執行正本| 執行力のある債務名義の正本

(しっこうせいほん)/(しっこうりょくのあるさいむめいぎのせいほん)[/法学/民事執行法/]


執行力のある債務名義の正本」は、形式的意味と実質的意味とに分けることができる。形式的意味では、民事執行法25条により強制執行の基礎となる文書を指し(51条)、略して執行正本という。原則として、「当該債務名義に基づいて強制執行することができる」ことを公証する執行文が必要である。但し、次のものについては、そこに表示された当事者間で執行が行われる場合には、執行文は必要ない。

執行正本が債権者に交付された後で請求異議の訴えにより執行力が排除された場合でも、その正本を提出して執行申立てがなされると、執行機関は強制執行を適法に開始することができる。したがって、その正本は依然として形式的意味での「執行力のある債務名義の正本」である。しかし、請求異議認容判決により執行力を排除されているのであるから、その正本は実質的意味では「執行力のある債務名義の正本」ではない。このことは、債務者は確定した請求異議認容判決を提出して強制執行の停止と取消しを申し立てることができるという点に現れる(39条1項1号・40条)。


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