成績評価

(せいせきひょうか)[教育/大学教育]


大学教育においては、学生が履修届出をした授業科目ごとに成績が評価され、合格と判定された科目について予め定められた単位が認定され、単位数が一定数に達すると、卒業を認められ、学士の称号が授与される。各授業科目の成績評価は、文科系の学部においては、通常下記のように行われる(一般論であり、大学や学部によって異なることもある)。

各科目の成績評価は、0点から100点までの整数でなされ、これを素点という。学生に素点は知らされず、次の4段階評価のみが知らされる。

大学によっては、優の上に次の評価を設けているところもある。

評価は、通常、期末試験ないし学年末試験の成績でもって行われる(定期試験による評価)。ゼミナール等については、平常の授業における学習状況でもつて評価される(平常点による評価)。定期試験に代えて、レポートを提出させ、それを評価資料とすることもある。成績評価は、教育上の重要事項であるので、学部教授会のコントロールに服する。

成績評価は、中学や高校で行われているような相対評価ではなく、絶対評価で行われるのが通常である。評価基準は、授業科目の担当教員の裁量に委ねられていて、裁量の範囲は広い。500人程度の受講者について、全員に優を与えることもできる。全員を不合格にすることも可能であるが、実例はあまり聞かない。7割あるいは8割の受講者を不合格にする例は、少数であるが、しかし珍しいことではない。もっとも、各科目の不合格者の割合を2割にすることを教授会の決定により努力目標としている大学あるいは学部もある。

相対評価の場合には、成績評価の具体的意味は、比較的明瞭である。一定の集団の中で、どの序列にあるかを意味している。しかし、母集団を異にする複数の学生の間の成績を比較するには、母集団の特性を明らかにしなければならず、それは困難なのが通常である。

絶対評価の場合には、その具体的意味は、どのような基準で評価したかに依存する。評価の社会的通用力を高めようとするのであれば、いかなる基準で評価したかを公表することが必要である。試験の成績で評価する場合には、どのような試験を行いどのような基準で採点したかを公表しなければならない(特に、試験問題と参照条件、出題範囲の事前開示の有無が重要である)。

いずれの評価方法をとるにせよ、試験時間を十分にとり、十分な数の問題を出して、充実した試験を行うことが必要である。論述式の問題が出されている場合には、慎重な採点が可能となる程度に受験者の数が少なくなければならない。現状は、その条件が満たされているとは言い難い場合が少なくない。

学部が発行する成績証明書には、不合格は記載されず、合格した科目について上記の評価が記載される。担当教員の氏名は記載されない。しかし、成績評価が担当教員の広範な裁量に委ねられていることを考慮すれば、担当教員名も記載することが好ましい。成績評価が厳格な教員が与えた「優」の成績と、評価が緩やかな教員が与えた「優」とでは、意味合いが異なるからである。


栗田隆のホーム

Contact: <kurita@kansai-u.ac.jp>
1999年 1月 23日