民事執行法概説「民事執行の概略」の注

関西大学法学部教授 栗田 隆


注1 ドイツでは、債務者に財産を開示させる制度が古くから用意されている。[内山*1998a]が比較的新しい文献で、詳しい。同論文は、「債務者の財産状態を把握することは、債権者が一人興信所を頼んで行わねばならないことではなく、実は、債権者に自力救済を禁止した国家が自ら取り組まねばならないことである」との立場から、日本法にも財産開示制度を導入すべきであると主張していた([内山*1998a]2号76頁以下に具体的提案がある)。

注2 例えば、[内田*民法3]275頁が、債権者取消権の被保全債権につき、「本来の趣旨は責任財産の保全であるから、金銭債権が想定されている」と述べている場合に、その「責任財産」は狭義である。

注3 比較的最近の文献として、次のものを参照:

注4 次のような文章を読むときあるいは書くときに注意すれば足りよう。

注5  執行力は重要な概念であるので、他の文献の定義を見ておこう。

注6  現在では入札が中心であり、立法論としては、入札自体は裁判所(裁判所書記官)に行わせることも考えられる。しかし、その報酬(手数料)は、伝統的に手数料制の公務員たる執行官の主要な収入源とされてきており、現行法でも、伝統に従って、執行官が行うものとされている。

注7  執行力の概念について論じた文献として、次のものがある。

注8  「担保権の実行としての競売等」とするか、「担保権に基づく執行」又は単に「担保権の実行」とする方がよい。