(ぶっけんてきせいきゅうけん)/(さいけんてきせいきゅうけん)/(じんてきせいきゅうけん)[/法学/民法/]
人に対して一定の行為を要求できる権利を請求権という。請求権は、物権的請求権と債権的請求とに大別される。
物権的請求権 例えば、物が違法に所有者のもとから持ち去られた場合に、所有者は、侵奪者に対してのみならず現在の占有者に対してその物の返還を請求できる(所有物返還請求権)。他方、占有者は、その物の占有を失えば、もはや返還義務を負わない。このような特質のある請求権を物権的請求権という。
債権的請求権 他方、所有者は、侵奪者に対して損害賠償を請求することができる(民法709条)。この損害賠償請求義務を負うのは、物を故意又は過失により違法に占有した者である。彼はその物の占有を失ったということによっては賠償義務を免れない。彼は、一般財産をもって義務を履行しなければならない。
債権的請求権の発生原因の多くは債権法に定められているが、これに限られない。親族法で定められた扶養料請求権等も、義務者が一般財産をもって義務を履行しなければならないから、債権的請求権に分類される。債権的請求権は、人的請求権とも呼ばれる。義務者がその人格をもって義務を履行しなければならない点に由来する名称であるが、現在では、強制履行の場合の責任は、彼に帰属する現在および将来の財産(一般財産)に限定されている。