関西大学法学部教授 栗田 隆

民事訴訟法講義「訴え 1
の比較法メモ


注1 訴えの提起・訴状の必要的記載事項

テッヒョー「訴訟法草案」(原文はカタカナ縦書き。項番号は、アラビア数字で記したが、原文にはない。号番号は、ローマ数字で記したが、原文は漢数字である。)

明治23年民事訴訟法(原文はカタカナ縦書き。項番号は、アラビア数字で記したが、原文にはない。号番号は、ローマ数字で記したが、原文は「第一」等である。)

    1. 訴の提起は訴状を裁判所に差出して之を為す
    2. 此訴状には左の諸件を具備することを要す
      1. 当事者及ひ裁判所の表示
      2. 起こしたる請求の一定の目的物及びその請求の一定の原因
      3. 一定の申立
    3. 此他訴状は準備書面に関する一般の規定に従ひ之を作り且裁判所の管轄か訴訟物の価額に依り定まる場合に於て訴訟物か一定の金額に非さるときは其価額を掲く可し

ドイツ民事訴訟法草案(1871年プロイセン司法省案)(項番号は、アラビア数字で記したが、原文にはない。号番号は、ローマ数字で記したが、原文はアラビア数字である。)

オーストリー民事訴訟法(1895年法) 司法省『和訳 欧州各国民事訴訟法』(清水書店、大正15年)に掲載された訳である(原文はカタカナ縦書き)。

訳注

  1. 原文は、「Die mittles vorbereitenden Schriftsatzes anzubringende Klage」となっており、直訳すれば、「準備書面により提起すべき訴え」である。

注2

原書が1847年に発刊された[サヴィニー/小橋訳*現代6]353頁(原書420頁)が、既判力に関連して、次のような例を挙げる。

なお、(下記における「所有権訴訟」は、「所有権に基づく返還請求訴訟」の意味と思われるが、サヴィニーは判決の客観的理由にも確定力を認めるので、その有責判決[請求認容判決]は、「原告の所有権を確定させる判決」でもある([サヴィニー/小橋訳*現代6]358頁(原書426頁以下)参照)。

注3

明治23年法の母法であるドイツ民事訴訟の立法当時は、形成の訴えは未だ認められておらず、確認の訴えの観念は未成熟であったので、「訴え」といえば直ちに「給付の訴え」を指していたので、訴状の記載事項としての「請求」は「実体法上の給付請求権」を指していた。明治23年法立法当時も「立法当時ニ於テハ、請求トハ私法上ノ請求権ヲ指シタルモノナルヤ疑ヲ容レス」([雉本*論文集1]38頁)