係しない訴訟については、当事者の本人の破産により訴訟代理人の代理権は消滅するが、訴訟手続は中断しないと解すべきである。
破産手続開始前に提起された退職金支払請求訴訟について訴訟委任がなされていた場合には、その退職金債権のうち差押禁止部分は自由財産に属し、それ以外の部分は破産財団に属するとするのが多数説である。これによれば、差押禁止部分については訴訟手続は中断することなく当事者本人が追行すべきことになり、その他の部分については44条1項(民訴旧125条)により中断されることになる。
注20 経済的背景につき、次の文献を参照:[四宮ほか*2005a]、[奥田*2004a]。
抵当権に基づく物上代位権は、抵当不動産の賃料債権にも及びうるが、そのための差押えがなされる前にされた賃料の処分等が抵当権者に対抗できるかに関する次の判例も参照。
注21 もっとも、この点については、民法631条前段と破産法53条1項とは形成権競合の関係にあるのではなく、法条競合の関係にあり、民法631条が破産法53条1項・54条1項の特則規定として優先的に適用されると解する方がわかりやすい。
注22 旧法下において、[山本*1999b]1560号22頁が財団債権説を主張していた。
注23 [注釈*1997c]94頁(宮川知法)が明瞭である。
注25 典型的には、破産者が買主となり相手方が売主となる有体物の売買契約が多数回なされている場合に、破産管財人が破産財団に有利な契約について履行を選択し、不利な契約は解除すると、破産財団所属債権は有体物の引渡請求権となり、相手方の債権は損害賠償の金銭債権となり、相手方からの相殺は許されない。具体例については、一括清算法の項を参照。
注27 例えば、[加藤*2005a]231頁、[注釈*2007a]215頁(松下淳一)。
注29 将来の賃料債権が譲渡された場合には、次のような問題が生ずる。
注30 「継続的契約」の概念は、講学上の概念であり、定義が定まっているわけではなく、また、委任契約にもさまざまなものがあるので、個々の委任契約をどのように分類するかは、委任契約の内容と継続的契約の定義とに依存する。
なお、[内田*民法2]21頁は、「契約に存続期間を観念でき(中略)、その間履行が繰り返される契約(賃貸借、雇用、消費貸借、寄託等)を継続的契約」と定義する。
委任契約には、存続期間を観念することができるものもあるが、委任契約の代表例である物の売買の委任などには存続期間を観念しないのが通常であろう(「委任事務の終了まで」という不定期間を観念することもできるが、そうなると、請負契約についても「仕事の完成まで」という不定期間を観念することができるから、両者とも継続的契約に分類されることになってしまう)。
注31 もっとも、[注釈*1989a]290頁(明石三郎)290頁は、「売買の委任とか、また不動産仲介契約のごときは、むしろ一時的債権関係とみるべき場合も多い」としたうえで、一時的契約関係とみられる委任契約は、「告知(解約申入)というよりは、遡及効を有する解除によらしめるのが妥当である」と述べる。
注33 しかし、労働者の破産の事実を知っている者(友人など)が使用者の代理人たる労働者と法律行為をする場合には、表見代理の規定は適用されない。もちろん、通常の物品販売の場合であれば、使用者の側から代理権の不存在を主張することはないであろうが、それでも、販売員(破産した労働者)が売上代金を使用者に渡さないような場合には、使用者(本人)が代理権の不存在を主張し、相手方はこの点について悪意であるために表見代理の成立を否定されることも考えられよう。とりわけ労働者が集金係りである場合には、労働者の破産を知っている相手方は、代理権を喪失した労働者への弁済を拒絶しつつ、債権者である使用者に対して事情を説明すべきことになろう。
注34 実定法上の根拠をどこに求めるべきであろうか。雇用契約に基づいて従業員に付与された代理権が使用者の破産により当然に消滅することを定めた明文の規定はないが、本人の破産手続との関係では、雇用契約に伴う代理権付与も、委任契約により付与された代理権と基本的に同じと見るべきであり、この局面に限って民法653条2号(委任者の部分に限る)・111条2項の類推適用により従業員の代理権は消滅すると説明すべきであろう。
注35 引用文中の835条の部分は、原文では834条となっていたが、このように補正した。
注36 もっとも、将来の賃料債権を受働債権とする賃借人による相殺は、再建型倒産手続(民事再生手続、会社更生手続)においては、再建計画によることなく相殺することができる額が手続開始の時における賃料の6月分に相当する額に制限されているので、注意が必要である(民事再生法92条2項、会社更生法48条2項)。
