非流動性ディスカウント

(ひりゅうどうせいでぃすかうんと)[/商学/法学/会社法/]


財産の価格を算定する場合に、財産の換価容易性は重要な要素となる。市場性の乏しい財産Aの価格を評定する一つの方法として、市場性のある類似の財産Bを比較基準に用いて評定することがある(「比準法」などと呼ばれる)。両者の市場性の差は、流動性の差になる。評定されるべき財産Aが基準となる財産Bと比較して流動性が低いことを理由として減価することを非流動性ディスカウントという。

ある財産の価格を≪他の類似財産と比較して算定する方法≫以外の方法で評定する場合には、非流動性ディスカウントは、特別の事情がなければ、用いるべきではない。このことを吸収合併に反対した株主が有する株式の公正価格を決定する場面で説示した先例として、最高裁判所 平成27年3月26日 第1小法廷 決定(平成26年(許)第39号)がある。「非上場会社において会社法785条1項に基づく株式買取請求がされ,裁判所が収益還元法を用いて株式の買取価格を決定する場合に,非流動性ディスカウントを行うことはできない」と判示している。


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2016年7月19日