(ぜんぶぎむりこうせいきゅうけん)/(ぜんぶぎむせいきゅうけん)[/法学/民法/破産法/]
債権者が各義務者に対して全部義務の履行を請求することができる権利を「全部義務履行請求権」といい、「全部義務請求権」は、その縮約表現である。全部義務請求権をさらに縮約して、「全部請求権」を用いることも考えられるが、この表現は誤解が生じやすいであろう。すなわち、「数人の者が一人の義務者から1つの給付(例えば全部で100万円の支払)を受けることができる場合に、その各自がその全部の給付を請求することできる権利」の意味で「連帯債権」が用いられており、「全部請求権」はこれと類似の性質の債権(複数の債権者の各々が有する一人の債務者に対する全部の給付を請求することができる権利)と誤解される虞れがある。もっとも、論文等において、「全部請求権」(あるいは「全部債権」)の語を「全部義務履行請求権」の意味で用いることを明示した上で用いることは許容範囲であろう。