科目内容・講義概要

私法上の権利を国家の執行機関の手を借りて強制的に実現するための手続である民事執行手続について、基本的事項を講義します。板書と口頭での説明を中心にして講義していきます。資料配布は、原則としてしません。

講義計画

以下の通りですが、各回の予定した分の説明が全部できなかった場合でも、説明できなかった部分については教科書等で自習していただくことにして、次に進むことにします。

1. 民事執行の概略（強制執行、担保執行、保全手続、換価のための競売）
2. 執行機関、執行当事者
3. 執行抗告と執行異議、執行費用
4. 強制執行概論（執行の態様、執行請求権）
5. 債務名義と執行正本（執行力、単純執行文）
6. 執行力の拡張（承継執行文）
7. 債務名義を争う方法
8. 責任財産と第三者異議の訴え
9. 強制執行の停止・取消し
10. 金銭執行の概説と不動産執行の概説（差押え・換価・配当）
11. 強制競売と担保競売との類似点と相違点
12. 競売申立と差押えの効力
13. 売却条件
14. 売却の準備（現況調査、物件明細書、売却のための保全処分）
15. 不動産の売却（売却の方法、売却不許可事由、売却許可決定と執行抗告）
16. 買受人の地位（代金納付、所有権移転登記等の嘱託、引渡命令）
17. 売却代金の分配（配当、弁済金交付）
18. 動産執行
19. 動産に対する担保執行
20. 債権執行
21. 債権に対する担保執行
22. 物の引渡・明渡執行、作為・不作為執行
23. これ以降は、まとめと練習問題の対話を行います。

成績評価

学年末試験の成績をもって評価します。学年末試験は、簡単な選択式・語句記入式の問題10題（合計で50点）と論述式の問題2題（合計で50点）を出し、選択式・語句記入式の問題で5割以上の正解の答案についてのみ、論述式の答案を採点します。したがって、選択式・語句記入式の問題で正解が5割未満の答案は、そのことのみによって不合格となります。

参考書

教科書は特に指定しません。次の図書あるいは授業中に指示するその他の若干の概説書等により、予習・復習をしてください。

本格的に勉強したい人は、

• 中野貞一郎『民事執行法［第二版］』青林書院。

一通りの知識を身に付けたい人は、

• 山木戸克己『民事執行・保全法講義（補訂版）』（有斐閣、1997年。平成8年の改正を取り込んだ最新の教科書）
• 小室直人『民事執行法講義［改訂版］』（法律文化社）

などコンパクトな概説書。