(しょうめいせきにんはんけつ)[/法学/民事訴訟法/]
判決をする上で必要な主要事実が存否不明の場合に、証明責任の分配に従って法律関係の存否を判断し、その判断に基づいて下される判決を証明責任判決という([松本*2014a]39頁)。
例えば、貸金返還請求訴訟において、「原告は、1999年9月9日に原告の事務所で被告本人に金200万円を渡した」という事実を原告が主張したとしよう。その事実の不存在が証明された場合にも、その事実が存否不明である場合にも、原告の請求は棄却される。後者の場合には、「金銭の授受については、貸金返還請求権を主張するものに証明責任がある」との証明責任の分配ルールに従って下された判決であるので、証明責任判決と呼ばれるのである。そして、いずれの請求棄却判決も、「口頭弁論終結時に原告主張の貸金債権は存在しない」との判断に既判力(民訴法114条1項)が生ずる。証明責任判決の場合には、「口頭弁論終結時に原告主張の貸金債権は存在したとは言えない」との判断に既判力が生ずるとしてもよいようにも見えるが、この場合にも、「貸金債権が存在しない」との判断に既判力が生ずると考えられている。貸金返還請求訴訟において、貸金債権の発生及び弁済期到来に必要な主要事実を原告が主張して証明し、被告が「原告主張の貸金について、被告は、1999年10月10日に被告は、原告の事務所で原告本人に200万円を返済した」と主張したとしよう。この弁済の事実が存否不明の場合には、証明責任の分配ルールに従って「被告は原告に金200万円を支払え」との判決が下される。この判決は、「口頭弁論終結時に原告は被告に対して弁済期が到来している金200万円の貸金債権を有する」との判断に既判力が生ずるのであり、「貸金債権を有していないとはいえない」との判断に既判力が生ずるのではない。
証明責任判決の参加的効力
被参加人敗訴の証明責任判決はどのような点に参加的効力(民訴法46条)を有するのかについては、議論がある([松本*2014a]39頁)。存否不明とされた事実の証明について補助参加人が敗訴責任を分担すべき場合に問題になる。
[松本*2014a]40頁は、B説を正当とする。
文 献