注37 ただ、破産財団に属する不動産に対抗要件を具備した賃借権が設定されていて、例えばその賃料20年分が破産手続開始前に譲渡されている場合に、破産管財人がその不動産をどのように処理すべきかは、検討しておく必要がある。
賃料債権の譲受人も、実質的に見れば、譲り受けた賃料を担保に投資を行う者であることを考慮すると、上記のような結果に至ることは妥当ではない。彼は、当該不動産の現在の交換価値の範囲内で優先弁済を得ることで我慢すべきであり、それ以上の利益を得ようとすることは許されないと考えるべきであろう。そうなると、最後の手段としては、賃料債権譲渡契約を解除して当該不動産を売却して(典型的には民事執行法により競売して)、その代価を破産管財人が順位に応じて配当すべきことになる。その前提として、賃料債権譲渡契約の解除権を破産管財人に認め、解除により相手方に生ずる損害賠償請求権を財団債権とすべきであろう(その金額は、不動産の現在の交換価値を限度とすべきである)。利害関係人は、破産手続の目的(1条)の達成に協力する義務を負うと考えるべきであり、その協力義務の一つとして、賃料債権の譲受人は破産管財人からの解除を受忍すべき立場にある考えるべきである。
給水契約を例にして 継続的供給契約の中には、さまざまな性質のものが含まれ、その特質に応じた処理が必要となる。例えば、水道供給契約については、次の特質がある。
注40 金融機関が取引当事者である場合については、この規定の新設に先立って、後述の一括清算法が用意されていた。この規定は、金融機関が当事者となっていない取引について一括清算条項の有効性を承認することに主たる意味がある([日本銀行*2005b]12頁)。
注42 かつてはそうすることが多いと言われていたこともある。しかし、この点は、敷金の差入れについての慣行に依存し、その慣行は時代と地域により異なる。
注43 最高裁判所平成11年4月22日第1小法廷判決(平成9年(オ)第1104号)の遠藤光男裁判官の追加補足意見、広島高等裁判所 平成15年6月4日 第3部 判決(平成13年(ネ)第414号))。
注44 特許権者がその特許権について他人に定期的な対価支払と引き換えに通常実施権(特許法78条)を許諾(設定)する契約についても、同様であろう。この契約は、実施権者が特許発明を実施することを特許権者が許諾することを内容とするものであるが、通常実施権者の権利は、特許権者が差止・損害賠償請求権を行使しないことを内容とする債権的権利である。特許権者が負う不作為義務と実施権者が負う対価支払義務とは対価関係にあり、対価の支払のないことを理由に特許権者が不作為義務の履行を拒絶できるとしても、そのことによって通常の意味での同時履行関係が生ずるわけではない。差止請求権の不行使義務にあっては、差止が実現するまで相手方は不行使義務の履行があったのと同じ利益を得ているからである。そして、許諾契約において、許諾契約を解除することなく差止請求権を行使することができるとの合意がなされている場合はともかくとして、そのような合意がない場合には、不行使義務を免れるためには許諾契約を解除することが必要であり、状況は有体物の賃貸借契約の場合と類似する。
他方、特許権者が通常実施権の許諾契約において、実施権者がその特許権を実施したか否かにかかわらず一定期間にわたって定期的に一定額の金銭を給付することが合意されていて、かつ、その金銭の支払がないときには特許権者が許諾契約を解除することなく差止請求権を行使することが合意されている場合には、実施権者の対価支払義務と特許権者の差止請求権不行使義務との間には同時履行関係を肯定する余地がある。
注45 誤解をできるだけ少なくするという点からは、「履行し、かつ・・」という文言のほうがよいであろう。
注46 場合分けをして検討してみよう。議論の単純化のために、個人破産において、免責申立てがなされていないことを前提にする。
