関西大学法学部教授 栗田 隆

破産法学習ノート2「破産配当」の比較法メモ


1. 別除権者の予定不足額の取扱

オーストリー法: 日本法とはやや異なり、抵当権者などについては、抵当不動産からの配当よりも先に破産配当がなされる場合には、彼は被担保債権額全額を基準に配当を受け、不足額を基準にした額以上の配当分については、抵当権実行手続での配当において破産財団が抵当権者に代わって直接受け取る。Holzhammer 2. Aufl., S99f., オーストリー破産法132条参照。

2. 配当手続

オーストリー法: 簡易な事件において、中間配当(および追加配当)について無方式の配当の制度がある。そこでは配当総額と配当金とを記載しただけの Verteilungsvorschlagが管財人によって作成され、債権者委員会の同意と破産裁判所の許可を得て配当がなされる。債権者は裁判所のこの許可に対して異議を述べることができるだけである。オーストリー破産法129条, Holzhammer,2. Aufl.,S98.

3. 追加配当

オーストリー破産法: 138条3項は、「配当額の僅少さと配当の費用とを考慮して相当と認められる場合には、裁判所は追加配当をやめて配当に充てるべき金額を破産者に委付することができる」と定めている。

免責制度の有無の相違はあるが、同様なことは日本法にも妥当しよう。

4. 破産手続開始後の利息債権への充当

アメリカ破産法について、[田頭*2005a]参照。「担保がいわゆる超過担保の場合には、申立て以後の利息も被担保債権に含まれる」と述べている。