注1 破産事件に関する情報を日刊新聞紙やインターネットを介して誰もが見ることのできる状態に置くことになるが(一般公開)、破産者が個人である場合に、それが個人情報の保護の視点からどこまで許されるかが問題となる。規則のこの規定は、上記の事項の一般公開は破産制度の合理的な運営のために許されることを明示するものである。
注2 消費者について破産手続が開始される場合には、破産管財人を選任して手続を進行するだけの財産がないため、破産手続開始と同時に破産手続を廃止するのが通常である。この場合に、官報に掲載される公告は、横書きの次のような書式のものである。
平成17年(フ)第111号 インターネット県ウエップ市山手町1丁目1番1号 インターネット地方裁判所民事第1部 |
免責審尋期日も併せて公告する場合もある。
注3 [伊藤*破産v4.1]110頁注127頁は、このように考えると「破産法30条2項は、確定によらずに決定の効力が生じる旨を定めた特則となり、決定の効力発生時自体については、民事訴訟法119条の一般規定によることとなる」とする。しかし、119条は、決定の告知により決定の形式的効力のみならず内容的効力が生ずることを定めた一般規定であり、決定が確定前であっても効力が生ずることはこの一般規定の範囲内のことであるから、「特則」と呼ぶのが適当なのだろうか。
注4 [山木戸*]57頁、[伊藤*破産v4.1] 109頁注2、[加藤*2006a]85頁など。ただし、形式的要件のなかに入れる見解もある([中田*破産・和議]63頁)。
注5 この区分が具体的な問題に影響を与えることは、下記の事情により、あまりない。
もっとも、次の点に差異を見いだすことができる。
また、費用の予納については、それを形式的要件とするか実質的要件とするかで、下記のように政策論上の違いを持たせることができる。現行法が形式的要件としていることは、条文の文言から明らかである。
注6 民訴法312条2項3号が専属管轄違背を絶対的上告理由としていること、同法309条が、第一審の専属管轄違いを理由に控訴審が原判決を取り消すときには、事件を管轄裁判所に移送すべきであるとしていることを考慮すると、そして特に、債権者が開始申立てをした事件において、管轄違いの裁判所に申立てがなされたために債務者が十分な防御活動ができないまま開始決定がくだされた場合を想定すると、破産事件について抗告裁判所が第一審の専属管轄違背を認めながら、第一審の破産手続開始決定を取り消すことなく事件を管轄裁判所に移送するとの措置に問題があるのは、確かである。しかし、弁論主義が妥当する民事訴訟人とはことなり、裁判所の職権による証拠調べも許される破産事件においては、この措置が許されるべきであろう。
注7 破産者の地位につくと、各種の資格制限があり、そして資格審査の度に破産記録を調査するわけにはいかないので、検索しやすい形でどこかに記録されなければならない。検索の便宜のために、戸籍の取扱機関が管理する帳簿に記録されている。取扱いは、自治体により若干の差異があるが、戸籍簿やその附票(住民基本台帳法16条以下)とは別個に厳重に保管される民刑事事件関係の記録簿に記載されているようである。この記録は、一般人が閲覧請求することのできないものである。
注8 開始決定に対して即時抗告が提起された場合に、決定の取消しの機会はもう一つある。原裁判所による更正としての取消しがそれである。一般に裁判には不可撤回性の原則が認められているが、その例外の一つとして、抗告に理由がある場合には、原裁判所はその裁判を更正しなければならないと規定されている(民訴法333条)。
注9 民事再生法に関してであるが、肯定説は、[注釈*2006a]26頁(林圭介)
注10 即時抗告を不適法として却下する決定が確定した場合に、開始決定は何時確定したと見るべきかについては、見解は分かれるであろう。判決については、上訴期間に満了時に確定したとりかいするのが多数説であるので、これと同様に解すれば、即時抗告期間満了時が開始決定の確定時となろう。もっとも、開始決定の効力自体は決定書の記載の日時にすでに効力を生じているので、開始決定の確定時が即時抗告期間満了時であるか、却下決定確定時であるかは、重要ではない。
注11 2015条2月9日・10日付けの官報を見る限りでは、このように言うことができる。