(a)比較的簡単な問題から検討しよう。(a1)破産手続が同時廃止で終了した場合に、賃貸人は、破産手続開始前の未払賃料が存在することを理由に、賃貸借契約を解除することができる。(a2)同時廃止にならないが、破産者が賃借している住居が破産者の家族構成に照らして相応なものである場合に、34条4項により賃借権が敷金返還請求権と共に破産財団から除外されたときには、賃貸人は、破産手続開始前の未払賃料を破産債権として行使できるが、それとともに、未払賃料が存在することを理由に賃貸借契約を解除することができる。もっとも、破産手続中は、破産債権を破産手続外で行使することは許されないので、破産手続終了後の催告によって解除権を発生させて解除することになる(破産者が破産手続開始前の賃料を開始後に任意に弁済することはできるが、破産者が開始後の賃料として支払をしている場合に、賃貸人がそれを開始前の賃料に充当して、開始後の賃料の支払がないことを理由に解除することは許されない)。なお、破産手続開始前に発生した解除権は、開始後でも破産管財人に対して行使できるとの立場に立てば、破産手続開始前に賃料未払を理由に発生した法定解除権を手続開始後に破産者に対して行使して、破産財団から除外された賃貸借契約を終了させることはできるとすべきであろう。
(b)このことを前提にすると、かつ、賃貸人は賃借権の譲受人に対して譲渡人の賃料不払を主張して契約を解除することができるとの考えを前提にすると、破産者が借地上に建物を所有していて、破産管財人がその建物を借地権とともに譲渡した場合に、地主は、破産手続開始前の賃料が未払であることを理由に、借地契約を解除することができるとすべきことになる(破産手続終了前であっても、借地権の譲受人に対する解除権の行使は許されると考えてよいであろう。なお、借地権の譲渡について賃貸人の同意が必要な場合(賃貸借契約において借地権譲渡の事前許諾がなされていない場合)には、その同意時に、未払賃料の支払が要求され、その支払がなければ同意は得られないはずである。同意に代わる裁判所の許可に際しても、破産手続開始前の未払賃料の支払が条件付けられると思われる)。したがって、前記破産債権説にたっても、破産管財人は、借地権を譲渡する際に、未払賃料を弁済しておかざるを得ない(未払賃料額分だけ譲渡価額を低下させて譲渡することも考えられるが、譲受人の法的地位を確実にする必要があることを考慮すると、実際的ではない)。前記財団債権説に従えば、破産管財人は、開始前賃料を弁済してから賃借権を譲渡すべきことは当然である。ともあれ、この場面では、いずれの説を採用しても、実際上の結論に差異は生じない。
(c)破産管財人が管財業務を円滑に行うために、一定の期間賃借物を使用する必要がある場合に、(c1)その期間の末日が約定の賃借期間の末日よりも早く到来する場合には、破産管財人は、賃貸借契約を時間的に一部履行して一部解除することになる(これも、148条1項8号の文言に照らせば、解約・解除の場合に含めることも可能であるが、財団債権説との関係でひとまず区別しておく)。破産債権説では、解除の場合でも履行の場合でも、破産手続開始前の賃料債権の取扱いは同じであるので、一部履行一部解除の場合にも、破産手続開始後の賃料債権のみが財団債権になるとの結論が引き出される。他方、財団債権説では、履行の場合と解除の場合とで、破産手続開始前の賃料債権の取扱いが大きく異なるので、そもそも一部履行一部解除という選択が許されるか否かさえ問題となる。しかし、現実の需要に適切に応ずるためには、この選択も許すべきである。その上で、もし、これを解除の一類型であると見るのであれば、結果は破産債権説と同じことになる。(c2)約定の賃借期間の満了時期と破産管財人が賃借不動産を必要とする期間の周期とが一致する場合には、破産債権説では、契約の履行とみることにより、解除に伴う損害賠償請求権(54条1項)の発生を回避することができる。他方、財団債権説によった場合でも、約定期間の満了により契約が終了するのであるから、契約の履行と構成するのが素直であるが、そうなると破産手続開始前の未払賃料がすべて財団債権になる(この財団債権化を避けるために、約定期間の満了よる賃貸借契約が終了しうる場合にも、破産管財人はその時期に向けて解除をすることができるとという構成(かなり無理な構成)をとったとしても、54条1項の損害賠償請求権の発生を認めるのか否かが問題となり、損害賠償請求権の発生を認める必要はないことを考慮すると、解除と構成することは、この点でも適切でないことになろう)。
以上の考察の結果から、破産債権説の方が財団債権説より優れていると言うことができる。
注47 もちろん、55条の適用範囲を限定するために、賃貸借またはこれに類似する契約である限りは、55条の適用を一切否定し、かつ、相手方は破産手続開始前における破産者の義務不履行を理由に、破産管財人が目的物の利用を続けるのに必要な自己の履行行為を拒むことはできないとの選択肢も可能であるが、これは採用すべきでないと思われる。
注48 しかし、それでも、破産者によって設定された賃借権が破産管財人に対抗することができるか否かを問題することは、次の理由により許される。
