関西大学法学部教授 栗田 隆

破産法学習ノート2「破産手続の機関」の注


注1  このことは手形の振出・裏書きにも当てはまり、一人の管財人がした手形の振出・裏書きは、破産財団との関係では効力を生じない。しかし、商法262条の類推適用の余地はあり、善意の相手方はこれにより保護される(会社更生事件についてであるが、最高裁判所 昭和46年2月23日 第3小法廷 判決(昭和44年(オ)第1048号)・民集25巻1号151頁参照)

注2  [伊藤*1989a]172頁は、差押債権者には民708条は適用されず、破産管財人は差押債権者と同視できるとの説明をする。しかし、そのような一般化は危険である。事案によっては差押債権者や破産管財人の不当利得返還請求も708条により排斥されうるが、そのためには、差押債権者や破産管財人の背後にいる破産債権者について708条の適用を肯定するための事情が必要であると考えるべきであろう。

注3  職務説ないし管理機構人格説に従えば、このことは、素直に説明がつく。破産財団法人説では、当事者となるのは破産財団であり、管財人はその代表者と位置付けられる。

注4  民法653条では、受任者の破産・後見開始も委任の終了原因である。破産管財人は、こうした事由が生ずる前に解任されるべきである。ただ、解任されないまま管財人に破産手続開始決定・後見開始審判がなされた場合に、その管財人の任務は当然に終了するのか否かは、明瞭ではない。多くの文献では、管財人の任務終了原因として管財人の破産・後見開始は挙げられていないが、これも当然の任務終了原因とすべきであろう。

注5  営業と分離して商標権を譲渡することができるようになっているで、商標権の任意譲渡も許可の必要な事項とされている。