(けだし)[/法学/]
国語辞典に記載されている通常の意味は、次の2つである。(a)かなりの確信をもって推量する意を表す。他の言葉であらわせば、「確かに」、「おそらく」、「たぶん」となり、かなり巾がある。これだけの巾をもった別の言葉は、「思うに」であろう。もう一つの意味は、(b)疑いの気持ちをもって推量したり仮定したりする意を表す。他の言葉であらわせば、「もしかしたら」、「ひょっとしたら」(三省堂『大辞林』)。
「確かに」の意味で使われている例:
「多分」の意味で使われている例:
「ひょっとしたら」(前記b)の意味で使われている例
解釈が分かれる例:
法律の世界では、理由を説明する際に、「けだし・・・だからである」という形で使われることが多い。本来は、「思うに」あるいは「確かに」の意味で使われているのであるが、あまりにも頻繁にこのような文脈で使われたため、意味の転化が生じ、「なぜならば」と同義と感じられるほどになってしまった(もちろん、国語学上は、この場合でも、「思うに」「確かに」の意味である)。古い判決では、「蓋し」が頻繁に使われたが、最近は少なくなっている(しかし、まだ使われている)。