講義要項(2005年度春学期・デイコース)

民事執行法(1)

関西大学法学部教授 栗田 隆


科目内容・講義概要

民事執行手続は、私法上の権利を国家の執行機関の手を借りて強制的に実現するための手続です。この手続を規律する民事執行法、ならびに、執行により実現されるべき権利の保全手続を規律する民事保全法の基本事項を講義します。できるだけ条文の順番にそって講義しますが、読めばわかる条文の説明は飛ばします。スライドと口頭での説明を中心にして講義する。Webに自習用教材を掲載している(http://civilpro.law.kansai-u.ac.jp/kurita/ からたどることができる)。教室での資料配布は、原則としてしない。

民事執行法(1)では、非金銭執行を題材にして、民事執行法の中の非金銭執行、民事執行総則、強制執行総則及び民事保全法を講義する。

講義計画

  1. 民事執行の概略(民執1条)、建物明渡の強制執行、執行機関(民執2条−9条)、執行抗告と執行異議(民執10条−12条)、執行当事者・代理人(民執13条)、その他(民執14条−21条)
  2. 債務名義(民執22条)、執行力の拡張(民執23条)、外国裁判所の判決の執行判決(民執24条)、仲裁判断の執行決定(仲裁法46条)
  3. 執行正本・執行文(民執25条−28条)、執行開始要件(民執29条−31条)
  4. 執行文に関する争いの解決(民執32条−34条)、請求異議の訴え(民執35条)、執行停止の裁判(民執36条・37条)、
  5. 責任財産と第三者異議の訴え(民執38条)強制執行の停止・取消し(民執39条−40条)、債務者の死亡(民執41条)、執行費用の負担(民執42条・14条・63条)、
  6. 物の引渡・明渡し執行(民執168条−170条)
  7. 代替執行(民執171条)、間接強制(民執172条−173条)、意思表示の擬制(民執174条)
  8. 民事保全法概説(民保1条−8条)
  9. 保全命令の発令(民保9条−25条の2)
  10. 保全異議・保全取消・保全抗告(民保26条−42条)
  11. 保全執行(民執43条−57条)
  12. 仮処分の効力(58条−65条)
  13. 練習問題

成績評価

学期末試験で評価する。授業は、学生諸君の資質と教師自身の能力を考慮して目標を立て、定めた目標に学生諸君が到達できるように教師が努力すべきものである。学生諸君の成績が悪いとすれば、教師の側にも責任がある。目標設定が適切であったか、目標に向けて教師が十分に努力したか、そもそも教師に能力があったのかが問われる。

この講義において学生諸君が到達すべき目標は、講義テーマについて教材として公開されている練習問題に8割以上回答できることとする。教師の努力目標は、この講義が2年生配当の中核科目の一つであるので、授業に毎回出席した2年生の7割以上がこの目標に到達できるようにすることである。

成績は、定期試験(筆記)をもって評価する。学生諸君の成績は、同時に、教師である私の成績でもある。

教科書

法律の条文が最も重要な資料である。平成15年・16年に大きな改正があったので、最新の法令集を必ず持参すること。授業開始までに民事執行法と民事保全法を1回通読しておくこと。

参考書


シラバス目次栗田隆のホーム
Contact: <kurita@kansai-u.ac.jp>
Last Updated: 2005年 1月10日