関西大学法学部教授 栗田 隆

民事訴訟法講義「判決の効力1」の比較法メモ


注1 計算違い

[サヴィニー/小橋訳*現代6]322頁(原書379頁)以下が、確定力(既判力)の生ずる事項との関係で、計算間違いの是正が許される範囲を論じている。「判決自体が計算をして、これから有責判決の額を導き出すが、その計算が間違っているとき、宣言された額は、数学的思考方法と矛盾している。その結果は、計算の構成部分は真実で確定力があると認められるが、その額自体は訂正されうるし、また訂正されなければならず、しかも上訴またはなにか別の法的手段なしに、新たな判決なしに、その判決を言い渡した裁判官によっても訂正されうるし、また訂正されなければならないというものである。」(322頁)。「計算間違いが、確かに判決の基礎にありうるが、しかし、それが判決自体から明らかになるのではなくて、われわれの前提に従えば裁判官にその決定をさせたのとは別の計算をわれわれがすることによって、われわれにより後にはじめて取消原因として主張されるされるようなことでありうる。これは上訴による判決の通常の取消しの対象」である(324頁)。