関西大学法学部教授 栗田 隆

破産法学習ノート2「破産債権の届出・確定」の比較法メモ


1 オーストリー法(§110/4)は、裁判所が確定訴訟について少なくとも1月の提起期限を定める。配当原資となる財産が否認訴訟により得られるような場合には、その訴訟の決着がつくまでどの程度の配当が得られるか不明である。その場合のことを考慮すると、柔軟性のある妥当な解決であると評することができる。

2  明治23年破産法(商法第3編破産)は、名義の有無にかかわらず、確定訴訟の提訴責任を調査対象債権者に負わせていた([加藤*1914a]441頁。異議の解決の訴訟手続に関する1027条において両者が区別されていないので、そのように解することになる)。