講義要項(2008年度秋学期−LS)

倒産処理法 II(民事再生法)

関西大学法学部教授 栗田 隆


科目内容・講義概要

 民事再生手続の基本構造を理解し、具体的な問題について条文を参照して解決し、その解決の正当性を説明することができるようになることを目標とする。

授業方法

 民事再生法について、法律の条文を中心にして、対話型の講義を行う。時間の関係で重要な項目を重点的に取り上げることになる。第一章総則などは、最初の講義で簡単に触れるにとどめ、まとめて取り上げることはしないので、各自が教科書等で自習すること。

各回の授業内容

第1回 民事再生手続の概要
 民事再生手続の概要をフローチャートと法令集により説明する。

第2回 再生手続の開始(1)
 再生手続開始の要件と手続上の効果について説明する。

第3回 再生手続の開始(2)
 再生手続の開始は、債務者の財産関係に深刻な影響を及ぼす。ここでは、双方未履行の契約を中心に、未解決の法律関係の処理を取り上げる。

第4回 再生手続開始(3)
 再生手続開始の実体法上の効果のうち、開始後の権利取得、取戻権、別除権について説明する。

第5回 再生手続の機関
 再生手続において対立する当事者は債権者と債務者であるが、再生手続の目的の実現のための機関として、民事再生法は、監査委員、調査委員、管財人を用意している。管財人を中心に説明する。

第6回 復習
 これまでの復習として、小テストとディスカッションを行う。

第7回 再生債権とその届出
 再生債権の要件とその効果について説明する。

第8回 相殺
 再生債権を自働債権とする相殺がどの範囲で許されるかについて説明する。破産の場合と若干の差異があるので、注意が必要である。

第9回 再生債権の確定
 再生計画を立てて、それを着実に実行することを可能にするために、再生計画によって弁済されるべき債権を確定しておくことが必要であり、そのための手続が用意されている。債権調査と債権確定のための訴訟について説明する。

第10回 否認権
 再生手続開始前であっても、債務者の財産状態が悪化した時期に財産が流出した場合には、その流出の正当性を再生手続の目的の視点から吟味することが必要である。不当に流出したと判断される財産の回復を図るための制度として、否認権の制度が用意されており、これについて説明する。

第11回 再生計画
 再生計画の立案、認可、実行について駆け足で説明する。

第12回 住宅資金貸付債権
 住宅は、個人の生活の場として重要であるが、その取得のための資金の額は大きく、しばしば融資によって賄われ、その融資債権のためにその住宅に抵当権が設定される。再生計画において、その弁済予定をどのように定めるかは、個人再生債務者の生活再建にとって、重要な問題である。

第13回 復習
 これまでの復習として、小テストとディスカッションを行う。

第14回 小規模個人再生
 シナリオを提示して、第13章第1節の規定の適用を説明する。

第15回 給与所得者等再生
 シナリオを提示して、第13章第2節の規定の適用を説明する。

筆記試験   

成績評価

 授業時の小テスト及びレポートの成績並びに期末試験の成績を総合的に評価して判定する。評価の比重は、前者を3割、後者を7割とする予定である。

準備学習等についての具体的な指示

教科書

 指定しない


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Last Updated: 2008年 1月 31日