注関西大学法学部教授 栗田 隆

民事訴訟法講義「判決の効力4」の注


注1  これに対して、人身事故による被害者が、その後に別の原因で死亡したことは、特段の事情がない限り、労働能力喪失による逸失利益の算定に影響を及ぼさないので(最高裁判所平成8.4.25 判決・民集50-5-122)、逸失利益についての賠償金の支払が定期金の形で命じられていても、特段の事情がない限り、被害者の死亡は判決変更の理由にならない。

注2 一般に、法令において「確定判決と同一の効力を有する」と規定されている場合に、その効力の中に既判力まで含まれるとは限らず、既判力も含まれるかは個々の規定ごとに検討する必要があるが、破産法131条2項の破産債権査定決定については、≪破産債権の査定に関する訴訟についてなされた本案判決≫(同条1項)と同様な既判力を含むと解さないと、破産債権査定制度の目的を達することができない。

注3  即時抗告と同等な機能を有するものとして執行抗告(民執法10条)があるが、その提起には執行停止の効力はなく、抗告審が事案に応じて柔軟に処理するものとされている(同条6項)。