講義要項(1999年度1部・2部)
民事訴訟法1(判決手続)
関西大学法学部教授 栗田 隆

科目内容・講義概要

判決手続は、私法上の法律関係をめぐる紛争を強制的に解決するための手続です。その基本的事項ついて、板書と口頭での説明を中心にして講義していきます。Webに自習用教材を掲載する予定です(http://civilpro.law.kansai-u.ac.jp/kurita/ からたどってください)。教室での資料配布は、原則としてしません。多数当事者訴訟、上訴等についても勉強されたい方は、補充特殊講義・民事訴訟法1部を受講してください。

講義計画

民事訴訟法の条文の順番にしたがって条文に説明を加える形で講義することを原則としつつも、訴訟手続の流れも加味して、講義しやすいように若干の変更を加えて、次の順番で各テーマについて講義します。

  1. 民事訴訟制度の必要性・目的/訴訟手続の概観(民訴法の目次・1条−3条)/処分権主義/制度の目標(2条・90条)
  2. 裁判所の構成(裁判所法、民訴269条)/管轄(4条−22条)
  3. 国際裁判管轄/除斥・忌避(23条−27条)
  4. 当事者概念/当事者の確定(133条)/表示の訂正と任意的当事者変更
  5. 当事者能力・訴訟能力・意思能力・能力の補充(28条−37条)
  6. 当事者適格・訴訟担当(30条・115条)
  7. 訴訟上の代理・代表(35条・37条、54条−60条)/訴訟手続の中断・受継(124条−132条)
  8. 訴え(133条・136条)/当事者の訴訟行為/訴訟救助(82条−86条)
  9. 訴訟の3類型の概観/訴訟物(133条)
  10. 訴え提起後の措置(137条−139条)/送達(98条−113条)
  11. 訴訟係属/重複起訴の禁止(142条)/時効中断(147条)
  12. 訴訟要件(140条・141条)/訴訟類型と訴えの客観的利益(134条・135条)
  13. 審理の方式(87条・88条)/弁論主義
  14. 職権進行主義/訴訟指揮(120条・148条など)/期日(93条・94条)/公開の原則(憲82条・民訴312条)
  15. 口頭弁論の準備(161条−163条)/期間(96条・97条)/口頭弁論の指揮・釈明(148条−155条)
  16. 攻撃防御(158条)/攻撃防御方法(156条−159条)/自白(179条)の撤回の制限/訴訟記録(160条・91条・92条)
  17. 争点整理手続(164条−178条)
  18. 証拠(179条−189条、268条)
  19. 証拠調べ(190条−242条)
  20. 裁判によらない訴訟の完結(261条−267条)
  21. 中間判決と終局判決(245条・243条・244条)/当事者の欠席のまとめ/判決事項(246条)
  22. 自由心証主義・証明責任(247条・248条)/直接主義(249条)
  23. 判決とその言渡し(250条−255条)/判決の瑕疵の是正(256条・257条)/決定とその効力(119条・122条)
  24. 仮執行宣言(259条・260条)/訴訟費用(61条−74条)/裁判の脱漏(258条)
  25. 判決の確定(116条・117条)/既判力・執行力・形成力/外国判決の効力(118条)
  26. 既判力の作用、客観的範囲・時的範囲(114条)
  27. 既判力の主観的範囲(115条)
  28. 簡易裁判所における訴訟手続(270条−280条)/少額訴訟(368条−381条)/支払督促(382条−397条)

成績評価

学年末試験の成績をもって評価します。

教科書

指定しません。

参考書

法律の条文が最も重要な資料です。授業に条文集を必ず持参すること。授業開始までに民事訴訟法を1回通読しておくこと。

授業で紹介する判例の多くが次の図書に掲載されています。

平成民事訴訟法の概説書として次のものがあります。これからも新たに出版されると思いますが、自分で適当に選択して、予習・復習に役立てて下さい。コンパクトなものから、大部な体系書の順に並べてあります。

平成民事訴訟法による改正の要点を明快に記述したものとして、次のものがあります。


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Last Updated: 1998年12月 12日