合衆国破産法:§523が非免責債権について詳細に規定している(条文:cornel 大学;但し、1998.9.22現在で(a)(3)(4)にタイプミスがある。邦訳:[高木*1996a]563頁以下)。同条(a)の概略を示すと、免責の効力は次の債務に及ばないとされている。[高木*1996a]236頁以下参照。
但し、2・4・6・15の債務については、破産裁判所による確認が必要である。§523(c)(1)。
日本の規定との対応関係を見ておこう。
項目 | 日本法 | 合衆国法 | |
---|---|---|---|
租税 | 租税債権 | 1号 | 1 |
租税債務の弁済のための借入れ | 14 | ||
生活の維持 | 労働債権等 | 3号・4号 | |
扶養料債権 | 5・15 | ||
信用秩序・信任関係の維持 | 詐欺・欺瞞的表示・背任 | 2・4 | |
金融機関の信用・支払能力の維持 | 11・12 | ||
不法行為の抑制と被害者の救済 | 悪質な不法行為一般債権 | 2号 | 6 |
身体傷害 | 9 | ||
免責手続の機能維持(手続的要請に基づくもの) | 債権者名簿不記載の債権 | 5号 | 3 |
前の破産手続で免責不許可となった債務者 | 10 | ||
その他の制度維持 | 公的奨学金返済債務 | 8 | |
共同住宅の維持に必要な分担金債務 | 16 | ||
罰金等 | 6号 | 7・13 |
日本法の非免責債権のリストは簡単である。これでは、不十分であるとの立場に立ってその補充に努める解釈論として、一部免責(ここでは、特定の債権を除外した一部免責)の理論がある。
アメリカ法は請求力・訴求力・掴取力を否定し、給付保持力のみを肯定する。
イギリス法は債権の消滅を認めつつも、新たな貸付けを約因(対価)とする免責債務の承認(免責された債務を弁済するとの約束)を有効とする。