注49 仮にその結論を肯定するとしても、それは、58条の規定の趣旨(法律関係の早期解決)にしたがった同条の類推適用と言うべきである。その結論を肯定する前提として、証券会社等に顧客の行った売買について反対売買を行う権限と責任を認めることが必要になるが、また、この前提(特に、証券会社の責任)が契約により充足されているとは限らないであろう(信義則により証券会社にこの責任を常に負わせることができるとも言えないであろう)。
注50 この通常の場合とは異なる場合を想定して議論する必要は乏しいが、念のために少し議論しておこう。(α)破産手続開始申立てがなされた場合でも融資義務を負うと合意することは、契約自由の範囲内である。この場合には、融資枠契約は、信用補完の機能を強く有することになる。(β)開始決定がなされた場合でも、融資義務を負うとすることは、ほとんどないとは思われるが、予め担保が提供されている場合、あるいは担保と引換えに融資を実行することが合意されている場合には、それもありえよう。後者の場合には、破産管財人は、消費貸借成立権を破産財団に属する権利として行使することができる。融資が実行された場合の当該融資債権は、破産手続開始前に締結された融資枠契約に原因のある債権として破産債権となる(ただし、破産管財業務が円滑に行われるようにする趣旨で融資枠契約が締結されたのであれば、たとえそれが破産手続開始前に締結された場合であっても、破産管財人がその目的でその融資を利用することにより生ずる債権は148条1項2号の財団債権になるとすべきである)。破産管財人がこの権利をもはや必要とせず、むしろ、未経過期間の手数料の返還を求めたいと考える場合には、継続的契約の処理の問題となる。破産者は、手数料支払債務をすでに履行済みであるが、消費貸借成立権を行使した場合に生ずるであろう融資金の返還債務は未履行であるから、契約全体としては、まだ双方未履行の状態にあると言ってよい。したがって、53条の適用が肯定される。解除の効果として、支払済みの手数料の全額を返還請求できるのではなく、消費貸借成立権を行使しうる期間のうちの未経過期間に対応する手数料のみが返還対象になる。
注51 このほかに、次の先例もある:有限会社の破産宣告当時に取締役の地位にあった者は,破産宣告によっては取締役の地位を当然には失わず,社員総会の招集等の会社組織に係る行為等については,取締役としての権限を行使し得ると解されるから,火災保険契約の免責条項にいう「取締役」に該当する(最高裁平成12年(受)第56号同16年6月10日第一小法廷判決・民集58巻5号1178頁)。もっとも、会社について破産手続が開始された後で取締役に残されている権限が極めて狭く、実質的には無に近いことを考慮すると、≪会社と取締役との間に委任関係が存続している≫という形式的理由により結論を根拠付けるよりも、≪火災保険契約の免責条項にいう「取締役」はどの範囲の者を指すか≫という問題として取り扱う方がよいように思える。
注52 水道法15条3項(注38参照)にいう「料金を支払わないとき」の中に破産手続開始前の給水に対する料金不払が含まれるか否かの問題である。
注53 とは言え、建物の賃貸借において、別段の合意がなければ、賃貸人は修繕義務を負う(民法606条)。破産手続外では、賃料の不払があれば、賃貸人はそれを理由に契約を解除することができるので、前期までの賃料不払を理由に修繕義務の履行を拒絶することができるかを問題にする必要がない。しかし、賃借人に破産手続が開始され、破産管財人が履行を選択した場合に、破産手続開始前の未払賃料の支払請求権が破産債権になることを前提にすると、(α)賃貸人は、その未払賃料の存在を理由に履行を拒絶することができるかが問題になろう。また、(β)賃貸人がその修繕をしないために、破産管財人が修繕をした場合に、賃貸人は破産手続開始前の未払賃料の支払請求権をもってその費用償還請求権と相殺することができるかが問題になろう。後者の問題については、当該修繕費用償還債務は、破産手続開始後に発生したものと見ざるを得ないので、破産法67条1項の相殺許容要件は充足されず、相殺は許されないことになろう。そうだとすれば、前者の問題については、賃貸人は破産手続開始前の未払賃料の存在を理由に修繕義務の履行を拒むことはできない(賃料債権の実現を確保するために修繕義務の履行を拒絶することはできない)としてよいであろう。換言すれば、修繕義務は、そのような特質を有する附随的義務である。
