蓋し

(けだし)[/法学/]


国語辞典に記載されている通常の意味は、次の2つである。()かなりの確信をもって推量する意を表す。他の言葉であらわせば、「確かに」、「おそらく」、「たぶん」となり、かなり巾がある。これだけの巾をもった別の言葉は、「思うに」であろう。もう一つの意味は、()疑いの気持ちをもって推量したり仮定したりする意を表す。他の言葉であらわせば、「もしかしたら」、「ひょっとしたら」(三省堂『大辞林』)。

「確かに」の意味で使われている例:

「多分」の意味で使われている例:

「ひょっとしたら」(前記b)の意味で使われている例

解釈が分かれる例:

法律の世界では、理由を説明する際に、「けだし・・・だからである」という形で使われることが多い。本来は、「思うに」あるいは「確かに」の意味で使われているのであるが、あまりにも頻繁にこのような文脈で使われたため、意味の転化が生じ、「なぜならば」と同義と感じられるほどになってしまった(もちろん、国語学上は、この場合でも、「思うに」「確かに」の意味である)。古い判決では、「蓋し」が頻繁に使われたが、最近は少なくなっている(しかし、まだ使われている)。


栗田隆のホーム

2001年 2月 21日(水)