講義要項(1998年度1部)
民事訴訟法1(判決手続)
関西大学法学部教授 栗田 隆
科目内容・講義概要
判決手続は、私法上の法律関係をめぐる紛争を強制的に解決するための手続です。その基本的事項ついて、平成民訴法にしたがって、板書と口頭での説明を中心にして講義していきます。Webに自習用教材を掲載する予定です(http://civilpro.law.kansai-u.ac.jp/kurita/
からたどってください)。教室での資料配布は、原則としてしません。多数当事者訴訟、上訴等についても勉強されたい方は、補充特殊講義民事訴訟法1部を受講してください。判例を多く取り上げますので、民訴判例百選1・2を参考書に指定します。
講義計画
次の項目の講義を予定しています。全体を概観することに重点をおきますので、各回の予定した分の説明が全部できなかった場合、説明できなかった部分については教科書等で自習していただくことにして、次に進むことにします。
- 民事訴訟の目的・他の手続との関係
- 裁判所、管轄、移送
- 当事者(当事者能力、訴訟能力、当事者の確定)
- 訴訟上の代理・代表
- 訴訟の類型・訴訟の対象(訴訟物)
- 訴訟物論
- 訴えの提起とその効果、処分権主義
- 訴訟要件1−訴えの客観的利益(確認の利益)
- 訴訟要件2−訴えの主観的利益(正当な当事者・訴訟担当)
- 審理における当事者と裁判所の役割(弁論主義)
- 訴訟審理におけるその他の諸原則
- 争点整理手続
- 口頭弁論1
- 口頭弁論2
- 証明と証拠
- 証拠調べ
- 訴訟手続の停止・中断
- 裁判と判決−判決事項
- 判決の効力1−形式的確定力、既判力、執行力、形成力
- 判決の効力2−既判力の作用、客観的範囲・時的範囲
- 判決の効力3−既判力の主観的範囲
- 訴えの取り下げ・訴訟上の和解・認諾・放棄
- これ以降は、復習とまとめ
成績評価
学年末試験の成績をもって評価しますが、そのほかに、中間に試験を2回行い、それも考慮します。受講生全員が毎回授業に出ることを前提にしますので、試験の予告は、教室でのみ行います。
参考書
法律の条文が最も重要な資料です。授業に条文集を必ず持参すること。授業開始までに民事訴訟法を1回通読しておくこと。
授業で紹介する判例の多くが掲載されている次の図書を参考書に指定します。
- 民事訴訟法判例百選1・2(有斐閣)
新規に購入される場合には、平成民事訴訟法対応版を購入してください。
平成民事訴訟法の概説書として次のものがあります。これからも新たに出版されると思いますが、自分で適当に選択して、予習・復習に役立てて下さい。コンパクトなものから、大部な体系書の準に並べてあります。
- 上原敏夫=池田辰夫=山本和彦『民事訴訟法(第2版)』(有斐閣Sシリーズ)B6本文297頁
- 中野貞一郎・編『現代民事訴訟法入門[新版]』(法律文化社、1998年)B6本文367頁
- 佐上善和『民事訴訟法[第2版]』(法律文化社、1998年)A5本文335頁
- 小山昇『民事第一審訴訟手続法入門』(青林書院、1998年)A5本文312頁
- 松本博之=上野泰男『民事訴訟法』(弘文堂、1998年)A5本文556頁
- 中野貞一郎=松浦馨=鈴木正裕編『新民事訴訟法講義』(有斐閣、1998年)A5本文573頁
- 上田徹一郎『民事訴訟法(第2版)』(法学書院)A5本文606頁
- 伊藤眞『民事訴訟法』(有斐閣、1998年)A5本文658頁
- 新堂幸司『新民事訴訟法』(弘文堂、1998年)A5本文858頁
平成民事訴訟法による改正の要点を明快に記述したものとして、次のものがあります。
- 中野貞一郎『解説新民事訴訟法』(有斐閣、1997年)
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Contact: <kurita@kansai-u.ac.jp>
Last Updated: 1998年7月 13日