注54 民法641条による解除の場合には、賠償されるべき損害の中に逸失利益としての報酬も含まれる([内田*民法3v3]258頁)。
注55 直接には保証人の求償権に関する見解の状況に関するものであるが、[渡邊*2006a]34頁以下参照。
注56 これ以外にも、破産者の自由財産から賃料が支払われることを条件に破産管財人が履行を選択することも考えられるが、実質は本文前記bと同じであり、かつ、破産手続はいつか終了しなければならず、この法律関係はそれまでの暫定的なものにとどまらざるを得ないことを考慮すると、法律関係の明確化のために、できるだけbの選択肢が採用されるべきである。
注58 口座間送金決済に関し、始関正光=高橋康文・編著『一問一答・電子記録債権法』(商事法務、2008年)198頁以下参照。
注59 この場合に、破産財団は、支払受領者が有していた債権について配当金を支払うべきであり、その支払先が受任者になっても、支払受領者に対して求償権を取得することはない。したがって、「破産財団が受任者に配当金を支払った限りで、受任者の支払先に対する弁済金返還請求権を代位取得する」こともない(2011年10月3日までは、誤解して、そのように(「」内のように)記していたが、訂正する(「」の後に、≪こともない≫を追加する))。
注60 明治23年商法(第3編破産)994条が次のように規定していた:「契約者の一方の義務不履行の為他の一方に於て契約を解除する権利又は既に給付したる物を取戻す権利は財団に対して之を行ふこと得す」。
注61 [白川*2013a]303頁に挙げられている例である。同所では破産法の規定による清算の問題には立ち入っていないが、清算が必要であることはいうまでもない。金利スワップの基本的事項について、次の文献も参照:[岩田*2006a]301頁。
注62 [岩田*2006a]303頁は、先物取引を次のように定義している:「将来の特定の日に、何を、どれだけ、いくらで売買するかという契約を現在しておき、特定の日以前に反対売買するか、特定の日に契約を履行するか、いずれかによって決済する取引」。現物決済と差金決済の双方が許容される取引の意味で「先物取引」の語が使われている。
先物取引の機能については、[岩田*2006a]304頁以下を参照。
注63 株価指数オプションについては、次の文献を参照:[岩田*2006a]312頁以下、[齋藤*2010a]26頁以下・155頁以下。
注64 破産者が大量のオプションを売っているときには市場に大きな混乱が生ずることになると予想されるが、ここでは、その点を脇に置く。
注65 この結論に対して、本学習ノートは、次のような反対意見を述べていた。
「しかし、保険事故がまだ生じていない保険契約について、保険者の破産管財人が破産法53条により解除した場合には、破産法54条1項の解釈問題として、次のように解すべきである:保険契約者は、解除の結果、新規に保険契約をすることを迫られ、未経過期間について二重に保険料を支払うのであるから、未経過期間に対する保険料(単純な比例配分ではなく、当該期間についての保険事故発生率を考慮した保険料)相当額は、破産者の相手方に生じた損害と言うべきであり、これは破産債権になる。
そして、保険者の破産について一般には保険契約者に責任がないことを考慮すると、保険契約者が商法旧651条1項により解除する場合にも、同条各2項により保険契約が失効する場合にも、同様に未経過期間に対する保険料相当額の返還請求権は、破産債権とすべきである。なぜなら、(α)「保険料不可分の原則」の基礎にあるのは、保険加入者全員による損失の公平な共同分担の考えであるが、保険者の破産により全ての保険契約が保険料期間の途中であっても効力を失わさせられるという局面にあっては、全ての保険契約者を通じて等しく「保険料不可分の原則」を放棄することは、保険契約者間の公平を害することにならず、(β)むしろ、「保険料不可分の原則」に固執することは、保険契約者をその他の債権者よりも不利に扱うことになり、両者の間の公平を害するように思われるからである(「保険料不可分の原則」に対して批判的な[山下*2005a]353頁以下も参照)。」
注66 民法545条1項ただし書にいう第三者に該当するために対抗要件の具備が必要かについては、見解がわかれている。第三者優位説(第三者は対抗要件を具備していることを要しない)、権利保護要件説(第三者と解除権者とは対抗関係に立たないが、545条1項の保護を受けるためには(解除前に)対抗要件を具備していることが必要であるとする見解)、対抗関係説(第三者と解除権者とは対抗関係に立ち、先に対抗要件を具備した者が優先する)とがある。[司法研修所*2011a]120頁参照(対抗関係説をとる)。本文では、この問題に立ち入ることを避けるために、解除前に第三者である破産者が対抗要件を具備していることを前提にした。
