(きょうしつないかくせいせつび)[/教育/大学教育/]
教室内に設置された、マイクロフォンを入力口とし、スピーカーを出力口とする拡声設備をいう。
多人数の学生が受講する広い教室では、教師や学生の声を拡声器(スピーカー)を通して、音量を上げることが必要である。そのため、大学では、小教室を除けば、たいていの教室に拡声器の設備がある。この教室内の拡声設備が適切に機能しているか否かは、極めて重要である。教師がいかに内容のよい授業をしようとも、その声が学生に届かなければ、学生にとっては、内容の聞き取れない最低の授業となる。授業評価アンケートをすれば、おそらく最悪の部類の結果が帰ってこよう。
教師が講義内容を独演する場合には、マイクは1本で足りる。この場合には、比較的問題は少ない。しかし、教師と学生との間の対話性を高めた授業を大教室でしょうとすれば、少なくとも2本のマイクロフォンが必要である。たとえば、教師がピンマイクを使用し、教師が多くのことを語りつつ、学生にハンドマイクを渡し、法令の条文を読ませ、あるいは簡単な質問に答えさせるという形式の授業をする場合がそうである。このスタイルの授業をする場合には、次の点が重要である。
(a)各マイクの音量差の解消 各マイクの間で音量差が生じないようにすることができなければならない(同一の音量を各マイクに与えた場合に、各マイクを通してスピーカーから出てくる音量が同一でなければならない)。そうでなければ、教師の声は大音量であるが、学生の声は小音量となる。実際に体験してみればすぐわかることであるが、小音量であるために聞き取れない場合のもどかしさ、苛たちは、大きい。
(b)単指向性マイクの使用 学生用マイクには単指向性マイクの使用することが必要である。スピーカーは多くの場合に教室の前部にある。学生の持つマイクが多指向性ないし無指向性のマイクであると、ハウリングが生じやすい。
上記の問題のうち(a)は、各マイクごとに音量調整装置があれば、授業の状況に応じて教師がその場で簡単に解決できる。しかし、音量調整装置が全部のマイクを通じて一つしかない場合には、次のような悲惨な状況が生じうる。すなわち、有線のハンドマイク1つがメインの設備として設置された教室で、無線のハンドマイクが1本、無線のピンマイクも使えるようになっているとしよう。その教室で、教師がピンマイクを使用して教室内を動いて学生にハンドマイクを渡して対話式の授業をするとしよう。有線のハンドマイクを使用する必要がないにもかかわらず、それが固定式であるために、それを通しても教室内の音声が拾われうるものとしよう。その音量が他の2つのマイクと比較して異常に大きいとしよう。教師は、授業で使用する他の2つのマイクの音量が十分になるようにスピーカーの音量を上げると、使用しないマイクを通して、たちまちハウリングが生ずる。ハウリングの原因となっている有線マイクを机の下のポケット部分に収納しても、なおハウリングが発生するのである。ハウリングの発生を止めるために、音量を下げると今度は学生の手にあるマイクの音量が不足して、学生の声が聞き取れなくなる。教師のピンマイクも同様である。
21世紀初頭においても、未だにこのような問題が生じうるのである。