国際裁判管轄/国際的裁判権/直接管轄/間接管轄

(こくさいさいばんかんかつ)/(こくさいてきさいばんけん)/(ちょくせつかんかつ)/(かんせつかんかつ)/[/法学/国際民事訴訟法/国際私法/国際取引法/]


一般に。「裁判管轄」は、複数の裁判所の存在を前提にして、「裁判権行使の分担の定め」を意味する。一つの国の中での裁判権行使の分担の定めを「国内管轄」という。ある事件について、他国が関係する要素(当事者の国籍や住所、契約締結地・履行地など)が含まれている場合に、その要素を渉外的要素という。渉外的要素がある事件について、「どの国の裁判所が裁判権を行使するかについての定め」を「国際裁判管轄」という(裁判権の行使が問題になっていることが明らかな場合に、「国際管轄」と略すこともある)。国内管轄と異なり、国際裁判管轄については、世界的な共通の規律はまだない。基本的には、各国の国内法が、自国の裁判所が裁判権を行使することができる事件の範囲を定めている。この管轄を、後に述べる外国判決承認の要件としての国際裁判管轄と区別する意味で、直接管轄という。直接管轄が国ごとに異なっていると、同一の事件について複数の国の裁判所が裁判権を行使する場合があるとともに、他方で、ある事件についてどの国の裁判所も裁判権を行使しないという場合が生ずる。こうした事態が生ずることできるだけ避けるために、2国間条約あるいは少数の国が加盟する条約により、国際裁判管轄を規律する努力が払われている。

ある国が裁判権を行使して下した判決は、他国も通用することが望まれる。しかし、承認を求められている国からすれば、国際裁判管轄を有しない国の裁判所で下された不当な判決によって敗訴当事者が自国でも不利益を受けることを座視するわけにもいかないので、外国判決の承認の要件を設定し、その中に判決国が国際的な裁判管轄権を有していると認めることができることを含めているのが通常である。このように、外国判決の承認の要件要素としての国際裁判管轄を「間接管轄」という。

後者について、最高裁判所 平成26年4月24日第1小法廷 判決(平成23年(受)第1781号)は、次のように述べている:「執行判決を得るためには,民訴法118条各号に掲げる要件を具備する必要があるところ,同条1号所定の「法令又は条約により外国裁判所の裁判権が認められること」とは,我が国の国際民訴法の原則からみて,当該外国裁判所の属する国(以下「判決国」という。)がその事件について国際裁判管轄を有すると積極的に認められることをいう(以下,この場合における国際裁判管轄を「間接管轄」という。)」。


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2014年5月30日 −2014年5月30日