注67 最高裁判所 昭和62年4月22日 大法廷 判決(昭和59年(オ)第805号)、最高裁判所平成8年10月31日第1小法廷判決(平成7年(オ)第1962号)。
注68 一般に期限の定めのない契約については、通常、一定の告知期間を置いていつでも解約することできる旨が合意されている。期限の定めのない現金担保付債券貸借契約について、その旨の合意がある限りは、破産管財人は約定の解約権を行使することになろう(約定の解約権の行使であれば、通常、相手方は損害賠償請求権を有しない)。他方、債券貸借契約に期限の定めのある場合には、破産管財人が期限前にこの貸借契約を終了させるためには、破産法53条の解除権を行使することが必要になる。そして、相手方の利益保護のために、可能であれば、この解除権の行使を制限したいところである。しかし、次のことが解除権行使の制限の根拠になりうるかを検討してみたが、成功しそうにもない。
注69 破産管財人からの突然の解除に対し、相手方である貸主は相当の期限の許与を求めることができるとすることも考えられ(期限の許与の例として、民法299条2項などを参照)。
注70 2014年11月19日以前は、下記のように記述していた。
上記の2つの選択肢のうち、第一の選択肢は肯定してよいであろう。ただし、不意の解除により債券の返還を迫られるBが不測の損害を受けることも考えられ、そのような場合には、56条の適用ないし類推適用により、破産管財人の解除は許されないとすべきであろう。 |
注71 担保物返還の原則は、特定性を有する不動産や動産の譲渡担保については、「担保物の現物返還の原則」になる。特定性を有するが故に取戻権が肯定されやすいからである。他方、担保物が特定性を有しない金銭の場合は、どうか。建物の貸主について破産手続が開始された場合に、賃借人の敷金返還請求権は破産債権にしかならないことを前提にして、彼の保護を明確にするために70条2文の規定が置かれている。現先取引の対象となる債券は、債券の買主の許で特定性を失う場合もあろうし、特定性を維持する場合もあろう。いずれの場合であっても、担保の必要がなくなれば、担保物返還の原則を維持すべきは当然であるが、契約で同種の物を返還すれば足りるとされているときに、担保提供者は所有権に基づく返還請求権を主張することができるわけではない。したがって、債権者について破産手続が開始された場合に、被担保債権の不発生の確定あるいは弁済により被担保債権が消滅したことを理由に担保提供者が担保の返還を求めるときに、その返還請求権は債権的請求権でしかない。それを財団債権とするか、あるいは破産債権としつつ、もしこれと相殺可能な債権を破産者が有するのであればそれと相殺可能な範囲で優先的回収を認めるにとどめるかは、検討を要する問題と思われる。この問題は、結局のところ、「破産債権者は、破産者の一般財産中に混入した他人の財産(ここでは担保財産)から配当を受けることを期待することが許されるか」という形に書き直されるように思われる。
注72 ただし、63条3項の問屋についても63条2項を準用すべきであるとする見解もある[中田*破産・和議]121頁)。
注73 もっとも、Bの履行期における履行が困難であるか否かは、状況によろう。原油代金及び傭船料が支払済であり、原油に担保権が設定されていない場合には、おそらく、履行期における履行は可能であろう。そのことを考慮して、58条の適用を回避しようとすると、58条の要件の中に、「当該定期取引を履行することが困難であること」という要件を追加しなければならない。しかし、その要件を追加すると、要件充足の判断が難しくなり、相手方が不安定な地位に置かれることになるので、そうした解釈はしない方がよい。したがって、本文の事例に58条の適用を肯定せざるを得ない。
注74 定義にあたって金融商品販売法2条1項10号を参照したが、同一ではない。なお、同法の正式名称は、「金融商品の販売等に関する法律」(平成12年5月31日法律第101号)である。
注75 取引最終日に破産手続が開始された場合に、その日の内に代替取引を行うことを期待することは、おそらく現実的ではないが、そのことは結論を左右しない。
