総有

(そうゆう)[/法学/民法/]


財産を複数の人が共同して所有することを共同所有といい、総有は、その1つの形態である(他に、共有、合有がある)。

総有の対象となる財産は、次の特質を有する総有団体が管理・処分する。

  1. 構成員の変化があっても団体は同一性を保つ点では、法人と同じ。
  2. 法人格は認められないので、総有団体は、現実の構成員の全体である。

したがって、総有財産は総有団体に帰属するといっても、その構成員全員に帰属するといっても、同じことである。各構成員は、総有財産について使用・収益権を有する。総有財産に関するこれらの権利は、団体の構成員の地位と結びついていて、構成員でなくなることによりこれらの権利も失う。

民法は、私有財産は個人が管理するのが経済活動の便宜にかなうとの立場から、総有関係について積極的に規定することはしなかったが、江戸時代からの慣習を尊重して入会権(民法263条)を認めており、これが総有関係にあたると理解されている。

総有財産に関する訴訟の当事者については、次の2つの可能性がある。

  1. 総有財産を管理する社団が形成されていて、それが代表者の定めのある権利能力なき社団に該当する場合には、社団が当事者となりうる(民訴29条。入会団体の総有に属することを争う者との訴訟に関し、最判平成6年5月31日民集48巻4号1065頁)。
  2. 団体構成員全員が当事者となることもできる(この場合には、固有必要的共同訴訟となる。入会権確認の訴えについて、最判昭和41.11.25民集20-9-1921)。

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1997年 11月 20日