私語
(しご)[/教育/大学教育/]
授業や会議など複数の人が一定の目的で集まった場において、近隣の席の者の間でなされる小声の会話。
正規の発言ではないので無視されるべきものであるが、正規の発言者の発言を聞くために静粛が要求される授業などでは、その進行の妨げとなる。度を越すと、授業不能となる。
授業における学生の私語をなくすための最善の方法は、学生の関心を惹き付けるような授業内容にすることであるが、その他に、次のような方法がある。
- 授業に参加する学生の数が過大にならないように、クラスを分割する。
- 教室内に学生がスシ詰め状態にならないように、広い教室で授業をする。学生が隣り合って座ることが私語の大きな原因である。着席率は、50%以下が望ましい。
- 一人の者が私語を始めた段階で、それを制止する。私語を制止して教室内を静粛に保つことは、教師の役割であり、正当な行為である。多く学生は、そうすることを支持する。したがって、教師と私語をしていた学生とが対決すれば、通常は教師が勝つ。私語をする学生を特定し、その顔を正視して注意すべきである。必要であれば、教室から出ていくように命令する。これを命じることができるのは、大学教育のある意味で利点である。
- 不特定多数の者に向かって「静かにしなさい」と叫ぶのは、多くの場合、無益である。一人の教師が多数の学生と同時に対決しても負ける。ローマの昔から「分割して統治せよ」と言われている[注]。これは授業にも当てはまる。相手を限定して対決すべきである。最初の授業の始まりの時から教室が私語でやかましい場合には、学生が静粛に聞かざるを得ないような話題(例えば、学年末試験の話題)を出して、教室内を静かにしてから3の措置をとる。
[注] 例えば、モンテスキュー(田中治男=栗田伸子・訳)『ローマ人盛衰原因論』(岩波文庫34-005-5、1989年)74頁は、「ローマ人の一貫した政策は分割することであった」と述べる。