契約書や委任状などの法律文書を作成しながら民法を学びます。社会で使われるさまざまな法律文書の背後に、どのような条文や判例あるいは理論があるのかを知り、その法的文書にハンコを押せばどのような結果が生ずるのかを手近な資料で確認する能力を育てることがこの授業の目的です。
契約書等の法律文書をサンプルにしたがって作成することが勉強の目的であると誤解しないでください。世の中に多数あるサンプルの空白を埋めて書類を作成すること自体は、単純な作業です。大事なことは、自分が使用する契約書によりどのような結果が生ずるかを予測し、自分の仕事に合わせて契約書等を自分で作り出していく力をつけることです。それが大学で学ぶ法律学というものです。
そこで、法律文書を作成すると同時に、定評のある民法の教科書を皆さんと一緒に読みます。本を読むのが嫌いな人には、向かない授業です。本を読むのが好きな人が参加することを期待しています。
第1回目に、授業の進め方について説明します。この講義要綱・講義計画ならびに民法が掲載されている法令集(コンパクト六法やポケッ六法など)を持参してください。18歳の大学生が踊りの師匠から発表会に出るように言われ、「出ます」と返事をしたら、衣装代・出演料として15万円を請求されたという事例を考えてみましょう。もちろん、払えません。この大学生は、どのような文書を作成して、師匠にどのような方法で送ったらよいのかを考えてみましょう。
第2回目に、自己紹介をしていただきます。指定の教科書を持参してください。2冊とも持ってくると重たいでしょうから、この日は、『民法1[第2版] 総則・物権総論』と法令集をもってきてください。1回目の説明を教科書で確認します。それから、最初の法律文書を書いていただきます。
第3回目は、委任契約・代理権授与を考えてみましょう。委任状とはなにか。白紙委任状を他人に渡したらどうなるのでしょうか。4回目以降に何をするかは、お楽しみです。
夏休みの初めの頃に、高槻にある関西大学セミナーハウス・高岳館で合宿をします。費用は、3170円です(宿泊費+夕食代+朝食代。但しこれは1998年度の価格)。他に交通費がかかりますが、必ず参加してください。大学で知り合った友達と朝まで語り合うのもよいでしょう。
授業に出て一緒に勉強したことが単位取得の要件です。単位取得のためには、さらに、次の課題を達成することが必要です。