注76 保険法96条の前身は、大正11年破産法の制定の際に附則390条により改正された明治32年商法405条である。改正前の商法405条は、次のように規定していた:「保険者か破産の宣告を受けたるときは保険契約者は相当の担保を供せしめ又は契約の解除をなすことを得。」大正11年の改正により、同条は、次の文言になった:1項「保険者か破産の宣告を受けたるときは保険契約者は契約の解除を為すことを得。但その解除は将来に向てのみ其効力を生す。」;2項「前項の規定に依りて解除を為ささる保険契約は破産宣告の後に3ヶ月の経過したるときは其効力を失ふ。」
改正の理由を、 加藤正治「新旧破産法対比」(『破産法研究第6巻』(有斐閣・厳松堂、昭和2年)所収)514頁は、次のように述べている:保険会社が破産した場合には、「保険契約関係を早く片附けるように此改正をしたのである」;「従来の商法405条では破産にも拘わらず、其契約関係が速く終了しないので困つたのである。」
注77 法制審議会保険法部会第2回会議(平成18年11月22日開催)に提出された資料である「保険法の現代化に関する検討事項(2)」<http://www.moj.go.jp/content/000005149.pdf>5頁で、次のように述べられている。「本文は,商法第651条第1項本文及び第2項(同法第683条第1項において準用される。)の規律を破産法第53条の適用を排除するという部分を含めて基本的に維持しようというものである」。このうちの「破産法第53条の適用を排除するという部分を含めて」の部分は、法制審議会保険法部会第14回会議(平成19年8月8日開催)に提出された「保険法の見直しに関する中間試案(案)」<http://www.moj.go.jp/content/000012540.pdf>14頁にはないが、「破産法第53条の適用を排除する」との考えを否定する趣旨ではなかろう。法務省民事局参事官室「保険法の見直しに関する中間試案の補足説明」([萩本*2008a]121頁以下)では、次のように説明されている。商法651条「第1項は、双方未履行双務契約に関する破産法第53条が適用されると、破産管財人によって直ちに保険契約が解除される可能性があるため、同条の適用を排除する必要があり、他方で、別の保険者と新たな保険契約の締結を希望する保険契約者が契約に拘束されないように、即時の解除権を認めたものといわれている」。この考え(「いわれている」とされた考え)を立案担当者が前提にしていることが明示されていないが、この考えを前提にしていると見てよいであろう。なお、これに続く「このような破産法第53条の適用を前提とする説明に対しては、他の双務契約と異なる保険契約の特性から疑問を示す見解もあるが、」の部分はわかりにくいが、保険契約者の破産の場合に破産法53条の適用があることを念頭に置いた記述と見てよいであろう。
注78 [落合*2009a]184頁(中島弘雅)、[条解*2010a]401頁。なお、保険法96条を「破産法53条の特則」と位置づける[萩本*2010a]213頁以下は、保険者の破産管財人からの破産法53条1項による解除が許されないことを明示しているわけではないが、否定説と見てよいであろう。
注79 破産手続開始後・保険契約終了前に生じた保険事故による保険金請求権も破産債権にしかならないので、配当率が低い場合には実際上の結論に大差はないことになるが、それでも配当率が高い場合あるいは保険契約者が保険者に対して債務を負担していて相殺の余地がある場合には、重要な問題となる。
注80 この結果は、オプション契約に58条1項・2項を類推適用するのと同じである(ここにいう「オプション契約」を、「オブション条項を含む売買契約」とみても、「売買契約を締結する権利たるオブション権を与える契約」とみても、結論に差異はない)。しかし、株価指数のオブション契約については、それを双務契約とみることは実質にそぐわず、また定期取引の要素はないので、この結果を58条1項・2項の類推適用として説明するのは適当ではなかろう。
注81 もし保証契約を委任契約と見るのであれば、保証人が受任者、主債権者が委任者と位置づけることになろうが、保証契約にあっては、事務処理費用の償還が問題とならず、また、債権者について破産手続が開始されたからと言って当然に終了すべき筋合いのものではないから、保証契約を委任契約の一種とみるのは適切でない。
注82 このような解釈が定着しているわけではないから、現時点では未解決の問題とせざるを得ないが、53条により解除すればその余地が出てくることは認めてよいであろう。
注83 [中田*2000a]19頁は、破産管財による解除後に相手方が履行の提供をして解除の効果を覆滅できるとする点に反対する。[注釈*2007a]215頁(松下淳一)も参照。